2011年11月14日
コンビニで寝る男
昨日、夕刻のことです。
近くのコンビニ入ると、突然 「ドスン!」 と鈍い音がしました。
が、気にもとめもせず、店内をぐるりと一周して、レジへ。
すると、カウンターの中で、アルバイトの女の子が2人、真っ青な顔をして突っ立っていました。
1人の娘は、電話の子機を握り締めながら、なにやら現状を説明しています。
「どうしたの?」と僕。
「お客さんが、寝てしまったんです!」 と、もう1人の店員が中央通路を指差しました。
ギェッ!
本当だっ!
初老のオッサンが、陳列棚にはさまれて、大の字に寝ているではありませんかっ。
「大丈夫なの? 脳溢血か心筋梗塞じゃないの? 救急車を呼んでるの?」 と僕。
「今、警察に電話しています。寝ているんですよ、あの人!」 と店員。
おいおい、何ががなんだか、頭がこんがらがってきましたよ。
この場合、どう現状を見ても、電話するのは110番じゃなくて、119番だよ。お嬢さんたち!
「もう、しつこいんですよ、あのお客さん! 2時間もお店にいるんですよ。私に向かって 『愛している』 とか言っちゃって、帰ろうともしないし、カウンターの中まで入ってタバコを自分で勝手に取ろうとするし、おでん買ってもお金を持っていないし、一度帰ったと思ったら、またやって来るし……」
と、堰を切ったように、店員の口から、今までのいきさつがベラベラベラベラと語りだされました。
「しまいには、『俺は眠い』 とか言っちゃって、倒れたんです!」
と、迷惑千万の様子。
なるほど、じぁあ、110番で正しい。
やがて、パトカーが到着。
若い警察官が2人、店内に入って来ました。
「おじさーん、どうしたの? お酒飲んでるの?」 の問いかけに、
薄目を開けて、「飲んでない」 と、ひと言。
「じぁー、何でこんなところで、寝ているの?」 と警官。
「眠てーんだよ」
とは、このオッサン、タダモノではない。
「家は、どこなの? 帰れるの?」 の問いにもお構いなし。
起き上がると、買い物袋を手にして、トボトボと店を出て行ったのであります。
「ありがとうございました」 と若い娘さんに礼を言われて、まんざらでもない僕。
おせっかいを承知で、パトカーの誘導をしたり、床に倒れたオッサンの見張り役を買って出ていたのです。
「オーナーさんに、連絡した?」
「いえ、まだです」
「とりあえず、報告しておいたほうが、いいね」
「はい、ありがとうございます」
どうして、こんなおせっかいをしたのかといえば、それは僕にコンビニのバイト経験があるからです。
いえ、バイトから店長までやっていました。
まだ群馬県にセブンイレブンもローソンもファミリーマートもない、30年近く前の話ですけどね。
「Sチェーン」 というコンビニがありました。
当時は24時間営業というのは画期的で、まだ県民には馴染みがなく、コンビニが物珍しかった時代です。
夜勤もやりましたから、救急車やパトカーを呼んだことは、数知れず。
病気、事故、ケンカ、強盗・・・
ま、その頃のネタは、拙著 『上毛カルテ』(上毛新聞社) の中の 「街は眠らない」 で詳しく書きましたので、興味のある方は、そちらをお読みください。
と、いうことで、大人の男性がいない店内で、おびえているバイトの女の子2人を放って帰れなかったのでありますよ。
でも、何もなくて、良かった良かった。
2人とも可愛かったなぁ。
また買い物に行こっと!
Posted by 小暮 淳 at 18:52│Comments(0)
│つれづれ