2017年04月06日
ひとり祝い酒
つくづくライターとは、孤独な職業だと思います。
天職だと思うこともありますが、もしかしたら、さびしん坊の僕には向かない職業なのかもしれません。
“本を著する” という一見、派手な部分もありますが、でも全体の作業からみたら、ほんの数パーセントです。
90%以上は、日々取材と執筆に追われている実に地味な作業の積み重ねなのです。
「ああ、報われたい! 早く楽になりたい!」
そんな悲鳴とも嘆きにも似た心の叫び声を上げながら、一年のほとんどを過ごしています。
昨日、最後の原稿を入稿しました。
喜びよりも脱力感のほうが大きく、そんな自分を一分一秒でも解放してあげたい衝動に駆られます。
自分を褒めてあげたい?
いえいえ、褒めるには早過ぎます。
本を作り、世に出すという仕事は、これからが肝心要の本番なのです。
制作の順番として、著者だけが “イチ抜け” したに過ぎないのです。
デザイナーは今、ねじり鉢巻で、頭から湯気を上げながらデザインと格闘しているはずです。
ディレクターは、出版社と印刷会社の間に立って、今後の段取りに奔走しているはずです。
担当編集者は、表紙や帯のコピーやデザインを模索していることでしょう。
先日、“Xデー” が発表されました。
Xデーとは、新刊本の発行日のことです。
もう、泣いても笑っても2ヶ月を切りました。
その日が来れば、楽しい楽しい打ち上げ会や出版記念パーティーなどが目白押しです。
でも、でもでもでも~! その日まで待てないのです!
頑張った自分にご褒美を!!
今すぐ捕らわれの身から解放を!!
ということで僕は昨日、日の明るいうちから、いそいそと家を出たのであります。
向かったのは、もちろん馴染みの酒処 『H』。
「終わらない旅、ご苦労さま」
カウンターに座るやいなや、すでにブログをチェックしていたママが、そう言って、おしぼりを手渡してくれました。
「カンパ~イ!」
居合わせた常連客とのいつもの乾杯ですが、僕にとっては格別に五臓六腑へ染み渡るのであります。
「ふぅ~!」
ため息混じりに、飲み干した生ビールのグラスを置くと、
「お疲れさまでしたね」
と、ママの笑顔が受け止めてくれます。
すると、全身をガッチガチに覆っていた鎧(よろい) のような緊張感が、まるで魔法が解かれるようにユルユルと消えてゆくのであります。
「ジュンさん、次の本、いつ出るの?」
「また買うからね!」
常連客の言葉に、すべての苦労が報われていきます。
孤独な職業だけど、僕自身は孤独とは無縁なのであります。
ひとり祝い酒のつもりが、気が付いたら、いつもと変わらない賑やかな酒になっていましたとさ……。
よーし、明日からまた頑張るぞっと!
Posted by 小暮 淳 at 19:26│Comments(2)
│酔眼日記
この記事へのコメント
マロパパ先生 おめでとうございます☆彡
Xdayの公式発表を楽しみにしています。また、近所の本屋さんに注文にいきま~す。
こちら、「晴耕雨読」で(夫は日本酒ですが)、「センセイの脱稿をお祝いして、カンパ~イ♪」
Xdayの公式発表を楽しみにしています。また、近所の本屋さんに注文にいきま~す。
こちら、「晴耕雨読」で(夫は日本酒ですが)、「センセイの脱稿をお祝いして、カンパ~イ♪」
Posted by ムク at 2017年04月07日 19:17
ムクさんへ
ありがとうございます。
これで、またムクさんの蔵書が増えますね。
群馬の温泉通になること間違いなし!
Xデーは5月中旬の予定です。
詳しくは、公式発表されてから報告します。
ありがとうございます。
これで、またムクさんの蔵書が増えますね。
群馬の温泉通になること間違いなし!
Xデーは5月中旬の予定です。
詳しくは、公式発表されてから報告します。
Posted by 小暮 淳 at 2017年04月08日 12:16