2012年02月10日
取材拒否の宿
昨日、取材拒否をされてしまいました。
情報誌の編集をしていた頃なら、別段珍しくないことなのですが、ここ数年ではなかったことなので、少々へコんでしまいました。
取材拒否とは、読んで字のごとく 「取材」 を 「拒否」 することです。
たいがいは取材される側が使う言葉ですが、その逆も取材拒否ということがあります。
取材する側が拒否することです。
「乗車拒否」 といえば、乗せる側の拒否を言う場合が多いですね。
で、雑誌の場合は、圧倒的に取材される側が拒否する場合が多いのですが、大別すると2パターンあります。
① 行列のできる店などの繁盛店で、取材を受けることによって、これ以上お客に迷惑をかけたくない場合。
または、経営者が根っからのメディア嫌い。
② 取材を受けたことがなくて、“取材 = 広告” と勘違いしている場合。
話を聞く前に 「うちは結構です」 と、にべもなく断られる。
ま、①の場合は稀な店で、ほとんどは②のパターンとなります。
その原因として、媒体の知名度が関係してきます。
「月刊○○ですけど・・・」 の○○が、初めて聞いた名前だと、先方も警戒します。
これが 「△△新聞です」 となると、相手の対応が変わってきます。
“雑誌=広告” であり、“新聞=記事” のイメージが強いようですね。
では、これが温泉旅館になると、どのように変化するのか?
やはり、媒体名を名乗る限り同様であります。
しかし、本の出版となると話は別です。
媒体名がありませんので、著者の名前と出版元の名前を言うしかありません。
しかも、宿泊取材を申し入れることもありますから、その交渉はさらに難易度を増します。
現在は、過去の実績があるため比較的スムーズに取材交渉が行われています。
また僕との間に、温泉協会や観光協会などが入って、交渉の代理を行ってくれることもありますので、取材拒否というのはほとんどなくなりました。
ただ、最初は苦労しましたよ。
実績もないし、名前も通っていないし、信じてもらうまでが大変でした。
で、昨日の取材拒否です。
今までのパターンとは、まったく別の理由での拒否でした。
しかも、初めて取材する宿でもありません。
過去に何回も僕は取材をして、雑誌や本に旅館の記事を書いている宿なのです。
なのに……
理由は、たった1つ、写真でした。
これだけは、説得をしても、納得していただけませんでした。
宿の取材ではなく、女将さん自身の取材ですから、女将さんの写真を撮らないわけにはいきませんものね。
「いやいやいや、私なんて」 と、結局、こちらが降りるしかありませんでした。
確かに、名前と写真が公にされるわけですから、嫌がる人がいても当然です。
電話を切ったあと、少しだけへコんだのですが、すぐに気を取り直して、次の取材先に電話を入れました。
何が難しいかって、人の取材が一番難しいんですね。
でも、そのぶん、やりがいと喜びもひとしおなのであります。
Posted by 小暮 淳 at 18:44│Comments(0)
│取材百景