2017年01月16日
HのHはHのH
「人生の成功者なんだから」
「誰がさ?」
「小暮さんに決まっているじゃないですか! 好きなことして生きているんだから」
「バカも休み休み言えよ。成功者であるわけ、ねーだろ!」
お馴染みの酒処 『H』 での、常連客とのざれ言であります。
カウンター席だけの小さな小料理屋には、今宵も気の置けない面々が、浮き世を忘れに三々五々と集まってきます。
会話を聞いていたママがカウンターの中から、なにげに言葉を返します。
「だよね。だったらHなんかで、飲んでないよね」
その自虐ネタに、ドッと笑いが起きました。
だよね。だよね。だよね~!
やがてカラオケのリモコンとマイクが回り出し、かかる曲は、すべて70年代の懐かしのフォークソングや歌謡曲ばかり。
カウンターを見渡せば、この日の客は、すべて同世代です。
おまけにママも同世代だし、暗黙のうちに青春を過ごした70年代がオンパレードであります。
別に、疲れていたわけではありません。
特に、嫌なことがあったわけでもありません。
なんとなく、ただ、なんとなく、『H』 に足が向いてしまう日があります。
“好きなことをして生きているんだから”
常連客に言われるまでもなく、自分でも分かっています。
たぶん、一般のサラリーマンに比べたら、ストレスの少ない人生を生きていると思います。
でもね、僕だって時々、甲冑(かっちゅう) を脱ぎたくなることがあるのですよ。
ライターという “よろい” や家庭人という “かぶと” を脱ぎ捨てて、1人の男として過ごす時間が欲しくなるのです。
そんな時、僕は迷わず 『H』 へ向かいます。
『H』 のHは、平静、平穏、平和のHなのかもしれませんね。
さ、次は僕の番ですか?
もちろん、拓郎の歌をうたいますよ!
Posted by 小暮 淳 at 12:47│Comments(0)
│酔眼日記