2014年03月06日
幡谷温泉 「ささの湯」
あれは、3年前の今頃。
震災の直後でした。
片品村にある幡谷(はたや)温泉の一軒宿、「ささの湯」 の女将さんから電話をもらいました。
「申し訳ありませんが、しばらくお休みすることになりました」 と・・・。
実は、新聞取材の予約をしていたのです。
このとき僕は、女将さんが体調をくずされたのだとばかり思っていました。
だから数ヶ月して、また再度取材申し込みの電話を入れると・・・
電話がつながりません。
その後、温泉関係者の話により、地震の影響で源泉が止まってしまったことを知りました。
いつしか、幡谷温泉は “幻の温泉” となっていました。
しかし一昨年、役場より温泉復活の報告が入りました。
「経営者が変わりましたが、また再開しましたよ」
えっ、経営者が変わった?
じゃあ、女将さんは旅館を辞めちゃったんだろうか?
疑問と推測だけが、頭の中をめぐっていたこの3年間。
でも、すべての謎が解け、そして、あらためて取材をすることができました。
今回、快く僕のインタビューを受けてくださったのは、「有限会社 ささの湯」 の社長、丸山和成さん。
まだ20代の若いご主人です。
話に寄れば、平成9年の 「ささの湯」 オープンの際に、温泉の掘削をしたのが彼の父親だったといいます。
地震で給湯ポンプが故障したため、その改修工事を請け負ったのを機に経営を引き継ぎ、旅館を再開させたとのことでした。
なるほど、納得であります。
でも、旅館も浴室も浴槽も、すべて以前のままです。
「ええ、昔からの常連客が今も来てくださっていますから、一切、手を加えませんでした。お湯も、あの頃と同じですよ」
と、和成さん。
泉温、約43℃。
湧出量、毎分260リットル。
泉質、アルカリ性単純温泉。
加水も加温もなし。完全なる源泉かけ流し!
以前に比べると源泉の温度が、3度ほど高くなっています。
でも、湯量は相変わらずスゴイ!
ザバー、ザバーと音を立てて浴槽の縁から滝のようにあふれ出ています。
< “秘湯は見かけによらぬもの” である。民家のようなたたずまいの小さな宿に、これほどにも湯量が豊富で広々とした湯舟があるとは、誰が想像できるだろうか。>
これは、2008年12月号の 「月刊でりじぇい」(上毛新聞TRサービス) に僕が書いた幡谷温泉の記事です。
ツルツルとしたアルカリ泉特有の浴感も、あの頃のまま。
なんだか、別れた恋人と再会したような喜びが込み上げてきて、ついつい湯の中でニヤニヤとほくそえんでしまいました。
丸山社長、極上の温泉を復活させてくださり、ありがとうございました。
群馬の宝を1つ、失わずに済みました。
Posted by 小暮 淳 at 21:05│Comments(0)
│温泉地・旅館