2012年09月29日
酔えば海路の日和あり
この業界は、“打ち上げ” をよくやります。
雑誌の発行でも、連載の開始でも、本の出版でも、1つの仕事が終われば “打ち上げ” をして、祝い、互いをねぎらい合います。
酒好きの僕には、大歓迎の慣習であります。
で、僕も忘れていました。
今月出版した 『みなかみ18湯〔上〕』(上毛新聞社) の打ち上げは、本が届いたその日にデザイナーやカメラマンら制作スタッフと居酒屋に集まってやったものですから、もうないものだと勝手に勘違いをしていました。
そーです!
考えてみたら、出版元との “打ち上げ” が、まだだったんですね。
うれしい誤算でした。
と、いうことで昨晩は、出版会社のある新前橋駅近くの海鮮居酒屋で、祝い酒を酌み交わしてまいりました。
出席者は、デレクターのK氏と出版部長のT氏、そして僕です。
真面目で、感情を抑えた、大人たちによる大人たちのための、おごそかなる酒宴の始まりであります。
いつもだと、ここで 「カンパーイ!」 と表現するところですが、昨晩は違います。
「おめでとうございます。では、乾杯」
と、実に渋い男たちなのであります。
目の前には、刺身の盛り合わせと日本酒の徳利・・・
当然、話の内容も過ぎてしまった出版話ではなく、早くも再来年に出版を予定しているシリーズ第6弾の企画話であります。
※( 『みなかみ18湯〔上〕』 が第4弾、来春出版予定の同下巻が第5弾になります)
すでにオファーが来ている温泉地もあり、どのようなコンセプトで制作を進めるか?という意見交換が、延々と続きました。
徳利が2本、4本、6本・・・
とカラになるうちに、話の内容も核心に触れて、ヒートアップしていきました。
その時です。
T部長が、それまでの話の流れを根底から、くつがえす事を言い出しました。
「小暮さんが温泉地に迎合することはないですよ。それより小暮さんが以前、話していた○○温泉は、いかがでしょう?」
はいはい、その話なら覚えています。
群馬県内の古湯と呼ばれる歴史ある温泉には、○○温泉と呼ばれる霊験あらたかな温泉があることをT部長に話したことがありました。
「それで行きましょう! 限定の温泉地が続きましたから、オファーの来ている温泉地は、まだ先でもいいでしょう」
と、K氏も賛同を始めます。
「企画としては面白いし、僕も以前から温めていたネタですから、可能ならばやってみたいですけど……。大変な仕事になりますよ」
と僕も、まんざらではありません。
いえいえ、できるものなら、ぜひ世に出したい本であります。
「では、まだ間もありますし、その方向で、追い追い企画を煮詰めていきましょう。よろしくお願いします」
と、なんとも大人チックなT氏の締めの言葉で、お開きとなったのであります。
過ぎたことを祝うバカ騒ぎもキライじゃありませんが、こうやって粛々(しゅくしゅく) と喜びの感情を未来へつなげる発展的な祝い酒もいいもんです。
だって、“酔えば海路の日和(ひより)あり” って言いますものね。
あれ、違いましたっけ?
Posted by 小暮 淳 at 18:57│Comments(0)
│酔眼日記