2018年05月23日
沢渡温泉 「まるほん旅館」⑥
<しんしんと雪降る宿で福田おやじとサトボオと酒を飲むと、深夜〇時になってしまった。サトボオは純朴なマジメ人間で、まだ発展途上の道楽者予備軍である。福田おやじは「これで、まるほん旅館は安泰です」と感慨深げだった。>
(嵐山光三郎著『日本百名町』光文社知恵の森文庫 より)
今日は雑誌の取材で、中之条町の沢渡(さわたり)温泉へ行って来ました。
思えば、昨年6月のNHKBSプレミアムの旅番組のロケ以来ですから、ちょうど1年ぶりになります。
午前8時、共同浴場に着くと、沢渡温泉組合長の林伸二さんが出迎えてくれました。
「小暮先生が来られるというので、また、こちらを用意しておきました」
と、沢渡温泉名物の 「きび大福」 を渡されました。
別に “先生” ではないのですが、中之条町の観光大使をしているからでしょうか、なぜか組合長は僕のことを 「先生」 と呼ぶのです。
そして会うときは、必ず僕の大好物の 「きび大福」 をくださるのです。
組合長との雑談と、共同浴場での写真撮影の後、隣接する 「まるほん旅館」 へ。
温泉ファンなら誰でも知っている創業400年の老舗旅館です。
そして、作家の嵐山光三郎先生が、著書の中で 「サトボオ」 と呼ぶ16代目主人の福田智さんのいる宿です。
有名な話ですが、智さんは元銀行員で、湯と歴史と先代の主人に惚れ込んで、脱サラして福田家に養子として入ったという異色の “湯守人” であります。
その経緯については、嵐山先生や僕の著書をお読みください。
「まずは、湯をいただいてきます」
と勝手知った館内を、ドカドカと歩いて、名物の混浴大浴場へ。
といっても、今日は休館日なので、他に客はいません。
貸切であります。
別名、「ひのき張り湯小屋風呂」。
群馬県内でも3本の指に入る、僕の大好きな湯殿です。
湯殿もいいが、なによりも湯がいい!
湯葉のように幅広の湯の花が、ゆらゆらと湯の中をたゆたう姿は、なかなか他の温泉では見られるものではありません。
隣の共同浴場と同じ源泉なのに、なぜか湯の花のサイズが違うのです。
(共同浴場の湯の花は、もっと小さくて細かい)
極楽、極楽!
やっぱ、ここの湯、好きだわ~!!
と、声を出さずにはいられない至福感を存分に堪能してきました。
湯上がりは、サトボウこと智さんとコーヒーをいただきながら、いつもの温泉談義に花を咲かせてきました。
またしても彼の温泉に対する情熱に触れ、「負けるもんか!俺だって」 という闘志が湧いてきたのであります。
もっともっと、沢渡温泉の湯を全国の人に知ってほしいものです。
Posted by 小暮 淳 at 20:58│Comments(0)
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