2016年09月14日
伊香保温泉 「千明仁泉亭」
文亀二年創業
といわれてもピンときませんが、西暦で1502年と知ると、「おおお~!」 と感嘆の声を漏らしてしまいます。
今から514年前といえば、室町時代です。
もちろん、伊香保温泉で一番歴史の古い老舗旅館ということになります。
昨日は6年ぶりに 「千明仁泉亭」 を取材で訪ね、22代目女将の千明佳寿子さんのご厚意により、泊まってきました。
仁泉亭といえば、伊香保をこよなく愛した文豪、徳富蘆花(とくとみろか) が常宿にしていたことで有名です。
<上州伊香保千明の三階の障子開きて、夕景色を眺むる婦人。>
で始まる名作 『不如帰(ほととぎす)』 も、ここで書かれました。
「当館には11回、泊まられています。亡くなられたのも当館でした。いつも泊まられていたのは三階の角部屋、そう、今日泊まられる部屋と同じ場所ですよ」
えっ、蘆花と同じ部屋に泊まれるの!?
と一瞬、喜んでしまったが、同じなのは“場所” でした。
蘆花が泊まったのは、明治31年から亡くなった昭和2年の間です。
現在の建物は、旧館が大正10年、本館が昭和10年の建築ですから、当然、部屋は現存していません。
※(ただし臨終の部屋は、現在でも 「徳富蘆花記念文学館」 に保存されています)
僕的には、大正11年に泊まった歌人の若山牧水が一番興味のあるところです。
それに谷崎潤一郎や与謝野晶子なども泊まっています。
女将さんからポンポンと飛び出す文人たちのエピソード話に、ワクワクしながらのインタビューとなりました。
仁泉亭の自慢は、歴史と文学だけではありません!
一番の魅力は、なんたって温泉でしょう。
浴槽に注がれる湯は、もちろん茶褐色ににごる伊香保伝統の 「黄金(こがね)の湯」源泉です。
そして、その湯量がスゴイ!
源泉の総湯量(毎分約4,000リットル) の3分の1が、仁泉亭に流れています。
部屋数は34室ですから、宿泊者1人当たりの源泉量は伊香保で1番多いといえます。
ま、百聞は一見にしかず!
凄いのなんのって、大浴場も露天風呂も貸切風呂も、正真正銘100%源泉かけ流しです。
といっても、チョロチョロと湯がこぼれる子供だましのオーバーフローではありませんぞ!
ザーザー、ジャバジャバ、ビショビショと完全たれ流し状態なのであります。
極めつけは、なんといっても深さ1mの 「仁乃湯(めぐみのゆ)」。
湯舟のサイズは5m×3m!
これは、もう風呂ではなくプールなのです。
その巨大な浴槽から、ザバーザバーと勢い良く湯が流れているわけですから、湯の中に立っていると水圧で流されそうになるのです。
「おっとっと、おっとっと」
と、よろけたふりをして、ついつい、泳いでしまうのでした。
これが、“立ち湯” ならではの醍醐味なのであります。
温泉大国の群馬広しといえども、“立ち湯”のある旅館は、いくつもありませんからね。
これは、ぜひ一度、みなさんにも体験していただきたい!
いや~、伊香保って、知れば知るほど奥の深い温泉ですね。
Posted by 小暮 淳 at 22:28│Comments(2)
│温泉地・旅館
この記事へのコメント
楽水楽山には立ち寄られましたか?ここは夜のバーの創作カクテルがとても美味しい。お勧めです。
Posted by 古市場 at 2016年09月14日 23:26
古市場さんへ
「楽水楽山」 には行きましたが、残念ながらカクテルは飲みませんでした。
プロフィール写真の撮影をしました。
雰囲気の良いお店で、なかなか渋いショットが撮れました。
「楽水楽山」 には行きましたが、残念ながらカクテルは飲みませんでした。
プロフィール写真の撮影をしました。
雰囲気の良いお店で、なかなか渋いショットが撮れました。
Posted by 小暮 淳 at 2016年09月15日 22:33