温泉ライター、小暮淳の公式ブログです。雑誌や新聞では書けなかったこぼれ話や講演会、セミナーなどのイベント情報および日常をつれづれなるままに公表しています。
プロフィール
小暮 淳
小暮 淳
こぐれ じゅん



1958年、群馬県前橋市生まれ。

群馬県内のタウン誌、生活情報誌、フリーペーパー等の編集長を経て、現在はフリーライター。

温泉の魅力に取りつかれ、取材を続けながら群馬県内の温泉地をめぐる。特に一軒宿や小さな温泉地を中心に訪ね、新聞や雑誌にエッセーやコラムを執筆中。群馬の温泉のPRを兼ねて、セミナーや講演活動も行っている。

群馬県温泉アドバイザー「フォローアップ研修会」講師(平成19年度)。

長野県温泉協会「研修会」講師(平成20年度)

NHK文化センター前橋教室「野外温泉講座」講師(平成21年度~現在)
NHK-FM前橋放送局「群馬は温泉パラダイス」パーソナリティー(平成23年度)

前橋カルチャーセンター「小暮淳と行く 湯けむり散歩」講師(平成22、24年度)

群馬テレビ「ニュースジャスト6」コメンテーター(平成24年度~27年)
群馬テレビ「ぐんまトリビア図鑑」スーパーバイザー(平成27年度~現在)

NPO法人「湯治乃邑(くに)」代表理事
群馬のブログポータルサイト「グンブロ」顧問
みなかみ温泉大使
中之条町観光大使
老神温泉大使
伊香保温泉大使
四万温泉大使
ぐんまの地酒大使
群馬県立歴史博物館「友の会」運営委員



著書に『ぐんまの源泉一軒宿』 『群馬の小さな温泉』 『あなたにも教えたい 四万温泉』 『みなかみ18湯〔上〕』 『みなかみ18湯〔下〕』 『新ぐんまの源泉一軒宿』 『尾瀬の里湯~老神片品11温泉』 『西上州の薬湯』『金銀名湯 伊香保温泉』 『ぐんまの里山 てくてく歩き』 『上毛カルテ』(以上、上毛新聞社)、『ぐんま謎学の旅~民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん)、『ヨー!サイゴン』(でくの房)、絵本『誕生日の夜』(よろずかわら版)などがある。

2024年04月19日

あくがれの墓参り


 ≪聞きゐつつたのしくもあるか松風の 今は夢ともうつつともきこゆ≫  牧水


 趣味と実益を兼ねた生き方をしてきたおかげで、気が付いたら僕は、群馬県内4つの 「温泉大使」 と 「ぐんまの地酒大使」 を仰せつかっていました。

 “温泉と地酒”
 よく似合います。
 これに “旅” が加われば、なお素晴らしき。

 あくがれ(※)てしまいます。


 そんな生き方をした人に、明治・大正の歌人、若山牧水がいます。
 牧水は明治18(1885)年、宮崎県の生まれ。
 自然と旅と酒を愛し、全国をめぐりました。

 群馬県には8回訪問。
 延べ60日間滞在し、13編の紀行文と約400の歌を残しました。
 最も有名な紀行文が 『みなかみ紀行』 です。


 大変おこがましいのですが、共に湯と酒を愛する者として、いつしか僕にとって牧水は “心の師” となっていました。
 そして、気が付いたら牧水をテーマにした講演や連載を手がけるようになっていたのです。

 「一度、ちゃんと牧水さんにお礼が言いたい」

 その夢が、やっと叶いました。


 静岡県沼津市。
 この街にある千本山乗運寺の境内に、牧水は眠っています。
 昭和3(1928)年9月17日、大酒呑みがたたり、急性腸胃炎兼肝臓肝硬変症のため43歳の若さで永眠しました。

 冒頭の歌は、墓石前に立つ歌碑に詠まれていました。


 「牧水さん、初めてお目にかかります。全国にあまたといるファンの一人です。あなたが愛してくださった群馬県より、はるばる会いに来ました。私は今、あなたが群馬で見て触れて、浸かって呑んだ “温泉と地酒” をテーマに取材を続けている物書きの端くれです。どうか、お許しいただき、寛大なお心で、見守ってくださいますようお願い申し上げます」
 と、墓前で手を合わせました。

 すると、どうでしょう!
 木々を揺らして、一陣の薫風が杜を抜けて行きました。

 「ああ、牧水さん! ありがとうございます」


 風に誘われるようにして僕は、その足で牧水が愛した千本松原を訪ねました。


 ※【憧(あくが)る】 物事に心を奪われて落ちつかない。そわそわする。 (広辞苑より) 
  


Posted by 小暮 淳 at 11:52Comments(0)取材百景

2024年04月16日

温泉もいいけど民話もね


 「なぜ民話の本を書かれたのですか?」
 最近、とみに訊かれる質問です。
 みなさん、僕のことは、温泉専門のライターだと思われているようです。

 読売新聞のコラムにも書いたののですが、温泉ライターを名乗るようになったのでさえ、“たまたま” だったのです。
 フリーライターとして取材を重ねるうちに、温泉地の取材が増えていき、気が付いたら何冊も本を出版していたというだけのことです。

 そして、いつしか 「温泉ライター」 という肩書きが、付けられていました。


 先日のイベント会場で、こんな出来事がありました。
 僕らは、伊勢崎市の神社で街頭紙芝居の口演を行っていました。
 僕らとは、興行主 「壽ちんどん宣伝社」 の座長で、紙芝居師の石原之壽(いしはらのことぶき)くんと、作画担当の画家・須賀りすさんです。
 僕は、地元の民話を題材とした紙芝居の物語の作成を担当しています。

 口演中に紙芝居師が、そのことを伝えたからだと思います。
 終了後、年配の男性が、僕の所へやって来ました。

 「小暮さんって、温泉の小暮さんですか?」
 「はい」
 「ああ、お会いできて光栄です。いつもお世話になっています」

 お世話?
 不思議なことを言うものだと思い訊ねると、なんてことはありません。
 僕の読者で、著書を参考にして温泉めぐりを楽しんでいるのだといいます。


 この男性は、この日、たまたま神社に参拝に来たといいます。
 すると境内で、街頭紙芝居を行っていた。
 何気なく見ていると、「小暮淳」 という名前が出た。
 「あれ? 知っている名前だ」
 と思い、声をかけたようです。

 「小暮さんは、民話の本も書いているんですね。なぜ、民話なのですか?」


 さて、困りました。
 温泉同様、特別な理由なんてありません。
 しいて言うならば、やはり “たまたま” なのであります。

 ただし温泉同様、きっかけならあります。
 それは、古湯と呼ばれる何百年という歴史を持つ温泉地には、必ず 「いで湯発見伝説」 があるのです。
 動物であったり、偉人であったり、湯の数だけ奇想天外、摩訶不思議な伝説が語り継がれています。

 その一つ一つを調べていくうちに、いつしか民話の世界に、どっぷりと浸かっていたということです。


 そんなエピソードをいくつか話すと、男性は至極納得されたようで、「今日はありがとうございました。貴重なお話をありがとうございます」 と深々と礼を言って、帰って行きました。
 もちろん、民話の著書をお買い上げいただきました。

 ありがとうございました。


 温泉もいいけど、民話もね!
 今後ともよろしくお願いいたします。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:38Comments(2)著書関連

2024年04月15日

時が止まった町


 僕が暮らす町には、「堀払い」 という恒例行事があります。

 「堀払い」 とは?
 読んで字のごとく、堀を払う作業です。
 いわゆる側溝に溜まった泥やゴミを除去する清掃活動です。

 昨日は、そんな年に1回の 「堀払い」 の日でした。


 午前8時、長靴をはいて、スコップを手にした老若男女が、町内の1カ所に集まりました。
 その後、班ごとに分かれ、役割分担された側溝に入り、清掃作業が始まりました。

 作業開始、直前のこと。
 「小暮さん、聴いたよ」
 と、隣の班の男性から声をかけられました。

 “聴いた” と言われれば、先週放送されたエフエム群馬のニュース番組に出演した時のことかと思い、「ありがとうございます」 と返しました。
 が、その次に出た言葉に、ビックリ!
 「安住さんが、師匠って呼んでましたね」


 えっ、ええええーーー!!
 いつの話ですか?
 アナウンサーの安住紳一郎さんが、ラジオ番組 『安住紳一郎の日曜天国』 の中で、僕の話をしたのって2年以上も前の話ですよ!

 ていうか、この男性、確か2年前の 「堀払い」 の時も僕に声をかけて来て、同じ話をしました。
 (2022年4月11日 「安住効果の余韻」 参照)

 もしかして、この人、2年前から時間が止まってしまっているのかしらん?


 先日、こんなこともありました。
 自治会費を納めに、班長の家へ行った時のことです。
 奥さんが出て来て、
 「小暮さん、すごいわね。えーと、えーと、なんていう番組でしたっけ?」

 当然、番組といわれれば、僕は昨年出演したフジテレビの 『ホンマでっか!TV』 だと思ったわけです。
 「明石家さんまさんの番組ですか? 観てくださったんですか?」
 と言うと、
 「いえいえ、ほら、アナウンサーの……。そう、安住さんの番組! 小暮さんのことを話していたわよ~!」

 って、やっぱり、それなの?
 その放送って、2022年12月ですよ!
 いまだに町内では、話題になっているんですかね?

 恐るべし、安住紳一郎効果!


 ていうか、この町には安住ファンが多いのか?
 それともTBSラジオしか聴けないのか?

 この町は、完全に時が止まっているようです。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:39Comments(0)つれづれ

2024年04月13日

A I よ、やっちまったな!


 「小暮さんは、まっ先に否定すると思いました」

 何のことかといえば、生成AI (人工知能) のことです。
 1年前、文章を作成する対話型AI 「チャットGPT」 を業務に導入したという出版関係の人との雑談の席でした。


 僕も長年、雑誌の編集業界にいましたからね。
 その業務の大変さは、知っています。
 特に、イベントや街ネタなどの細かい情報の処理は、時間と手間がかかる作業です。
 そのために人を雇えば、人件費がかさみます。

 その点、チャットGPTを利用すれば、同じような文章を数秒で仕上げてくれるのですから、利用しない手はありません。
 しかも、人間のように文句や愚痴は言いません。

 世の中は、ここまで来てしまったのです。
 スーパーの無人レジと同じです。
 人手不足の時代、“便利” には勝てないのです。


 そんな折、AIをめぐる前代未聞の珍事が起こりました。
 AIで作った脚本を声優が朗読するというイベントが、急きょ、中止となりました。

 理由は、簡単です。

 AIは、膨大なデータを学習して、文章を仕上げています。
 ということは、過去の脚本などの著作物を無断で学習している可能性があります。

 「盗作脚本ではないか!」
 という声が上がっても、仕方ありません。

 さらに矛先は、演じる声優たちにも向きました。
 「出演する声優は応援しない」
 「中止すべきだ」
 といった批判的な意見が寄せられ、イベントは中止となりました。


 やっちまったな、AI!

 いずれこんなことが起こるのではないかと、思っていたんですよ。
 だって、すべてにおいて進歩が優先で、何の法整備もせずに世の中が構築され続けているのですから。

 いずれ、声優も要らなくなってしまうのでは?
 そんな心配もしてしまいます。
 だって、声優の声をAIに学習させれば、いいわけですから。


 恐ろしい時代になりました。

 人間にできるとこ、人間だからだきること、人間にしかできないこと……
 進歩の前に、一度、立ち止まって考えた方が、いいんじゃないですかね。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:30Comments(3)つれづれ

2024年04月11日

類はアナを呼ぶ


 昨日放送のエフエム群馬 『news ONE』 は、お聴きになりましたか?

 僕は今月から毎月第2週水曜日に、レギュラー出演することになりました。
 1回1話、温泉エピソードをお話しします。


 で、第1回目のテーマは、「4つある日本三美人湯」 でした。
 ちょっと矛盾していますよね?
 “三美人” なのに、“4つ” あるなんて?
 かなりディープな温泉エピソードを、お話ししました。

 なぜ初回から、こんなにもマニアックな温泉トークをしたのか?
 これには、理由があるんです。


 今までに僕は、テレビやラジオで、いくつものコメンテーターを務めてきました。
 その際、ほとんど局からの要望はなく、話のテーマは毎回、僕が提案するのが常でした。
 というのも、局の人は温泉のことは詳しくありません。
 また、視聴者や聴取者も同様ですから、初心者でも分かりやすい温泉の基礎話を求められたのです。

 よって、番組は変われど、常に、温泉の入門編をくり返し話していました。


 ところが、今回は違います。
 お相手の岡部哲彦アナウンサーは、温泉ソムリエの資格を持つ、大の温泉ファンです。
 打ち合わせの段階から、ハードルを上げてきました。

 たとえば、群馬県内の有名温泉地のネタを提案すると、
 「たぶん、みんさん知ってますよ」
 と却下され、
 「もっと、小暮さんでなければ知らないネタでお願いします」

 「いいんですか? 夕方のニュース番組ですよ?」
 「いいんです!」
 と、川平慈英風に応えるのも、本当は自分が知りたいからなのだと思います。


 案の定、マニアックな温泉ネタを提案すると、
 「へぇー、知らなかった! 今度行ってみます」
 とか、
 「面白いですね~、これにしましょう!」
 と、アナウンサーとしてではなく、温泉マニアの目になっていました。


 ということで、今までにない、温泉好きのトーク番組になってしまいました。
 ま、僕としては構わないのですが、リスナー的には、どうだったのかな?
 ご意見がありましたら、局までお寄せください。

 まさに、「類は友を呼ぶ」 ならぬ、“類がアナを呼んだ” 番組です。


 ※次回放送は5月8日です。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:04Comments(6)テレビ・ラジオ

2024年04月10日

天才は忘れた頃にやって来る?


 大谷翔平、藤井聡太、小暮淳

 さて、この3人に共通するものは、何でしょうか?


 チ、チ、チ、チ……(ストップウォッチ音)
 人間とか、男性とか、イケメンではありません。
 チ、チ、チ、チ、……


 正解は、「睡眠時間」 です。


 大谷選手は、飛行機の移動や遠征先でも、睡眠時間の確保を優先することで知られています。
 藤井名人は、テレビ番組で、「毎日午後11時くらいに寝て、朝の9時くらいに起きることもある」 と言っています。

 ともに約10時間の睡眠時間を取っています。
 天才は、よく眠るのです。


 僕もよく眠ります。
 平均約9時間は、寝ています。

 仕事の都合で、7~8時間の時もありますが、この日は、あまり体調が優れません。
 昼食後に眠くなり、午後に仮眠をとりたくなります。
 やはり、ベストは約9時間です。
 たまに10時超えもありますが、寝過ぎも体がだるくなるので、要注意です。


 みなさんの睡眠時間は、何時間ですか?
 「年齢に応じた適切な睡眠時間」 というのがあるので、紹介します。
 一般的な睡眠時間の平均値は、以下のとおりです。

 ~10歳    約8~9時間
 15~24歳  約7~8時間
 25~49歳  約6~7時間
 65歳~    約6時間
  (厚生労働省 「健康実態調査」 より)

 これを見ると、65歳以上は、たった6時間の睡眠で十分なんですね。
 今の僕には考えられません。
 6時間では、体力も知力も持ちませんって!

 ま、睡眠には個人差がありますからね。
 自分にとって、ベストな睡眠時間を維持することが、健康の基になるんじゃないでしょうか!?


 寝る子は育つといいます。
 確かに、2人の天才は睡眠により、立派に才能を開花しました。

 えっ?
 3人目は比較にもならない凡人だって?
 いえいえ、僕だって幼少の頃は “神童” と呼ばれていたんです。
 大人になってからは、なかなか華が開かず、“大器晩成” と言われ続けてきました。

 前期高齢者となった今、いつでも 「晩成」 を迎える準備はできています。
 ただ問題は、「大器」 かどうか? なんですけど……

 “天才は忘れた頃にやって来る” といいます。
 首を長~くして、待つことにします。
  


Posted by 小暮 淳 at 11:25Comments(0)つれづれ

2024年04月09日

「神社かみしばい」 4月口演


 早いもので、街頭紙芝居の手伝いを始めて、4年目になります。

 最初は、紙芝居の制作だけだったんですけどね。
 なんだか係わっているうちに、その昭和レトロ感に魅了されてしまいました。


 現在、伊勢崎市と玉村町の2会場で、定期的に開催しています。
 上演作品は、ご当地民話を題材にしたオリジナル紙芝居です。

 たぶん、僕が感じた昭和レトロな雰囲気が、令和の時代でも受け入れられたんでしょうね。
 伊勢崎市も玉村町も、回を重ねるたびに評判になり、新聞やテレビなどの報道陣まで、やって来るようになりました。
 やがて、市長と町長が顔を出すようになり、市議や町議まで足を運んでくれるようになり、ついには教育委員会が協力してくれるまでになりました。


 なぜ、令和の今、昭和の紙芝居がウケるのでしょうか?

 たぶん、そのスローライフな時間の流れにあると思います。
 紙芝居には、ネットやSNSが発達した便利な世の中にない、人と人が顔を合わせ、触れ合う温かさがあります。

 何よりも驚いたのが、子どもたちの反応です。
 どっぷりコンピューターゲーム世代のはずなのに、紙に書いた絵と語りというアナログな娯楽に夢中なんです。
 目をキラキラと輝かせて、毎回やって来る子もいます。


 「おっちゃん、はい、これ!」
 「僕も持ってきた」
 「わたしのも読んで」

 なんと、子どもたちは、自分たちで考えたクイズや紙芝居を画用紙に描いて、持ってくるようになりました。
 会場には、誰一人、スマホでゲームをしている子なんていません。

 時代なんて、関係ないんだ!
 いつの時代だって、子どもたちは、創造性に満ちあふれてる!
 そう、感じざるを得ません。


 大人たちは、昭和の子どもに戻って、来てください。
 子どもたちは、一緒に昭和の遊びをしましょう!

 駄菓子やおもちゃやゲームを用意して、お待ちしています。



       「神社かみしばい」 4月口演
 
 ●日時  2024年4月13日(土)、14日(日)
       10時、11時、12時、13時
       ※屋外開催 (悪天候時は室内)
 ●会場  伊勢崎神社 境内 (群馬県伊勢崎市本町21-1)
 ●入場  投げ銭制 ※ペイペイ可
 ●問合  壽ちんどん宣伝社 TEL.090-8109-0480

       ※小暮は14日のみの在社します。
  


Posted by 小暮 淳 at 10:16Comments(0)神社かみしばい

2024年04月08日

あさってオンエア! 『news ONE』


 レギュラー番組を担当するのは、9年ぶりになります。


 最初は2011年4月~2012年3月、NHK-FM前橋 『群馬は温泉パラダイス』。
 パーソナリティーを担当しました。

 次は2012年4月~2015年12月、群馬テレビ 『ニュースジャスト6』。
 長きにわたり、コメンテーターをしていました。


 そして、今年4月。
 エフエム群馬の夕方の情報番組に、レギュラー出演することになりました。
 その第1回放送日が、いよいよ明後日となりました。

 お相手は、エフエム群馬アナウンサーの岡部哲彦さん。
 温泉ソムリエの資格を持つ、大の温泉ファンです。
 彼のマニアックな質問に、僕が答えます。


 出演は、毎月2週目の水曜日。
 番組の中盤 (18:37頃)、「news ONE アラカルト」 のコーナーです。

 お楽しみに!



 ■放送日  毎月2週目水曜日 (1回目は4月10日)
 ■放送局  FM GUNMA (86.3MHz)
 ■番組名  『news ONE』 月~水 18:00~18:55
 ■出演者  岡部哲彦 (アナウンサー)、小暮 淳 (温泉ライター)
  


Posted by 小暮 淳 at 10:46Comments(0)テレビ・ラジオ

2024年04月07日

昭和おやじ VS 令和おやじ


 スマホを持たない僕ですが、スマホに囲まれた風景には、もう慣れました。
 最初は、違和感や嫌悪感もありましたが、これも時代の流れです。
 郷に従わないまでも、黙認しています。

 たとえば、駅の待合室や電車の中。
 十中八九の人が、老若男女問わずスマホをいじっています。
 「みんな、何を見てるのだろう?」
 と気にはなりますが、僕は、それを横目に新聞を広げています。

 たとえば、喫茶店やレストラン。
 若いカップルが向かい合いながら、食事をしています。
 が、会話はなく、2人ともスマホに夢中です。
 「せっかくのデートなのに、それでいいの?」
 なんて、お節介な心配をしますが、この光景にも慣れました。
 僕は、文庫本を開きます。


 スマホを見ようが、新聞を読もうが、それは個人の自由です。
 他人に迷惑をかけなければ、誰も文句は言いません。

 でもね、もし、それが、自分に害を被ってきたら、どうしますか?


 いつもの店の、いつもの席で、いつものように至福の酒を楽しんでいる時でした。
 カウンターには、気の置けない常連客が数人。
 僕は、隣の客と、たわいのない世間話をしていました。

 隣の客は同世代。
 “昭和あるある話” が大好きな、昭和 (を引きずった) おやじです。
 いつものように、昭和ネタで盛り上がっていました。

 「そうそう、○○○○の奥さんだよね!?」
 「ええと……、✕✕✕✕✕✕だ」
 「そうそう」
 なんていう他愛のない芸能人の話題です。

 「♪ チャーラララ、……次、何だっけ?」
 ✕✕✕✕✕✕のヒット曲です。
 「♪ チャーラララ? えーと、なんたらかんたら」
 どーでもいいんです。
 思い出せなくても、いいんです。
 所詮、昭和おやじの酒のつまみですから。

 「曲名、何だっけ?」
 「えっ、……」
 「あ~、思い出せない」

 すると、話を聞いていたママが言いました。
 「この、思い出しそうで思い出せないのが、いいんだよね。この間も芸能人の名前が出て来なくてさ、お客さんと大笑いしたのよ」

 それで、いいんです!
 我々、中高年は、この加齢による度忘れをゲームにして楽しんでいるのですから。


 すると、話を聞いていたカウンターの隅にいた客 (同年配) が、なにやらスマホをいじり出しました。
 イヤな予感がします。
 以前にも、お節介な客が、度忘れゲームを楽しんでいた時に、頼みもしないのに勝手にスマホで検索をして、正解を告げられたことがありました。
 これは、御法度!
 絶対に、やってはいけないルール違反です。

 推理小説を読んでいる人に、犯人を教えてしまうようなものです。


 察知した隣の客が、スマホを手にした客に向かって、言いました。
 「調べるのはいいけどさ。こっちに教えないでよ」
 聞こえているのか、いないのか、隅の客は無心にスマホをいじっています。

 「♪ チャーラララ……、何だっけ?」
 昭和おやじたちは、まだ、あきらめていません。

 と、その時です。
 スマホをいじっていた客が、ポツリとつぶやきました。
 「『△△△△△△△』 です」


 シーーーーーーーーーン
 一瞬、イャ~な空気が店内に流れました。

 あ~あ、言っちゃった!
 頼んでもないのに、言っちゃった!


 我々の完全なる敗北です。
 時代を読めない昭和おやじが、令和 (に馴染んだ) おやじに負けた瞬間であります。

 あなたの周りにも、いませんか?
 なんでもかんでも検索してしまう人?

 生きにくい世の中になりました。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:14Comments(0)酔眼日記

2024年04月06日

19歳のユーカラ ~SONGS of KAMUI~


 涙が止まりません。

 上映開始から2時間20分間。
 あふれ出る涙のしずく。
 そして、頬を伝う自分の涙が、温かいと感じました。


 遅ればせながら、映画 『カムイのうた』 (監督・脚本/菅原浩志) を観てきました。


 すべてにカムイ (神) が宿ると信じ、北海道の厳しくも豊かな自然と共存してきたアイヌ民族。
 この物語は、差別と迫害に満ちた民族の史実の歴史です。

 知里 幸惠 (ちり・ゆきえ)
 明治36(1903)年生まれ。北海道登別市出身。
 アイヌ民族である両親の間に生まれる。
 6歳で旭川市内のコタン (集落) に住む伯母のもとに引き取られ、尋常小学校に通う。

 15歳の時、伯母を訪ねて来た言語学者の金田一京助と出会う。
 アイヌ民族の文化を研究していた金田一は、アイヌの口承文学であるユーカラ (叙情詩) を後世に残すため、アイヌ語と日本語が堪能な幸惠に翻訳することを勧める。
 (パンフレットより)


 知里幸惠は、主人公・テルのモデルです。
 演じるのは若手女優の吉田美月喜さん。
 兼田教授役 (金田一京助) を加藤雅也さんが熱演します。

 そして全編にわたり心に響く、ユーカラの調べ。
 文字を持たず、文化を口伝えで伝承するアイヌ民族の唄。

 ユーカラをアカペラで歌う、伯母役のミュージカル歌手・島田歌穂さん。
 その歌唱は、圧巻でした。


 大正11(1922)年9月18日に、翻訳本は完成します。
 しかし、その日の夜、19歳の幸惠は……。


 気が付くと、僕の周りからは、すすり泣く声がします。
 終演後も、鼻をすする音が、あちこちから聞こえてきました。
 歳をとると涙もろくなるといいますが、それだけではないようです。


 ●カルカッタ国際映画祭 (インド) インターナショナル映画部門 最優秀賞作品賞 
 ●モントリオール・インディペンデント映画祭 (カナダ) 優秀作品賞
 ●グランド・シネ・カーニバル・モルディブ (モルディブ) 優秀作品賞
 ●ハーキュリー・インディペンデント映画祭 (スペイン) 優秀作品賞
   


Posted by 小暮 淳 at 13:02Comments(2)シネマライフ

2024年04月05日

大和魂が震える日


 昔、オヤジは巨人が負けると喜んで、長嶋がホームランを打つと喜んでいました。

 矛盾しているように思われますが、当時は珍しくなかったようで、そんな野球ファンがたくさんいました。
 いわゆる、“アンチ巨人の長嶋びいき“” という人たちです。


 でも今になって、その気持ちが分かるような気がします。
 僕は、野球オンチです。
 生まれてこの方、野球の観戦はおろか、テレビ中継さえ、ちゃんと見たことはありません。

 そう、大谷翔平の存在を知るまでは……


 昨日、その大谷翔平が米大リーグ・ドジャースの移籍後初の第1号ホームランを打ちました。
 その映像を観て、感極まり、目頭を熱くしている自分がいました。

 これって、何ですか?

 たぶん、日本中で野球オンチのにわかファンが、同じ気持ちになったんじゃありませんかね。
 「野球は、よくわからないけど、大谷は好き」
 という、なんとも不思議な連帯感が生まれています。

 いうなれば、そのスポーツのことは何も知らないけれど、オリンピックの日本代表選手を応援しているときの心情です。
 こんなとき、僕は自分が日本人であること確信します。

 大和魂なんですね。


 大谷という日本を代表する選手が、野球の本場アメリカで、一流の選手たち相手に、バッタバッタとホールランを打つ。
 昭和のプロレスやキックボクシングの観戦を思い出します。

 行け、力道山!
 行け、沢村!

 そして今は、打て、大谷!


 野球には興味がないけれど、これからも大谷翔平を応援します。
 だって、大谷が活躍した日は、魂が震えるんですもの。
  


Posted by 小暮 淳 at 10:19Comments(2)つれづれ

2024年04月04日

「じゅん」 と 「じゅん」


 自分と名前が同じだからかもしれません。
 昔から、お2人には親近感を抱いていました。

 「いしかわじゅん」 氏と 「みうらじゅん」 氏。
 お2人は、ともに漫画家です。


 いしかわじゅん氏は、現在購読している新聞に4コマ漫画を連載中で、僕は毎朝、真っ先に目を通すファンです。
 特に、登場するネコの 「正ちゃん」 が超絶にカワイイのです。
 八割れ顔の正ちゃんに、メロメロになっています。

 みうらじゅん氏は、僕と同い年。
 同時代のサブカルチャーに、いそしんで育ったという共通点もあり、より親近感がわきます。
 漫画家としてだけでなく、イラストレーターやエッセイストとしてもマルチな活躍をしている方で、「マイブーム」 や 「ゆるキャラ」 などの新語を生み出した先駆者でもあります。


 そんな2人の、漫画家以外の共通点って、知ってますか?

 小説家です!


 お2人が小説を書かれていることは、知っていました。
 でも、読んだことはありませんでした。
 正直に申せば、あえて手に取って、読んでみようとは思わなかったからです。

 ががっ!
 日々徳を積んでいる僕は、最近、運気が急上昇中であります。
 人との出会い、物との出合いが、奇跡的な頻度で訪れています。


 まさに、お2人との本との出合いも、ミラクルでした。
 某月某日、某古書店でのこと。

 時間つぶしに、文庫本の棚を眺めていると……
 いきなり、平仮名7文字が目に飛び込んで来ました。
 “いしかわじゅん”

 「ほほう、これが噂の小説ね」
 と手に取りました。
 そして、しばらくすると、また、平仮名6文字の名前が!
 “みうらじゅん”

 「あらら、偶然なこともあるものだ。しかも同じ “じゅん” つながり」
 ついでに僕も “じゅん” ですから、これは何か天啓のようなものを感じました。

 ゆえに、即、購入!


 いしかわじゅん・著 『吉祥寺探偵局』 (角川文庫)

 完全なるギャグ探偵小説。
 私立探偵の薬師丸金語楼と幼馴染の野間刑事のドタバタ劇です。
 2人の関係は、まるでルパンと銭形警部のよう。
 昭和に書かれた小説ですから、ギャグもコテコテの昭和。
 コンプライアンスなんていう意識がなかった時代ですから、暴言のオンパレード。
 それでも、なんとか探偵小説の体は保っているので、最後は必ず金語楼の推理が冴えます。


 みうらじゅん・著 『愛にこんがらがって』 (角川文庫)

 いやはや、彼は天才です。
 いや、基(もとい)!
 変態です。

 とにかく冒頭から、とんでもないストーリーが展開します。
 ミュージシャンの乾は、ライブが終わった後、突然、180cmはある身長の女に 「御主人様になってください」 と懇願されます。
 そして、その日から、御主人様と奴隷の関係が始まるのです。

 奇想天外なSM官能小説です。
 こちらもコンプライアンス的に、令和の現代では受け入れてもらえない作品かもしれませんね。
 でも、僕は好きです! (いい歳をして興奮しました)


 ということで、今日は大変貴重で珍しい本を2冊、ご紹介しました。
 勇気と好奇心のある方は、一読されたし!
 あなたの知らない未体験ゾーンへと、いざなってくれる迷著です。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:44Comments(2)読書一昧

2024年04月03日

死に急ぐ子どもたち➁ コロナの弊害


 <これまで以上に自殺リスクが高い状態が続く可能性が高い>

 2021年のコロナ禍に、さる大学教授が発表した言葉です。
 自粛→コミュニケーション不足→孤立化→孤独化
 その結果、18歳以下の自殺者数が過去最高になった年の新聞記事で見つけた言葉です。

 あれから3年。
 悲しいかな、教授の言葉は的中してしまいました。


 先日、厚生労働省と警察庁は、2023年の自殺者数の確定値を発表しました。
 それによれば、小中高生は計513人で、1980年の統計開始以降最多だった2022年の514人に次いで多かったといいます。
 “次いで” といっても、たった1人違いですからね。
 最多が続いている、危機的な状態には変わりありません。

 「行動制限が長く続いたコロナ禍で対人関係を学べず、学校や家庭での悩みが深刻化している可能性がある」
 (厚労省の担当者)

 自殺の原因・動機別では、「心身の健康問題」 「学業不振」 「交際問題」 「家庭問題」 が多かったといいますが、不思議なのは男子が減少しているのに対して、女子が増加傾向にあるということ。
 なぜ、なんでしょう?


 一方、自殺者の総数は前年から44人減って、2万1837人。
 一時の3万人超えからみれば、減少傾向にあります。
 ところが、全体では男性が増加、女性が減少しています。
 
 これは、むべなるかな。
 18歳以下とは、自殺の原因・動機が明らかに異なります。
 「経済・生活問題」 がダントツ。
 物価高を背景に、経済的に困窮する人が増えているからです。


 僕は、大人たちの自殺に、とやかく言うつもりはありません。
 でも、子どもの自殺は見過ごせません。
 学校と家庭という、小さな世界しか見ていないのです。
 その外に出れば、未知の自由が広がっていることを教えてあげたい。

 だから、子どもたちよ!
 今が嫌だったら、逃げろ!
 逃げて、逃げて、逃げまくれ!

 逃げ切った先には、キミを理解してくれる大人たちがいるから!
 それまで、歯を食いしばって、逃げ続けるんだ!
 死に急ぐ必要はないぞ!

 キミの心と命は、この世でたった一つの尊いものなんだよ。
   


Posted by 小暮 淳 at 11:08Comments(2)つれづれ

2024年04月02日

本業からの贈り物


 <先生に当日お約束させていただいたとおり、拙著の中から先生に一番ご覧いただきたい、『ランプ小屋の魔力』 という本をお送りさせていただきます。>

 昨日、郵便物 (スマートレター) が届きました。
 中には、書籍と一通の手紙。

 送り主は、過日の会合で知り合った作家でした。
 マニアックな本ばかり書いているため、それだけでは食えず、副業に医者をしているという一風変わった男です。
 (2024年3月31日 「うらやましき副業」 参照)


 “ランプ小屋” とは?

 彼の著書より引用すれば、
 ≪「ランプ小屋」 とは、鉄道で使用する油類を保管するための倉庫で、正式な名称は 「危険品庫」 といい、「油庫」 や 「灯室」 と呼ばれることもある。明治時代の鉄道黎明期には、まだ客車に電灯が装備されておらず、車内の照明はランプに頼っていた。そのランプの燃料である灯油の管理を行っていた建物であることから、「ランプ小屋」 の名称で呼ばれることが多くなった。≫
 とのことです。

 ん~、かなりマニアックな本です。
 鉄道マニアでも、「乗り鉄」 や 「撮り鉄」 ならば知っているけど、「小屋鉄」 がいることは知りませんでした。


 手紙の文面は、こう続きます。
 <もともとは高崎線の主要駅すべてに存在したはずのランプ小屋ですが、現在では新町駅にしか残存せず、県内でもわたらせ渓谷鐵道沿線にわずかに残るのみで、全国でも50ほどしか残っていません。明治~大正のロマンを感じる可愛らしい煉瓦造りの建築の魅力を、御高覧いただければ幸甚です。> 

 ほほう、ランプ小屋とは、そんなに貴重な存在なのですね。
 と、新町駅のページを開きました。

 赤茶色のレンガ倉庫の写真が、何点か載っています。
 確かに、どこかの駅で、こんな建物を見たことがあるような……
 でも、ふつうは気に掛けませんよね。


 でも、彼は違います。
 ≪高崎線の前身は日本鉄道で、新町駅のランプ小屋も同鉄道の建設区間に多い食パン型となっている。≫

 食パン型?

 本当だ!
 確かに倉庫の屋根が半円を描いていて、山型食パンのような形をしています。

 そう思って、他のページの他の駅のランプ小屋を見てみると……
 ほほう、なるほど!
 屋根や建物の形が違い、細かいところではレンガの積み方まで違うんですね。


 こりゃ~、ハマる人はいるかもしれませんね。
 しかも、一つ一つ訪ねるとすれば、「乗り鉄」 も 「撮り鉄」 も兼ね添えているわけです。

 ド素人ながら、なんとなく魅力が伝わってきました。
 今晩からグラスを片手に、 “一駅一ランプ小屋” の旅に出かけようと思います。

 笹田さん、素敵な本をありがとうございました。



 『ランプ小屋の魔力 鉄道プチ煉瓦建築がおもしろい!』 
 笹田 昌宏・著  イカロス出版  2,200円
   


Posted by 小暮 淳 at 11:32Comments(2)読書一昧

2024年04月01日

春だ! ラジオだ! レギュラーだ!


 いよいよ、今日から4月!
 新学期、新年度のスタートです。

 そう、春はスタートの季節です。
 みなさんは、何か新しいことを始めますか?


 僕は、ラジオ番組のレギュラー出演がスタートします!

 エフエム群馬の夕方の生放送情報番組 『news ONE (ニュースワン)』 (毎週月曜~水曜 18:00~18:55) は、ご存知ですか?
 担当は、岡部哲彦さん。
 そう、エフエム群馬が誇る、温泉ソムリエの資格を持つ、温泉大好きアナウンサーです。


 岡部アナとの出会いは、3年半前にさかのぼります。
 エフエム群馬で、4時間にわたる特別番組 『ぐんま温泉ラジオ』 が放送されました。
 僕はゲストコメンテーターとして出演し、スタジオからリスナーの質問に答えました。

 その時、草津温泉から生リポートをしたのが岡部アナでした。


 「お久しぶりです。その節は大変お世話になりました」
 今年になってから突然、彼から電話がありました。
 「春からの新コーナーに、レギュラーで出演してもらえますか?」
 「テーマは?」
 「もちろん、温泉です!」

 ということで、岡部アナがメインキャスターを務める夕方の情報番組に、今月から出演することが決まりました。


 僕の出演は、毎月第2水曜日。
 時間は毎回、番組のちょうど中頃 (18:37頃)、「アラカルト」 のコーナー です。

 お聴き逃しなく!



 ■放送日  毎月2週目水曜日 (1回目は4月10日)
 ■放送局  FM GUNMA (86.3MHz)
 ■番組名  『news ONE』 月~水 18:00~18:55
 ■出演者  岡部哲彦 (アナウンサー)、小暮 淳 (温泉ライター)
  


Posted by 小暮 淳 at 11:08Comments(4)テレビ・ラジオ

2024年03月31日

うらやましき副業


 「小暮さんは、増刷ありますか?」
 「うん、3冊かな」
 「いいなぁ~、僕はまだ1冊もないんですよ」

 過日、ある会合で、東京在住の作家と同席しました。
 彼は、まだ50代前半。
 でも作家歴は長く、すでに20冊を超える著書を世に出しています。

 ただ話を聞くと、かなりマニアックなオタク系の本ばかりです。
 失礼ながら、僕も彼の名前は知りませんでした。


 酒の力も借りて、僕らは互いの活動について、さらに深く語り合い出しました。
 いわゆる執筆活動についてです。
 彼は近々、また新刊が出るといいます。

 「でもね、なかなか食えないんですよ」
 「そんな~、そんだけ本を出していて?」
 「増刷のない、初版消えの物書きですからね」

 少し間が空いて、彼がポツリと言いました。
 「だから副業をしているんです」
 「副業?」
 「ええ、週3日だけ」


 週3日の副業って、何だろう?
 僕の脳裏には、手軽にできるコンビニや宅配便のバイトが浮かびました。
 「作家を続けるって、大変なんだな~」
 と思っていると、彼の口から驚くべき事実が告げられました。

 「ええ、医者やってるんです」
 「い、い、いしゃ~!?」
 「はい」


 後日、僕は彼の名前をネットで検索しました。
 すると大量の著作品が表示されました。
 また確かに、プロフィール欄には 「医者」 の記述もありました。

 今度は、医者としての彼を検索してみました。
 すると……
 ギェ、ギェギェギェーーーーーッ!!!!

 なんと、そこには 「○○クリニック 院長」 の文字が!
 ○○は、彼の名字です。


 これが、副業ですか?
 生まれて初めて僕は、医者が副業の人と会いました。

 でもね、彼にとって、もっとも情熱を注ぎ続けられる仕事が、本業だということなんですね。


 「新刊が出たら送りますね」
 一夜明けた翌朝、見送る彼に僕も手を振りました。
 「楽しみにしているよ」

 なんとも気持ちのいい、さわやかな男でした。 
   


Posted by 小暮 淳 at 11:08Comments(0)つれづれ

2024年03月30日

M嬢の新刊


 みなさんは、「M嬢」 を覚えていますか?

 昨年の5月、僕が東京を訪ねた際、2日間にわたりツアーコンダクターを買って出てくれた女性です。
 (2023年5月15日 「東京再会物語〈番外〉M嬢の誘惑」 参照)


 最初は彼女が僕の読者として出会い、今は僕が彼女の読者として交流が続いています。
 今月、そんな彼女の新刊が出版されました。

 『10代に届けたい5つの “授業”』 大月書店 (1,800円+税)


 今の学校に欠けている授業を、各分野のスペシャリストが授業風に、わかりやすく解説してくれる共著です。
 授業は、ジェンダー、貧困、不登校、障害、動物の5限に分かれています。
 彼女が受け持つのは、第5限の 「わたしたちは動物たちとどう生きるか」。

 彼女は作家でもあり、獣医でもあるのです。


 いやいや、とにかく目からウロコが落ちっぱなしの授業でした。
 化粧品の開発のための実験動物、劣悪な環境で飼育されている展示動物、ペットカフェなどの資本主義社会に翻弄される野生動物……
 そして、震災後、被災地に取り残されたペットや畜産動物の実情には、目を疑ってしまうような光景がありました。

 みんなみんな、知らないことばかり。


 本書は “10代に届けたい” というタイトルですが、大人にこそ読んでほしい一冊です。
 すべて昭和や平成では、避けてきた授業内容です。
 令和の今こそ、ちゃんと知って、正しく理解したい授業だと思います。

 興味を持った方は、ぜひ、お近くの書店またはネットで、お買い求めください。



 『10代に届けたい5つの “授業”』 大月書店 (1,800円+税)

 〈編著〉
 生田武志・山下耕平
 〈著者〉
 松岡千紘・吉野靫・貴戸理恵・野崎泰伸・なかのまきこ
  


Posted by 小暮 淳 at 10:20Comments(0)読書一昧

2024年03月29日

遭わなかった小学生


 テレビのニュースやワイドショーで、大谷翔平を見ない日はありません。
 大谷選手本人の活躍もさることながら、このところもっぱらの話題は、元通訳のスポーツ賭博をめぐる問題です。

 “ギャンブル依存症”

 言葉は知っていても、麻薬依存症同様、身近にはいません。
 でも、ギャンブル依存症は、日常生活や社会生活に支障が生じ、治療を必要とする病気なんですね。


 依然、僕がスマホを持っていないからでしょうか?
 僕から見れば、スマホをいじっている人は、すべて依存症に見えてしまいます。

 実際に依存症にかかってしまった人も多いらしく、“スマホ断ち” を行っている人が増えているそうです。
 先日、テレビでやっていたのは、山奥の電気がなくランプで過ごす一軒宿にやって来る若者たちの実態。
 その目的とは?

 「電気と電波のない環境に身を置かないと、スマホ断ちができないから」
 とのことでした。


 そんなスマホ依存症は、スマホの普及とともに低年齢化を招いています。
 数日前の新聞に、ショッキングな記事を見つけました。

 ≪SNS原因 児童被害139人≫
 ≪23年最多 大半が性犯罪≫


 警視庁は、2023年にネット交流サービス(SNS)のやり取りをきっかけに犯罪の被害に遭った小学生が139人(前年比25人増)だったと発表しました。
 統計のある2008年以降で最多となり、2013年(28人)の約5倍に増えたと報じています。
 警視庁によれば、小学生のスマホの利用率が高くなっていることが背景にあるとのことです。

 内閣府の調査によると、小学生のスマホの利用率は2018年度の45.9%から、2022年度には59.5%に上昇。
 現在の利用率は、それ以上になっています。


 アナログ派の僕には、まったくもって訳が分かりません。
 スマホを持っている皆さんには、なぜ小学生が性犯罪の被害者になってしまうかが、分かるんでしょうね。

 新聞によれば、“出遭い” は、こうでした。
 <被害に遭った小学生のうち、94人は自身の投稿をきっかけに加害者と知り合っていた。>
 <知り合ったSNSなどはティックトックやインスタグラムが多いが、オンラインゲームの割合も中高生らを含めた全体(5.3%)より高い18.0%だった。>

 年齢別の被害では11~12歳が最も多く、犯罪の種類別では「児童ポルノ」 「不同意性交等」 「不同意わいせつ」 の順に多く、この3つで約8割を占めています。
 スマホがなかったら、犯罪に遭わなかった小学生たちです。


 いやはや、令和という時代は訳が分かりません。
 昭和人間には、世の中がハイテク過ぎて、ついていけないのです。

 でも、犯罪は犯罪です!
 どんなに便利になろうが、子どもたちの安全は、大人たちが守ってやるしかないのです。


 あなたはスマホ依存症、大丈夫ですか? 
   


Posted by 小暮 淳 at 10:46Comments(0)つれづれ

2024年03月28日

浴室に浮かぶキツネの姿


 猿ヶ京温泉 (みなかみ町) には、こんな民話があります。

 <昔、旅の夫婦が大きな空き家に、一夜の宿を借りてから、そこに男の子が現れるようになりました。奥さんが、その男の子と遊んであげると、男の子は 「奥の座敷の床下を掘ってください」 と言いました。言われたとおり夫婦が掘ってみると、なんとそこには、大判小判の入った金瓶が埋まっていました。その後、夫婦はその家で暮らすようになり、座敷わらしに似た可愛い男の子をもうけ、末永く幸せに暮しました。>
 (『座敷わらしの家』 より)


 僕は2018年に 『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) という著書を出版しました。
 この本は、高崎市のフリーペーパー 「ちいきしんぶん」 の2007~18年に連載されたシリーズに加筆・訂正を加えたものです。
 出版後、しばらくシリーズは休載していましたが、昨年12月より 『続・民話と伝説の舞台』 として、不定期ながら連載が再開しました。

 ということで、新シリーズの取材で猿ヶ京温泉へ行ってきました。
 訊ねたのは、民話に登場する夫婦から数えて19代目になるという子孫が経営する旅館です。

 今でも旅館には、宿泊客から座敷わらしの目撃話が多く寄せられています。


 「これを見てください」
 取材開始早々、ご主人は何冊ものノートを持ってきました。

 “自由画帳”

 このノートには、宿泊客が書いたたくさんの感想が残されています。
 当然、座敷わらしの目撃例も。
 男の子を見た。女の子を見た。羽の生えている子もいた……


 しばらくは、ご主人と座敷わらし談議で盛り上がっていました。
 すると突然、
 「あっそうだ! こんな書き込みもあるんですよ」
 と、ご主人は一番新しいノートを開きました。
 日付は、今年の1月です。


 <浴室の窓にキツネが現れました>

 若い女性のようで、イラストも描かれています。
 大きな窓の中に立っている、鼻と耳がとがったキツネの絵です。


 「で、これを見てください!」
 ご主人は、タブレットを差し出しました。
 「この書き込みを見て、すぐに浴室へ行ったんですよ。そしたらキツネの姿が、残っていたんです」

 タブレットの画面には、女湯の内風呂から外を写した写真が、数点ありました。
 「ほら、これ! キツネでしょう!」


 一瞬、僕の背中に、冷たいものが通り抜けました。
 まさに、ノートに書かれていたイラストそのものでした。

 内風呂と露天風呂の間にある大きなサッシ窓。
 外気との温度差により、内側は結露して無数の水滴が付いています。
 その水滴が、見事にキツネの姿を描いているのです。

 「本当ですね。これは誰が見てもキツネに見えます」
 「でしょう! 見に行きますか?」
 「えっ、いつでも見られるんですか?」
 「わかりません。今日は休館日で湯を張ってないから、出ないかもしれませんけど……」


 ご主人に案内されて、浴室へ。
 でも、やはりキツネの姿はありませんでした。


 座敷わらしとキツネ
 なにか関係があるのでしょうか?

 謎学の旅は、つづく。
  


Posted by 小暮 淳 at 10:18Comments(0)謎学の旅

2024年03月26日

徳積貯金


 彼岸に墓参りをしたからでしょうか?

 なんだか、このところ毎日が、トントン拍子に進んでいます。 
 会いたいと思っていた人と偶然に会ったり、疎遠で連絡を取りたいと思っていた人から突然電話が来たり、なかなか予約が取れない歯医者の予約が希望日に取れたり……。
 キャンセルになった日に、すぐさま別の仕事の依頼が入ったこともありました。
 偶然に偶然が重なって、3日かかる取材が1日で済んだこともあります。


 ここまで運気が上昇すると、怖いくらいです。

 でも、死んだオフクロなら、こんな時、こう言うんでしょうね。
 「今まで徳を積んできたからだよ」 と。


 晩年、オフクロは寝たきりの生活をしていました。
 ときどき僕は、実家に泊まり込み、食事や下の世話をしていました。
 そして、オフクロが起きている時はベッドの隣のイスに腰かけて、話し相手になりました。

 話し相手といっても、寝たきり老人ですからね。
 オフクロの話題は、読んだ本とラジオで聴いた話くらいなものです。
 もっぱら僕が、仕事で行った温泉の話や取材先での出来事などを話していました。

 ついつい、愚痴をこぼしてしまう時もありました。
 友人や家族にも言えないことも、なぜかオフクロには言えるんですね。


 やることなすことが、うまくいかない時は、必ず、こう言われました。
 「徳が足りないからだよ。もっと徳を積みなさい」
 そして、本の出版が決まったり、テレビやラジオに出演をした時など、いいことがあると、こう言うのです。
 「徳を積んできたからだよ。神様は、ちゃんと見ているんだからね」

 爾来(じらい)、僕は、どんな嫌なことが起きても、「今は徳を積んでいるんだ」 と思えるようになりました。


 でも、これだけ毎日がトントン拍子に進むと、この先が不安になります。
 いったい、あと、どれくらい積んだ徳は残っているのでしょうか?
 そろそろ、使い果たしてしまうのではないでしょうか?

 やがて、残高不足の知らせが来るようで、心配になります。


 かーちゃん、徳の積立貯金の残高って、どうすれば調べられるんだよ?
 そこんところ、教えてくなかったじゃねーか!

 なに?
 「そんな心配をする前に、コツコツと徳を積みなさい」
 ってか!?


 コツコツ、コツコツだね。
 わかったよ、かーちゃん!
 次は、5月の命日に報告に行くからね。
  


Posted by 小暮 淳 at 12:54Comments(2)つれづれ