2017年05月24日
丸沼温泉 「環湖荘」④
<沼のへりに沿うた小径の落葉を踏んで歩き出すと、ほどなくその沼の源というべき、清らかな水がかなりの瀬をなして流れ落ちている処に出た。そして三、四十間その瀬について行くとまた一つの沼を見た。大尻沼より大きい、丸沼であった。>
(若山牧水 『みなかみ紀行』 より)
大正11年(1922)10月、歌人の若山牧水は湖畔に投宿し、翌日、金精峠を越えて日光へ向かいました。
丸沼が、『みなかみ紀行』 最後の宿泊地であります。
開湯は江戸時代と伝わります。
古くから沼の北方に温泉が湧いていることは知られていて、地元では 「沼入りの湯」 と呼ばれていました。
いつ誰によって発見されたかは不明ですが、宿として創業は昭和8年(1933)。
「丸沼温泉ホテル」 として開業されました。
それ以前は、この沼の持ち主の別荘として使われていたといいます。
昨日、僕は2年半ぶりに丸沼温泉(群馬県利根郡片品村) の一軒宿 「環湖荘(かんこそう)」 に行って来ました。
前回は著書の取材でしたが、今回は僕が講師を務める野外温泉講座の受講生たちと訪ねました。
標高1,430メートル。
下界では連日の真夏日ですが、宿のまわりには、まだ雪が残っていました。
それにしても美しい!
相変わらず美しい!
なんて美しいのだろう!!
と、今回もただただ感動してきました。
もちろん、日光国立公園に指定されている神秘的な湖も美しいのですが、なんと言ってもここの素晴らしさは、“湯の美しさ” です。
毎分300リットル、自然湧出、自然流下、完全放流式により湛えられた温泉は、まさに湧き水のように清く澄み、惜しげもなく川のように浴槽の中を流れていきます。
これぞ、単純温泉の鑑!
そのけれん味のない、生真面目な湯に包まれていると、俗世間の気忙しさなど、洗い流されて行くのです。
単純温泉を語るなら、まずは丸沼の湯に入ってから!
群馬県内でベスト10入る、僕の愛すべき温泉の1つであります。
もちろん、湯上がりには恒例の儀式が待っています。
受講生らとともに、しばし下界の暑さを忘れ、高原の涼風に吹かれながら乾杯をしました。
Posted by 小暮 淳 at 12:08│Comments(0)
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