2018年09月21日
三途の川を渡った弟
「弟が行って来たらしいんですよ」
「さっそく、行かれたんですね」
「でも、小さい川なんですってね」
「ええ、あれでも一応、一級河川なんですけどね」
「簡単に、またぐことができたといいます」
「そんなに小さい川ではありませんけどね。たぶん、弟さんが行かれたのは、かなり上流の方だったんじゃないですか」
何の話をしているのかといえば、拙著 『民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) の中に出てくる 「三途の川」 についてであります。
ご存じ、三途の川とは、死者があの世に行く時に渡るといわれている想像上の川の名前です。
ところが全国には3ヶ所、“三途川” という名の川があり、その1つが群馬県にあります。
しかも一級河川は、群馬だけ。
日本を代表する 「三途の川」 だったのであります。
※(詳しくは、拙著をお読みください)
たまたま仕事先で出会った初老の紳士。
すでに拙著を読んだということで、話は本の中の “謎学” で盛り上がりました。
そして、「三途の川」 に話題が触れたときのことです。
冒頭の会話が始まりました。
当然ですが、僕は、本を読んだその人の弟さんが、興味本位で県内に流れる三途の川を見に行ってきた話だと思って聞いていました。
でも、だんだん話が、かみ合わなくなってきたのです。
で、僕が怪訝(けげん) な顔をしていると……
「ああ、申し訳ありません。弟が行って来たのは、本当の “三途の川” なんです」
なーんだ、最初に言ってくださいよ!
てっきり僕は弟さんが川を見に行って、川幅の狭いところを見つけて、またいで渡ったという話だと思ってましたよ。
て、いうか……、ええええええぇぇぇぇぇーーーー!!!!!
本当の “三途の川” って、何よ?
聞けば、いわゆる 「黄泉(よみ) がえり」 というやつでした。
病気だか事故だかは分かりませんが、その人の弟さんは生死をさまよい、一度、三途の川をまたいで渡り、引き返してきたというのです。
で、弟さんは、
「兄ちゃん、三途の川って、小っちゃい川だったよ」
と言ったそうです。
あの世にも、この世にも三途の川は存在するのですね。
まだまだ渡る気には、なれませんが……。
Posted by 小暮 淳 at 11:07│Comments(2)
│著書関連
この記事へのコメント
とうとう最後の、親を見送りました(両親、舅)
生前に手術を数度経験していて、こんなことを、、、
麻酔が効いている最中に
三途の川の向こうで、おいで~おいで~、って呼ばれるんだけど、行けなかったよ~ と
今回は渡ったのか、コロンと逝ってしまいました
生前に手術を数度経験していて、こんなことを、、、
麻酔が効いている最中に
三途の川の向こうで、おいで~おいで~、って呼ばれるんだけど、行けなかったよ~ と
今回は渡ったのか、コロンと逝ってしまいました
Posted by ぴー at 2018年09月21日 11:18
ぴーさんへ
ご苦労様でした。
きっと三途の川を渡る時は、無理なく自然に渡れるものなのでしょうね。
“お迎え” が来る前は、呼ばれても、自分の意思でも渡れないということです。
うちのオヤジは、「百までは生きる」 と豪語してますから、まだまだ先のことのようであります。
ご苦労様でした。
きっと三途の川を渡る時は、無理なく自然に渡れるものなのでしょうね。
“お迎え” が来る前は、呼ばれても、自分の意思でも渡れないということです。
うちのオヤジは、「百までは生きる」 と豪語してますから、まだまだ先のことのようであります。
Posted by 小暮 淳 at 2018年09月22日 15:29