2025年04月17日
普通な人大賞
なぜだか昨日は、不意にA君のことを思い出しました。
命日でもあるまいに……
A君は、幼なじみで小中学校の同級生でした。
A君の 「A」 は、名前の頭文字ではありません。
ABCの 「A」 なんです。
誰も面と向かっては言いませんでしたが、陰ではみんな、彼のことを 「A君」 と呼んでいました。
中学3年生の頃だったと思います。
仲間内で盛り上がったテーマがありました。
それは、「ふつう」 について。
「一番、普通な人って誰だろうね?」
誰かが言った一言から始まりました。
みんなで、「普通な人」 の定義を考えました。
器量も人並み、体形も中肉中背。
頭も良からず悪からず。
性格も明るすぎず、暗すぎず。
日本全国、どこにでもいそうな中学生 “少年A” 探しが始まりました。
その結果、満場一致で、A君が選ばれました。
「第1回 どこにでもいそうな普通な人大賞は、A君に決定しました!」
以来、誰もが彼のことを陰で、「A君」 と呼ぶようになりました。
本人は、知るよしもないのですが……
あれから40年ほど経ったある日のこと。
同級生からA君の死去が知らされました。
まだ50代でした。
僕は大人になった彼を知りません。
ただ友人らの話を総合すると、A君はその後、高校、大学と普通に進み、地方銀行に就職したといいます。
結婚をして、子どももいて、何不自由ない普通の生活をしていたようです。
でも突然、病魔が彼を襲いました。
残念ですが、彼は寿命だけが、普通ではなかったのですね。
短命でした。
今になって思います。
生前に彼に会っておけば良かったと……
そして、元気なうちに 「普通な人大賞」 の賞状を授与しておけば良かったと……
そんなことを昨日、だらだらと思い描いていました。
楽しかった遠い遠い日々をめぐりなから……
缶けりをした、あの空き地は、もうないんでしょうね。
Posted by 小暮 淳 at 11:59│Comments(0)
│つれづれ