2010年12月29日
2010 メモリアル温泉(中)
出版本の取材が大詰めを迎えたため、5月、6月、7月は超多忙の日々を送りました。
特に6月は、1ヵ月間で17温泉をめぐるというハイペースでの取材活動でした。
2日に1日は温泉地にいたことになりまね。ほとんど家にはいませんでした。
5月の一湯目は、尻焼温泉でした。
現在、3軒の旅館がありますが、すべて源泉は異なります。
手前から「関晴館」(旧・関晴館別館)、長笹沢川を渡り「ホテル光山荘」、少し離れて根広集落に「白根の見える丘」(旧・白根ハイツ)があります。当然、一日では回れませんので、2度に分け、4日間かけて取材に入りました。
ここで特筆すべきは、「ホテル光山荘」の湯でしょうか。
唯一、自家源泉を所有しています。
その湯は、ひと言で言えば “熱涼しい” 摩訶不思議な湯。
入るときはガツーンと強烈な熱さを持って迎えるのに、沈んでいるとクールな清涼感がある。さらに湯上りが爽快で、なぜか汗をかかないのです。真夏に熱い湯に入りたい向きには、おすすめの湯であります。
素朴さが忘れられないのが、桜川温泉の「ふじやまの湯」。
宿の前を流れる桜川の流れは、まさに清流で、湯上りに浴衣のまま何度も眺めに出かけたくらいです。
その晩は、中村さん一家が、すべて手作りの味でもてなしてくれました。
僕は、あの豪勢な旅館料理というのが、ニガテなんですね。量も多くて、食べ切れません。
でも、ここの料理は、そのまま田舎のばあちゃんちのごちそうなんです。
奇をてらわず、山の食材だけを使い、煮物や酢の物など、ふつうの家の食卓のようで、取材を忘れてなごむことができました。
夕げの席で聞いた、2代目女将の中村せんさんの話も良かった!
「何もないところだから、せめて花を見せてあげたい」と、宿のまわりをお花畑にしています。
それも、タイツリソウやシラネアオイといった珍しい山野草が、ふつうに咲いているのです。
浴室から眺める、山野草の群生は一見の価値ありですぞ!
6月に入り、上牧温泉、谷川温泉、うのせ温泉、湯檜曽温泉、湯の小屋温泉と、水上温泉郷をじっくりと時間をかけて回りました。
どこも湯良し、宿良し、人良しで、なかなか充実した取材旅行だったのですが、実は個人的に、今年一年で絶対に忘れられない宿があります。「ああ、この仕事をしていたから、出会えた喜びなのだ!」と実感した出会いでした。
それは、うのせ温泉の「旅館みやま」です。
詳しくは著書に書きましたので、そちらをお読みください。
大正11年に、若山牧水が「みなかみ紀行」で泊まった沼田の旅館「鳴滝」が、移築されていたという事実。
それだけで、牧水ファンの僕は、その晩、興奮して、なかなか寝付かれませんでした。
また、今回の取材では、湯宿温泉「金田屋」のご主人が、特別に若山牧水が泊まった部屋で酒宴を開いてくださいました。本当にありがとうございした。
これも役得というものでしょうね。最高の宴でありました。
ちなみに、拙著 『群馬の小さな温泉』 の表紙は、湯宿温泉の共同湯「窪の湯」越しに眺めた、「金田屋」の2階客室であります。
下編へつづく。
特に6月は、1ヵ月間で17温泉をめぐるというハイペースでの取材活動でした。
2日に1日は温泉地にいたことになりまね。ほとんど家にはいませんでした。
5月の一湯目は、尻焼温泉でした。
現在、3軒の旅館がありますが、すべて源泉は異なります。
手前から「関晴館」(旧・関晴館別館)、長笹沢川を渡り「ホテル光山荘」、少し離れて根広集落に「白根の見える丘」(旧・白根ハイツ)があります。当然、一日では回れませんので、2度に分け、4日間かけて取材に入りました。
ここで特筆すべきは、「ホテル光山荘」の湯でしょうか。
唯一、自家源泉を所有しています。
その湯は、ひと言で言えば “熱涼しい” 摩訶不思議な湯。
入るときはガツーンと強烈な熱さを持って迎えるのに、沈んでいるとクールな清涼感がある。さらに湯上りが爽快で、なぜか汗をかかないのです。真夏に熱い湯に入りたい向きには、おすすめの湯であります。
素朴さが忘れられないのが、桜川温泉の「ふじやまの湯」。
宿の前を流れる桜川の流れは、まさに清流で、湯上りに浴衣のまま何度も眺めに出かけたくらいです。
その晩は、中村さん一家が、すべて手作りの味でもてなしてくれました。
僕は、あの豪勢な旅館料理というのが、ニガテなんですね。量も多くて、食べ切れません。
でも、ここの料理は、そのまま田舎のばあちゃんちのごちそうなんです。
奇をてらわず、山の食材だけを使い、煮物や酢の物など、ふつうの家の食卓のようで、取材を忘れてなごむことができました。
夕げの席で聞いた、2代目女将の中村せんさんの話も良かった!
「何もないところだから、せめて花を見せてあげたい」と、宿のまわりをお花畑にしています。
それも、タイツリソウやシラネアオイといった珍しい山野草が、ふつうに咲いているのです。
浴室から眺める、山野草の群生は一見の価値ありですぞ!
6月に入り、上牧温泉、谷川温泉、うのせ温泉、湯檜曽温泉、湯の小屋温泉と、水上温泉郷をじっくりと時間をかけて回りました。
どこも湯良し、宿良し、人良しで、なかなか充実した取材旅行だったのですが、実は個人的に、今年一年で絶対に忘れられない宿があります。「ああ、この仕事をしていたから、出会えた喜びなのだ!」と実感した出会いでした。
それは、うのせ温泉の「旅館みやま」です。
詳しくは著書に書きましたので、そちらをお読みください。
大正11年に、若山牧水が「みなかみ紀行」で泊まった沼田の旅館「鳴滝」が、移築されていたという事実。
それだけで、牧水ファンの僕は、その晩、興奮して、なかなか寝付かれませんでした。
また、今回の取材では、湯宿温泉「金田屋」のご主人が、特別に若山牧水が泊まった部屋で酒宴を開いてくださいました。本当にありがとうございした。
これも役得というものでしょうね。最高の宴でありました。
ちなみに、拙著 『群馬の小さな温泉』 の表紙は、湯宿温泉の共同湯「窪の湯」越しに眺めた、「金田屋」の2階客室であります。
下編へつづく。
Posted by 小暮 淳 at 15:22│Comments(0)
│温泉雑話