2020年07月17日
ひとりバック・トゥ・ザ・フューチャー
過日、平成生まれの若い読者たちとの交流会がありました。
年長者の僕が、昭和の時代背景やら思い出話をしていたときのことです。
ひとしきり話し終えたところで、1人の青年が言いました。
「昔のことなのに、よく覚えていますね。それも事細かに?」
確かに、言われてみれば、デティールが細か過ぎたかもしれません。
それも、いちいち、「何歳のとき」 とか 「高校2年生だった」 とか、的確に話していました。
でも、すべて覚えていたわけではありません。
実は僕は、過去の史実を検証できるタイムマシンを持っているのです。
「たぶん、日記をつけていたからだよ」
「日記ですか?」
「そう、50歳まで」
「今は、つけてないのですか?」
「ああ、ブログを書き出した時点で、ノートに書くのは止めてしまった」
“日記をつける” という作業が、彼らには、いかにも “昭和” っぽかったようで、
「へー」
と一様に、ひと言返って来ただけでした。
でも、1人だけ、こんなことを言ってくれました。
「便利で、いいですね」
だから僕は、こう言ってやりました。
「これを “ひとりバック・トゥ・ザ・フューチャー” って言うんだよ」
今でも自宅の書庫には、何十冊という日記のバックナンバーが揃っています。
まるで図書館で資料を探すように、時々、「その頃、自分は、何をしていたのか?」 を調べるために、日記を引っ張り出します。
たとえば、こんなふうに……
昭和59(1984)年 7月18日(水) 晴れ
<来週よりレコーディング開始となる。いよいよ、この夏、最大のイベントが始まる。いいものに仕上げたい。>
昭和53(1978)年 7月21日(金) 曇りのち雨
<彼女にズバリ、弱点を突かれた。つらい……。結局、俺は前橋(故郷) に頼っていたのだ。「もう前橋には帰れない」 と言いながら、実は、いつでも帰れたのだ。彼女に言われた。「もっと走れるはずだ」 と……。「もっと確かな自信になるものを、この東京で見つけなくてはダメだ」 と……。おまけに、こんなキツイことまで言われた。「今のままでは、いくら曲を作っても、みんな同じ曲になってしまう」 とも。つらい、つらい、愛する人に、そう言われたのだから>
という具合に、25歳 → 20歳の夏へと、バック・トゥ・ザ・フューチャーしてみました。
ただし、僕のデロリアン(映画 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』 に登場するタイムマシン) は、過去へは行けても、未来には行けませんので、あしからず。
Posted by 小暮 淳 at 17:24│Comments(0)
│つれづれ