2010年04月23日
沢渡温泉 「龍鳴館」
昨日は午後から雨の中、沢渡温泉へ行きました。
沢渡温泉は出版本の取材で1月に「まるほん旅館」に泊めていただいたのですが、そのとき「龍鳴館」に寄ったら「ぜひ今度は、うちに泊ってほしい」と言われてしまい、リクエストにお応えして再取材を兼ねて泊まってきました。
というわけで、3代目女将の隅谷映子さんにお会いするのは、2回目です。最初に会ったときに、宿の歴史について話を聞いたのですが、そのとき摩訶不思議な出来事を話してくれました。そのことが、ずーっと僕は気になっていたのです。
それは、お天狗さまの話。
沢渡温泉は建久2年(1191)に発見されたと伝わる古い温泉です。龍鳴館も古い老舗旅館で、前身を正永館といい、大正11年には若山牧水が訪ねています。
ところが昭和10年に大水害に遭い、昭和20年には大火に見舞われ、温泉街は壊滅的な打撃を受けました。その後、住民たちの努力により、戦後に復興を果たした温泉地です。
女将の両親は、二度と災害のないように、また安穏として暮らせるようにと願いを込めて、昭和56年に温泉街を見下ろす裏山に、天狗堂を建立しました。また同時に、以前村にあった天狗さまの面は、心無い者の仕業により鼻が折れていたため、新たに木製の天狗面をこしらえて、奉納しました。「お天狗さまの鼻を折ったから、災いが起きた」という村人たちがいたからです。
毎年、4月16日に天狗さまの祀りを行っているそうですが、2年目から不思議な現象が起こったといいます。それは、天狗面の鼻が、年々白くなっていくというのです。ちょうど、以前の天狗面の鼻の折れたあたりから……。
今朝、女将と僕は、そぼ降る雨の中、傘をさして裏山を登りました。天狗堂には、花が手向けてありました。
施錠されている鍵を開けると、お宮の中に、立派な鼻を突き出した木製の天狗面が見えます。恐る恐る取り出してみると、果たして、女将のいうとおり、天狗の鼻の真ん中ぐらいから先までが真っ白です。そこだけ木が変色しているのです。
「ね、不思議でしょう」と言いながら、手を合わせる女将。あわてて僕も、沢渡温泉の湯と町の安全と繁栄を祈って手を合わせました。
古い温泉地には、必ず伝説や言い伝えが残っています。そして薬師様や温泉神社が祀られています。それだけ、地の底から湧きいずる湯は、先人たちにとって霊験あらたかなものだったのです。
現代人は、どうでしょう。簡単に掘削して、簡単に湯を使い捨ててはいないでしょうか。もっともっと温泉に感謝しながら、大切に利用したいものです。
沢渡温泉は出版本の取材で1月に「まるほん旅館」に泊めていただいたのですが、そのとき「龍鳴館」に寄ったら「ぜひ今度は、うちに泊ってほしい」と言われてしまい、リクエストにお応えして再取材を兼ねて泊まってきました。
というわけで、3代目女将の隅谷映子さんにお会いするのは、2回目です。最初に会ったときに、宿の歴史について話を聞いたのですが、そのとき摩訶不思議な出来事を話してくれました。そのことが、ずーっと僕は気になっていたのです。
それは、お天狗さまの話。
沢渡温泉は建久2年(1191)に発見されたと伝わる古い温泉です。龍鳴館も古い老舗旅館で、前身を正永館といい、大正11年には若山牧水が訪ねています。
ところが昭和10年に大水害に遭い、昭和20年には大火に見舞われ、温泉街は壊滅的な打撃を受けました。その後、住民たちの努力により、戦後に復興を果たした温泉地です。
女将の両親は、二度と災害のないように、また安穏として暮らせるようにと願いを込めて、昭和56年に温泉街を見下ろす裏山に、天狗堂を建立しました。また同時に、以前村にあった天狗さまの面は、心無い者の仕業により鼻が折れていたため、新たに木製の天狗面をこしらえて、奉納しました。「お天狗さまの鼻を折ったから、災いが起きた」という村人たちがいたからです。
毎年、4月16日に天狗さまの祀りを行っているそうですが、2年目から不思議な現象が起こったといいます。それは、天狗面の鼻が、年々白くなっていくというのです。ちょうど、以前の天狗面の鼻の折れたあたりから……。
今朝、女将と僕は、そぼ降る雨の中、傘をさして裏山を登りました。天狗堂には、花が手向けてありました。
施錠されている鍵を開けると、お宮の中に、立派な鼻を突き出した木製の天狗面が見えます。恐る恐る取り出してみると、果たして、女将のいうとおり、天狗の鼻の真ん中ぐらいから先までが真っ白です。そこだけ木が変色しているのです。
「ね、不思議でしょう」と言いながら、手を合わせる女将。あわてて僕も、沢渡温泉の湯と町の安全と繁栄を祈って手を合わせました。
古い温泉地には、必ず伝説や言い伝えが残っています。そして薬師様や温泉神社が祀られています。それだけ、地の底から湧きいずる湯は、先人たちにとって霊験あらたかなものだったのです。
現代人は、どうでしょう。簡単に掘削して、簡単に湯を使い捨ててはいないでしょうか。もっともっと温泉に感謝しながら、大切に利用したいものです。
Posted by 小暮 淳 at 21:38│Comments(0)
│温泉地・旅館