2024年06月11日
泣いた赤鬼
映画を観たり、本を読んで、目頭を熱くさせることは多々あります。
でも、大粒の涙をポロポロと流しながら人前で泣くことなんて……
たぶん、何十年ぶりのことだったと思います。
僕は友人と、さる作家の話をしていました。
その人は、昨年7月に亡くなられた絵本作家・野村たかあきさん。
僕が37年間、慕い続けていた “心の師” でありました。
今年になり、野村さんの奥様から一通の便りをいただきました。
<生前、野村が承諾していたダイソー✕鈴木出版とのコラボ絵本が出来ました>
そして、小さな絵本が同封されていました。
(2024年4月24日 「天国からの贈り物」、2024年5月22日 「三竦みの美学」 参照)
作・絵/野村たかあき 『あいこでしょ』 (すずき出版✕ダイソー)
「なんでダイソーだったんでしょうね?」
友人の問いに言葉を返そうとした、その時、グッと込み上げるものがあり、僕は顔を上げることが出来なくなってしまいました。
見る見るうちに涙があふれ出で、二の句を継げません。
友人も驚いていましたが、当の本人が一番驚いていたのです。
あふれ出る涙をぬぐいながら、やっと言えた言葉が、
「一人でも多くの子どもたちに絵本を読んで欲しかったんだよ」
でした。
通常、書店で売られている絵本の価格は1,000円以上します。
でも、ダイソーならば100円です。
これならば生活に余裕のない家庭でも、子どもに絵本を買ってあげることができます。
たぶん、野村さんは自分の死期を知っていたのでしょう。
そんな折、全国展開する100円ショップから出版の話があった。
もし、健康でバリバリと仕事をこなしていた頃だったら、作家としてのプライドもあり、承諾しなかったかもしれません。
でも絵本は、みんなのモノです。
貧富の差や家庭環境に関係なく、誰もが気軽に楽しめるものでなくてはならない。
きっと野村さんは、そう考えたのでしょう。
そう思ったら、とめどなく涙が流れ出したのでした。
そういえば、野村さんの絵本の代表作の一つに 「泣いた赤鬼」 がありました。
作・浜田廣介/絵・野村たかあき 『ないたあかおに』 (講談社名作絵本)
これもまた 『あいこでしょ』 同様、心優しい鬼たちの話です。
ぜひ、どちらも一読することをおすすめします。
Posted by 小暮 淳 at 11:31│Comments(2)
│読書一昧
この記事へのコメント
また来ちゃいました(笑)※つけてた訳では・・;
もう~読ませ上手なんだから(再笑)
昨年の紙芝居で野村たかあきさんというお名前を知り、先日、ここでダイソーコラボの記事が頭にあり、昨日立ち寄ったダイソーで探してみたばかり。
ありました~お持ち帰り~
書店の絵本と何ら変わりない素晴らしい絵本でした。
理由を聞いてぐっとくるものがあります。
もう~読ませ上手なんだから(再笑)
昨年の紙芝居で野村たかあきさんというお名前を知り、先日、ここでダイソーコラボの記事が頭にあり、昨日立ち寄ったダイソーで探してみたばかり。
ありました~お持ち帰り~
書店の絵本と何ら変わりない素晴らしい絵本でした。
理由を聞いてぐっとくるものがあります。
Posted by たけちゃん
at 2024年06月11日 12:35

たけちゃんさんへ
お買い上げ、ありがとうございます。
僕も今日、またダイソーに行って、在庫全冊を買い占めてきました。
師の遺作です。
ぜひ、一人でも多くの人に読んでいただきたいと思います。
お買い上げ、ありがとうございます。
僕も今日、またダイソーに行って、在庫全冊を買い占めてきました。
師の遺作です。
ぜひ、一人でも多くの人に読んでいただきたいと思います。
Posted by 小暮 淳
at 2024年06月11日 22:14
