2013年09月04日
本白根温泉 「嬬恋プリンスホテル」
天は我を見放したのか!
日本全国には、露天風呂がない温泉宿は、あまたとあります。
そんな温泉宿を訪ねると、
「ああ、ここには、かたくなに湯を守り続けているガンコな湯守(ゆもり) のオヤジがいるんだな~」
なんて、ちょっぴり、うれしくなってしまいます。
バブル期に、猫も杓子も露天風呂を造ったブームがありましたからね。
「背に腹は代えられませんよ。だって、露天風呂がないというだけで、予約電話を切られてしまうんですから」
と、中庭や駐車場に無理やり小さな露天風呂を造った宿を、たくさん見てきました。
で、昨日訪ねた本白根温泉の 「嬬恋プリンスホテル」 は、全国でも大変珍しい!
“露天風呂しかない”
温泉宿なのであります。
なぜ、内風呂がないのか?
はい、それは標高1,126(いいフロ) メートルの絶景パノラマが売りだからです!
それゆえ、露天風呂しかありません。
しかも、憎いのは、洗い場が別になっていること。
脱衣所 → 洗い場 → 露天風呂
という造りになっています。
だから、湯舟の中から、体を洗う他の客の姿を見ることはありません。
(これは、素晴らしい!)
浴客は、ひたすら体を湯に温めながら、掛け値なしの大自然を思う存分眺めることができるのです。
な、な、なのに~~~~!!!!!
ホテルに着くなり、いきなり雨です。
当然、眺望はありません。
標高1,126メートルの高原は、厚い雲の中にスッポリと覆われてしまっています。
“ついてない” とは、このことです。
カメラマン氏と部屋の窓から、憎たらしい雨雲をにらめつけていました。
「明日の朝に期待しましょう」
と、夕食を済ませて部屋にもどり、地酒をあおって、早々に床に就いたのであります。
そして、一夜明けた今日・・・
窓の外は、昨晩に増して、激しい雨!
もう、外は真っ白で、何も見えませんって(涙)。
「仕方ないですね。また、天気の良い日に撮り直しに来ましょう」
とカメラマン氏にいわれ、しぶしぶ雨の降る露天風呂へ・・・。
晴れていれば、正面に浅間山の雄姿が見えるはずです。
そして、東に浅間隠山~鼻曲山、西に高峰山~東篭ノ登山~湯の丸山までの大パノラマが一望できたのに・・・。
仕方ありません。
リベンジあるのみ!です。
現場は常に筋書きのないドラマなのであります。
2013年09月02日
悲鳴を上げる温泉宿
温泉宿をめぐっていて、最近、よく目にする張り紙があります。
浴室の脱衣所に書かれた 「カメラ・携帯電話、持ち込み禁止」 の文字。
ついに、ここまできたか!
と、温泉を愛する者として、見かけるたびに憂えています。
“パチリ症候群” です。
レストランでも、食堂でも、どこでも、何でも、パチリ、パチリと写真に撮って、ところかまわずネット上で公開する人たちが、温泉地にも現れているということです。
「困ったもんですよ。なかには他の入浴客がいるのに無断で写して、訴訟騒ぎになったこともあるんですよ。ですから、うちは、絶対にケータイの持ち込みは禁止です!」
と、キッパリ言い放つ経営者もいます。
どうして、なんでしょうかね?
訪れた記念ですか?
違いますよね。
だって、デジカメやケータイが普及する前は、いつもカメラを持ち歩いて料理や風呂の写真を撮る人なんて、滅多にいませんでしたものね。
それって、僕らプロの仕事ですから!
でも僕たちプロは、ちゃんと、取材許可をとってから撮影をしていますからね。
決して宿に無断で、写真なんて撮りません。
でも問題は、それだけじゃないんです。
ブログやツイッターに写真をアップするだけならばまだしも、そこに “いい加減” なコメントを書き込む “にわか評論家” が、大勢いることです。
「助けてくださいよ。こっちにとっては営業妨害ですよ。料理がまずいだの、トイレが汚いだの、浴槽が小さいだの、従業員の態度が悪いだの、もう、言いたい放題ですからね。規制する方法は、ないんですかね」
と、悲鳴を上げている経営者に、何人も会いました。
さらに、それだけではありません。
今、もっとも困惑しているのは、秘湯の宿です。
そもそも湯治場ですから、観光旅館のような設備やサービスはありません。
なのに、クレーマーたちは、言いたい放題であります。
「露天風呂に洗い場がない!」
「シャワーがない!」
「サウナくらい作っておけ!」
「部屋にクーラーがない!」
「虫がいる!」
「川の音がうるさくて眠れない!」
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もう、枚挙にいとまがありません。
湯治宿だもの、基本、洗い場もシャワーもありませんって。
サウナなんて、もってのほかだよ。近所の日帰り温泉へ行きなさい。
標高1,000メートルの山奥だぞ、日が陰れば寒いくらいだ。
川の音がうるさいだ? そんな自然に癒やされたくて来たんじゃないの?
温泉宿のみなさん、あなたたちは本当にエライ!
客じゃなかったら、とっとと追い返しているでしょうね。
そろそろ、宿が客を選んでも、いいんじゃないですかね?
2013年09月01日
ロン毛道
♪若すぎるからと 許されないなら
髪の毛が長いと 許されないなら♪
<1970年 ジローズ 「戦争を知らない子供たち」>
♪僕の髪が肩までのびて 君と同じになったら
約束どおり町の教会で 結婚しようよ♪
<1972年 よしだたくろう 「結婚しようよ」>
♪就職が決まって 髪を切ってきたとき
もう若くないさと 君にいい訳したね♪
<1975年 バンバン 「『いちご白書』をもう一度」>
男にとって、髪が長いことが “自由” や “愛” や “夢” の象徴だった時代がありました。
1970年代は、僕にとっても、青春のド真ん中でした。
当時の若者は、体育会系でもないかぎり、誰もが肩にかかるほどの長髪でした。
もちろん僕も、ご多分にもれることなく、超ロン毛でしたよ。
ところが歌の歌詞のように、長髪はモラトリアム期の産物だったのですね。
大学を卒業して、就職が決まると、みんな、バッサリと “夢” と一緒に髪を切り落としていきました。
でも僕は、できなかった。
就職をすることも、髪を切ることも・・・
20代に付き合っていた彼女と、結婚を考えたことがありました。
でも僕は当時、まだ売れないミュージシャンで、ほぼ無職状態でした。
そのとき、彼女が僕に言った言葉があります。
「(結婚するなら) 髪を切って、定職に就いてね」
世間では一般的な常識でしたが、僕には彼女の言った言葉が、意味不明でした。
“結婚=髪を切る=就職する”
僕は、ついにこの方程式が解けず、彼女と別れました。
時が流れ、人並みに僕も、ロン毛のフリーターのまま、結婚をしました。
でも何年かすると、家内が妊娠をしたのです。
家内は僕に対して、別れた彼女のようなことは一切口にしませんでしたが、さすがに僕も子どもが授かると、無職のままではいられなくなりました。
で、雑誌社に就職したのですが、髪は切りませんでした。
何年か前に高校の同窓会があり、
「小暮は変らねーな。髪型まで、あの頃のままじゃねーか!」
と言われました。
思えば、高校1年生からですから、かれこれロン毛歴は、約40年になります。
今さらながら、なんで髪をのばしているんだろう?と思います。
好きでのばしているとも思えないし、不便なことのほうが多いし、夏は暑いし、良いことはありません。
トレードマーク?
とも考えますが、意識的にのばしているつもりもありません。
20代に別れた彼女に、
「なんで髪をのばすの?」
と訊かれたことがありました。
最近、その時に答えた返事を思い出したんです。
「これは願掛けなんだ。夢が叶うまでは、のばし続ける」
そーだったのか!
僕が髪をのばしている理由は、30年以上前から決まっていたんですね。
みなさ~ん!
もし突然、僕が髪を短くしたら、その時は、夢が叶ったか、夢をあきらめたか、どちらかだと思ってくださいね。