2014年09月08日
片品温泉 「みよしの旅館」
以前、何度か <湯の良い宿かどうかは、宿の前に立つと分かる> と書きましたが、泉質までは、なかなか分かるものじゃありません。
ただ、その土地土地で泉質の傾向というものはありますから、予想くらいはつきます。
たとえば片品温泉(群馬県利根郡片品村)。
片品温泉に限らず片品村は、そのほとんどが単純温泉またはアルカリ性単純温泉で、42度以上の高温泉が湧いています。
微妙な成分の混合により、にごりや臭いというものはあっても、泉質としての大差はありません。
先日訪ねた片品温泉最古の源泉を保有する 「千代田館」 の湯も、アルカリ性単純温泉でした。
で、千代田館と片品川をはさんで対岸に建つ 「みよしの旅館」 は、目と鼻の先。
話によれば、保有する自家源泉は戦後になって掘削したものですが、千代田館同様に片品川河川敷に湧出しています。
たぶん、直線距離にして100メートルと離れていないと思います。
ところが、これがビックリ!
浴室のドアを開けた途端、モワ~~っと体に張り付いてきた蒸された空気は、完全にゆで卵の臭いです。
「みなさん、驚かれますね。専門家の方も、このあたりでは珍しい泉質だと言ってました」
と、2代目主人の吉野健太郎さん。
泉質は、アルカリ性単純硫黄温泉です。
湯は無色透明なのですが、かなり濃厚な硫化水素臭が漂っていました。
しかも、pH9・0のアルカリ性ですから、湯はやさしく肌にまとわり付きます。
ツルツルッと、ローションのような肌触りがします。
片品温泉自体は、高度成長期のスキーブームや尾瀬登山ブームに発展したリゾート温泉地ですが、こうやってめぐってみると知られざる “湯の良い” 温泉宿があるものです。
今でも、湯に惚れ込んで長期滞在する湯治客がいるというのも、納得であります。
温泉は見かけによらぬもの!
これからも1軒1軒、ていねいに取材を続けていきたいと思います。
Posted by 小暮 淳 at 21:22│Comments(0)
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