2021年02月15日
小銭のぬくもり
以前、このブログに 「無表情の時代」(2020年11月24日付) と題して、スーパーのレジで戸惑う老婆の話を書いたところ、その後、ブログを読んだ方から 「私もそうです」 という声が多く寄せられました。
続くコロナ禍、世の中は急速に変化しています。
オンラインやリモート、テレワーク……
食品や衣料、生活必需品の宅配……
キャッシュレスにも拍車がかかっています。
すべては、“非接触で安全” だからです。
過日、新聞の読者投稿欄に寄せられた21歳のアルバイト男性からのコメントに、目が止まりました。
こんな書き出しから始まっています。
<新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、人々と距離を取るソーシャルディスタンスは当たり前になり、さまざまな場所で見られるようになった。>
その一例として、彼は近所のコンビニに導入された自動精算機に触れています。
<金銭を介した店員と客の接触は限りなくゼロになった。店員は手間がかからなくなって便利になる。客も非接触で安全。両者ともにメリットのある素晴らしい対策だ。>
と現状に納得するも、彼は、自分が勤務する百円ショップの業務になぞり、一抹の不安をいだきます。
それは、いつも店に通って来る幼い子どものこと。
小さい手で、力いっぱい強く握った “110円” から伝わって来る熱い思いを……。
そして最後に、こう締めくくっています。
<あのぬくもりが感じられなくなってしまうドライな時代は、もうすぐそこまで来てしまっているのだろうか。コロナは僕らから日常だけでなく、人のぬくもりまで奪うつもりなのか。>
かつて、昭和の人々が夢に描いた21世紀の世の中が、現実になりつつあります。
しかし、皮肉なことに進歩に拍車をかけたのは、コロナという人類の敵でした。
“小銭から伝わる人のぬくもり”
どんなに便利な世の中になっても、忘れたくないものです。
Posted by 小暮 淳 at 13:29│Comments(0)
│つれづれ