2022年10月17日
ぐんま湯けむり浪漫 (23) 相間川温泉
このカテゴリーでは、2017年5月~2020年4月まで 「グラフぐんま」 (企画/群馬県 編集・発行/上毛新聞社) に連載された 『温泉ライター小暮淳の ぐんま湯けむり浪漫』 (全27話) を不定期にて掲載しています。
※名称、肩書等は連載当時のまま。一部、加筆訂正をしています。
相間川温泉 (高崎市)
七色に変化する虹色の湯
榛名山の西麓を流れる相間川(あいまがわ)の奥地。
旧倉渕村が都市生活者のために遊休農地を整備して貸し出している市民農園 「クラインガルテン」 が広がる。
クラインガルテンとは、ドイツ語で 「小さな庭」 の意味。
本場ドイツにならい都市農村交流を目的として、平成4(1992)年に日本で初めてオープンした本格的農園である。
約1万3000坪の敷地内には農園のほか、ログハウスやバーベキュー場、体育館など、スポーツやアウトドアを滞在しながら楽しめる施設が併設されている。
温泉が湧いたのは平成7(1995)年3月のこと。
源泉の温度は約62度と高温で、湧出量も毎分約200リットルと豊富だった。
何よりも関係者を驚かせたのは、温泉の色だった。
湧出時は無色透明だが、時間の経過とともに赤褐色に変わり、レンガの粉のような析出物が大量に沈殿した。
鉄分を多く含んでいる証拠だった。
さらに高濃度の塩分を含み、大量の油分も含んでいた。
油分は太古の地層から抽出されたもの。
地下に閉じ込められていた海水内の微生物が、地熱と地圧により変化したものと考えられている。
原油が生成される原理と同じとのこと。
湯からは、ほのかに石油のようなにおいが漂う。
時に、この油分が湯面に膜を作る。
日光に照らされると七色に変化することから、温泉ファンの間では 「虹色の湯」 とも呼ばれている。
長湯禁物!湯あたり注意!!
宿泊棟を併設した 「ふれあい館」 は、登山客やアウトドアを楽しむファミリー層に人気が高い。
平成8(1996)年のオープン時は、口コミでうわさが広がり、山道が渋滞して交通整理が必要なほどだったという。
その “うわさ” とは、湯の色とにおいだった。
同12(2000)年には、旧倉渕村の福祉センターとして日帰り入浴施設 「せせらぎの湯」 がオープン。
合併後の現在でも市内者割引があるため、利用客の9割を高崎市民が占めている。
憩いの場として、平日でも朝からにぎわっている。
「ふれあい館」 副支配人の秋山博さんは話す。
「温泉法で10年に一度の分析検査が定められていますが、10年前の検査より成分が全体的に濃くなっています」
濃いにごり湯のため、足元が見えない。
恐る恐る、ゆっくりと湯底を足で確かめながら入った。
うわさどおり、においも金気臭にまざって油臭がする。
かなり個性的な湯であることが分かる。
体の位置を変えようと、手をついた瞬間だった。
フワリと尻が浮いてしまった。
それほどに塩分が濃い、塩辛い湯である。
浴室には、こんな貼り紙がされている。
≪カップラーメン お湯を注いで3分 相間川の温泉(おゆ) 入っても7分! これ以上は、のびるだけ≫
塩分と鉄分の多い温泉は、実際の温度よりも体感温度が低く感じられるといわれている。
そのため、ついつい長湯をしてしまい、のぼせてしまう客が多いのだそうだ。
入浴の際は、くれぐれも湯あたりには注意をしていただきたい。
<2019年10・11号>
Posted by 小暮 淳 at 12:00│Comments(2)
│湯けむり浪漫
この記事へのコメント
だんだん寒くなると、ここへ行ってゆっくり温泉に入りたくなりますね。
Posted by センネンボク at 2022年10月17日 20:37
センネンボクさんへ
塩分、鉄分の多い湯は、体がよく温まりますものね。
湯冷めをしにくい、というのも冬には嬉しい温泉です。
ますます温泉が恋しくなる季節になりました。
塩分、鉄分の多い湯は、体がよく温まりますものね。
湯冷めをしにくい、というのも冬には嬉しい温泉です。
ますます温泉が恋しくなる季節になりました。
Posted by 小暮 淳 at 2022年10月18日 10:27