2023年10月21日
酒乞食
死んだオヤジは生前、自分のことを自ら 「麺乞食(めんこじき)」 と呼んでいました。
それほどまでに無類の麺好きでした。
こんなエピソードがあります。
オヤジとオフクロが、まだ結婚する前のこと。
オヤジがオフクロの家を訪ねると、オフクロの母親 (僕の祖母) が、うどんを打ってくれたといいます。
オヤジいわく、
「こんなうまいうどんが、いつでも食べられるんなら」
と、プロポーズしたとのことです。
真偽のほどは定かではありませんが、確かに、朝昼晩と麺を食べていたほどの麺好きではありました。
そのDNAは、僕にも受け継がれています。
でも僕には、麺類よりも好きなものがあります。
はい、酒類です!
“酒” とは言わずに “酒類” と言ったのは、酒ならば洋の東西を問わずに、なんでも好きだからです。
1年365日、成人したその日から1日たりとも欠かしたことはありません。
どんなに疲れていても、風邪をひいても、毎晩必ず酒を口にします。
オヤジに言わせれば、「お前は酒乞食っていうやつだな!」 と笑われそうです。
酒好きには、悪いクセがあります。
それは、どこでもかまず、酒好きを自称してしまうことです。
たとえば、このブログです。
プロフィール写真を見てください。
僕は、うれしそうにビールのロング缶を持っています。
しかも、銘柄までハッキリと分かります。
「一番搾り」
だもの読者は、「小暮さんは、キリンの一番搾りが好きなんだ!」 と勘違いするわけです。
もとい!
勘違いではありません。
事実ですが、ビールなら何でも呑みます。
でも、この1枚の写真が読者の脳裏に刷り込まれるわけです。
すると……
お中元、お歳暮に限らず、宴の席でも僕のところには 「一番搾り」 が届くようになりました。
ブログの力は偉大です。
数年前から芋焼酎の 「赤兎馬(せきとば)」 が届くようになりました。
これも、僕が好きな酒として、ブログに書いたからです。
う~ん、まるでブログはアラジンの魔法のランプのようです。
記すと、願い事が叶ってしまいます。
以前、取材先で、生まれて初めてウイスキーの 「山崎」 を呑んだことを書きました。
そして、忘れられない美味しさだったことも……
でも、僕のような低所得者が、ふだん気軽に呑める酒ではありません。
一本、何万円もする高級酒であります。
ところが!
読者の中には、奇特な人がいるものです。
「小暮さん、ミニボトルですが山崎が手に入りましたので、お持ちします」
との連絡がありました。
「えっ、本当? 冗談でしょ? 酒乞食だと思って、からかってんじゃないの?」
と半信半疑でいると……
なななんと、本当に届きました!
しかもラベルには、“1923” の文字が!
1923とは、山崎蒸溜所が稼働を始めた年であります。
大変貴重なビンテージ物じゃありませんか!
意を決して昨晩、開封しました。
うわわ~、この香り、たまら~ん!
「し・あ・わ・せ」
の4文字が、フワーっと口の中一杯に広がり、やがてスーッと喉の奥へと流れて行きました。
ああ、酒乞食で良かった!
読者のみなさま、今後とも、この吞兵衛を末永くよろしくお願いいたします。
Posted by 小暮 淳 at 10:00│Comments(0)
│酔眼日記