2019年03月25日
バカの論理
昔、といっても僕が高校生の頃ですから、40年以上も前のことです。
受験生は、みんなラジオの深夜放送を聴いていました。
僕のお気に入りは、文化放送の 「セイ・ヤング」。
なかでもアリスの谷村新司さんがパーソナリティー日の 「天才・秀才・バカシリーズ」 というコーナーが大好きで、毎週欠かさずに聴いていました。
リスナーから寄せられたハガキを読むのですが、これが三段落ちの小話のようになっています。
まず秀才が、一般的な常識論を言います。
次に天才が、その事について知識をひけらかし、専門的な意見を言います。
最後にバカが出てきて、突拍子もない奇想天外な事を言って、笑いを取ります。
結局、主役は “バカ” なのです。
この頃から僕は、世の中の構図を勝手な論理で組み立てていました。
●秀才は、努力した凡人である。
●それゆえ、逆立ちをしても天才にはかなわない。
●しかしバカは、次元を超越しているため、天才に勝つ!
天才はトランプのエースだが、バカはジョーカーなのだと……
以来40年間、僕は “バカ” にあこがれ、“バカ” になることだけを考えて生きてきました。
先日、県内で10数軒の飲食店を経営する、さる社長さんと会食する機会がありました。
彼は僕より、ひと回り以上若い、やり手の起業家です。
そして、僕の読者でもあります。
開口一番、彼は、こんなことを言いました。
「小暮さんは、年間、どれくらい温泉に入るのですか?」
正直な話、10年前に比べると、加齢と共に年々、その数は減っています。
「今は60~70ヶ所だけど、多いときは毎年100以上はめぐっていたよね」
と答えると、彼の驚き方は尋常ではありませんでした。
お笑い芸人のようなリアクションで、
「ど、ど、どうして、そんなに回ろうと思ったんですか?」
と興味津々となり、目はランランと輝きながら、僕のグラスに酒をドボドボと注ぎ出したのでした。
だから僕は、「バカの論理」 の話をしました。
普通の人は、1年に温泉へ行く回数は1、2回です。
人一倍努力して、10回行っても、所詮、天才にはかないません。
「天才にかなわないとは、どういうことですか?」
「僕は凡人なんだよ。人10倍努力したところで、何も変わらない。それに比べ天才は、一を聞いて十を知ってしまう。だから天才に勝つには、“ケタ違い” のことをしないと意味がないんだよ」
酒の力も借りて、勝手な論理を吐いてしまいました。
すると、彼は、
「分かりました。人10倍では、まだ凡人なんですね。バカになって “ケタ違い” に挑戦します!」
彼の店が100店舗を超えるのも、近い将来かもしれませんね。
Posted by 小暮 淳 at 14:51│Comments(0)
│温泉雑話