2024年10月30日
おっちょこちょいのオバケ
先日の中川李枝子さんの後を追うように、また児童文学の巨星が逝ってしまいました。
絵本作家のせなけいこさんです。
92歳でした。
中川李枝子さんの本は、僕自身の子どもの頃の思い出でした。
(2024年10月9日 「エルタのいた庭」 参照)
でも、せなけいこさんの絵本は、大人になってからの思い出です。
今から40年ほど前のこと。
夢破れて都落ちした僕は、一時、実家で暮らしていました。
その時、兄夫婦の都合により、4歳の姪っ子を両親が預かることになったのです。
必然的に、当時無職だった僕が、姪っ子のお守り役を命じられました。
公園へ連れて行ったり、本を読んであげたり、一緒に昼寝をしたり……
なかでも姪っ子のお気に入りは、絵本の朗読でした。
といっても僕が読み聞かせするのではなく、姪っ子自身が読んで、それに僕がギターでBGMを奏でる。
または僕のギターの伴奏に合わせて、姪っ子がメロディーをつけながら絵本を歌い上げるのです。
姪っ子のお気に入りは、せなけいこさんの 「めがねうさぎ」 シリーズ。
中でも 『おばけのてんぷら』 という絵本は、毎日読んでいました。
だから僕も、すっかり内容は覚えてしまいました。
主人公のうちこちゃんが天ぷらを揚げていると、驚かそうとしてやって来たオバケが、うっかり天ぷらのころもの中に落ちてしまいます。
そうとは知らずに、うさこちゃんはオバケを箸でつまんで油の中へ!
さあ、そのあとは、どうなってしまうのでしょうか?
気になる方は、ぜひ、ご一読ください。
数年前の正月のこと。
「叔父さん、『おばけのてんぷら』 のカセットテープが出てきたよ」
姪っ子は、そういってレコーダーで再生しました。
♪ お~ば~け~の~て~ん~ぷ~ら~ ♪
甲高い子どもの声が流れてきました。
ギターの音も聴こえます。
「叔父さん、覚えている?」
「ああ、懐かしいね」
と言って笑いました。
そんな姪っ子も、今では一児の母であります。
おっちょこちょいのオバケの話は、僕と姪っ子の大切な思い出となりました。
せなけいこさん、ありがとうございました。
ご冥福をお祈りいたします。
Posted by 小暮 淳 at 13:07│Comments(2)
│読書一昧
この記事へのコメント
なんだかメルヘンのようですね。
絵本を読む少女とそれに合わせてギターを奏でる都落ちした主人公。いいなぁ。
絵本を読む少女とそれに合わせてギターを奏でる都落ちした主人公。いいなぁ。
Posted by まいちゃ at 2024年10月31日 22:28
まいちゃさんへ
当時、姪っ子と一緒にいると、知らない人から 「ボク、いいね。パパと一緒で」 と言われました。
その時、「ボクじゃないし、パパじゃないのにね」 と言った姪っ子の可愛かったことを覚えています。
今、思うとメルヘンですね。
当時、姪っ子と一緒にいると、知らない人から 「ボク、いいね。パパと一緒で」 と言われました。
その時、「ボクじゃないし、パパじゃないのにね」 と言った姪っ子の可愛かったことを覚えています。
今、思うとメルヘンですね。
Posted by 小暮 淳 at 2024年11月01日 10:23