2019年11月06日
マロがいる!③ 犬友再会
空気の澄み切った秋晴れの昼下がり。
2階の仕事部屋で、のんびりと読書を楽しんでいるときでした。
突然、階下が騒がしくなりました。
ん? 家内も娘も外出しているはずだが……
「おとーさん、いるの?」
長男の声がしました。
別に世帯を持った今でも、彼は合鍵を持っていて、自由に実家の出入りをしています。
「ほら、ジイジに 『こんにちは』 は?」
長男に、しがみ付くようにして、2歳になる孫のS君が張り付いています。
「向こうのお義父さんには、慣れているんだけどね。お父さんには、あまり会わないから……」
「今日は、なんだ?」
「これ、オレは飲まないから」
見れば、足元に一升瓶が2本も置かれています。
「こんなにも、どうしたんだ?」
「もらい物だけど、飲んでよ」
ラベルを見れば、どちらも群馬県内の地酒です。
ありがたく、いただくことにしました。
「ありがとう、でも、あんまり気をつかうな!」
照れ隠しで言うと、長男は、こんなことを言いました。
「だって、マロがいなくなって、落ち込んでいると思ってさ」
ダメ、ダメ、ダメ、ダメ、ダメーーーーーーーーッ!!!!!!
その言葉は、今の僕には、まだ禁句です。
マロの “マ” の字を聞いただけでも、涙腺がゆるゆるしてくるのであります。
「それを言うなって!」
先日も、つらい出来事がありました。
外出からもどり、家の前で車を停めようとしていると、犬を連れた見慣れた婦人が通り過ぎました。
それもヨークシャーテリアです。
そうです、いつも散歩の途中で出会っていたマロの犬友です。
僕は車から飛び出し、後を追いました。
「こんにちは」
「あっ、こんにちは、お久しぶりですね」
「実は……」
マロの死を伝えると、その婦人の顔色が見る見るうちに変わり、やがて大粒の涙を流し始めました。
「チワワでしたよね。まだまだ元気そうだったのに……」
知ってか知らずか、ヨークシャーテリアが僕の膝に前足をかけて、甘えています。
「ごめんね。マロちゃん、もう、いないんだよ。いつも遊んでくれて、ありがとうね」
そう言うのが、精一杯でした。
婦人の涙に、もらい泣きしてしまいました。
“ペットロス” という言葉は知っていましたが、まさか、こんなにも引きずり続けるとは思いませんでした。
この思いは、酒でまぎらわすしかないのでしょうか?
息子からもらった一升瓶が、今は心の支えであります。
Posted by 小暮 淳 at 11:59│Comments(4)
│つれづれ
この記事へのコメント
そうだったですか・・・。
お酒しかないです。自分の経験上。。。(>_<)
動物家族とのお別れは・・・ほんとうにつらいですね・・・。
死に慣れることは、絶対にありませんね・・・さっ、わたしも飲もっ!
お酒しかないです。自分の経験上。。。(>_<)
動物家族とのお別れは・・・ほんとうにつらいですね・・・。
死に慣れることは、絶対にありませんね・・・さっ、わたしも飲もっ!
Posted by ムク at 2019年11月06日 16:35
ムクさんへ
酒は涙か、ため息か……
長い人生、いつも窮地を救ってくれたのは “酒” であります。
いつの日か、愛する酒に恩返しをしなくてはなりませんね。
酒は涙か、ため息か……
長い人生、いつも窮地を救ってくれたのは “酒” であります。
いつの日か、愛する酒に恩返しをしなくてはなりませんね。
Posted by 小暮 淳 at 2019年11月07日 09:53
うちも先のことを考えると、「1週寝間込むから」と宣言しています。
別れがあれば、出会い。出会い。
別れがあれば、出会い。出会い。
Posted by ぴー at 2019年11月07日 11:37
ぴーさんへ
中国では死んだ愛犬と、そっくりなクローン犬が商売になっているといいます。
でも、そっくりじゃダメなんです!
人間だって、そっくりというだけで人を愛せませんもの。
唯一無二だから、愛するんですよね。
中国では死んだ愛犬と、そっくりなクローン犬が商売になっているといいます。
でも、そっくりじゃダメなんです!
人間だって、そっくりというだけで人を愛せませんもの。
唯一無二だから、愛するんですよね。
Posted by 小暮 淳 at 2019年11月07日 22:36