2020年03月13日
瞳の中の恐怖
可視化された世の中を、どう思われますか?
防犯カメラやドライブレコーダーの普及により、ますます我々の日常は、世間にさらされています。
確かに、犯罪の抑制や犯人検挙には役立っているようですが、それは性善説に基づいた考え方です。
もし、悪意に満ちた考えの持ち主に利用されたら……
先日、身の毛もよだつような事例を見つけました。
それは、新聞の片隅に載った小さな記事でした。
こんな見出しが付いていました。
“瞳画像→駅判明→尾行”
女性アイドルの体を触ってケガをさせたとして、強制わいせつ致傷などの罪に問われている男の裁判での起訴内容です。
なんと犯罪のきっかけは、被害者がアップしたツイッター上の画像の瞳に映った景色からでした。
いったい、「瞳に映った景色」とは?
経緯は、こうです。
まず被告は、女性が最寄り駅で自身を撮影した画像を見つけます。
次に、女性の瞳の中に映った景色を分析し、ホームの特徴や線路の本数などを割り出します。
さらに、握手会で直接女性から聞いた 「近くに引っ越しした」 との情報や、他のファンからの目撃情報を加味し、地図検索サイトのストリートビュー機能を駆使して、ついに駅を特定します。
ここまでならゲーム感覚かもしれません。
でも男は、ここから犯罪者としての行動をとります。
特定した駅で女性を待ち伏せし、自宅マンションまで尾行。
女性の投稿動画から部屋の位置やカーテンの色を把握。
さらには、女性が自宅から動画をライブ配信している時に、玄関のチャイムを押して、音が鳴ったことを確認。
ついに、部屋を探し当てます。
そして女性宅に侵入し、わいせつ行為におよんだということでした。
可視化は犯罪の抑制にもなりますが、誘発もしかねないということです。
便利とは、なんて不便なんでしょうか。
生きにくい世の中になったものです。
Posted by 小暮 淳 at 11:46│Comments(0)
│つれづれ