2017年10月09日
幻に始まり、幻に終わる。
「えっ、朝から獺祭(だっさい) ですか! いいなぁ~」
居酒屋 「T」 のマスターが、カウンターの中から目を細めながら振り返りました。
つくづく僕は、酒を飲むために生まれて来たんじゃないかと思います。
1年365日、酒のために働き、酒のために暮らしています。
もしも酒が飲めなくなったら……
その時は、死ぬ時かもしれません。
ああ、酒よ、酒!
お前は、なんで酒なのだ。
もしも、お前が女なら、とっくに溺れて、取り返しのつかない人生を送っていることだろう。
だけど、お前は酒だから、オレを裏切らない。
楽しい時には楽しい酒を、嬉しい時には嬉しい酒を。
そして、いつだってオレを励まして、明日への活力を注いでくれるのだ!
おお、酒よ、酒!
ということで、今年も行ってまいりました。
1年に1度、恒例の “12時間飲酒マラソン旅行” であります。
なんのことかといえば、僕が常日頃お世話になっている某社のバス旅行です。
毎年、特別枠で参加させてもらっています。
午前7時30分
高崎駅東口を出発したバスは、千葉県の成田山新勝寺を目指します。
でも、飲兵衛軍団には、行き先なんて、どこでもいいんです。
「酒、酒、酒をまわせ~!」
いつもなら朝イチは、缶ビールがまわるのですが、今年は違いました。
「どうぞ」
とコップが渡され、酒が注がれました。
「いきなり、日本酒からですか?」
引く僕に、Y 社長は、
「ただの日本酒じゃありませんよ。獺祭です」
「だ、だ、だっさいーーー!!!!!」
そう、注いでるボトルを見れば、確かに 「獺祭」 の文字。
あの、幻の酒であります。
純米吟醸酒だもの、四合瓶でも5,000円は下りませんぞ!
「カンパイ!」
「うー、うまし!」
起き抜けの身体に、染み渡ります。
「小暮さん、写真 、いいですか?」
スマホで、パチリ。
しばらくすると、
「早くも、“いいね” が来ましたよ」
と、Y 社長。
「どれどれ」
と覗き込めば、うれしそうに酒の入ったコップに頬を寄せている僕が写っています。
そして、
<小暮先生、朝から獺祭にご満悦!>
のキャプションが添えられてました。
獺祭は、すぐに終わってしまい、その後は缶ビールやチューハイ、ハイボールが飛び交い、昼はホテルのレストランで生ビールとワイン、そして帰りのバスでは 「菊水」 の一升瓶がまわりました。
なんという幸せでしょう。
午前の酒が切れた頃には昼の酒が入り、昼の酒が切れた頃には午後の酒が入る。
まさに飲兵衛には、天国であります。
午後6時30分
高崎駅に、無事帰って来ました。
「幻の酒で始まった旅です。終わりも幻で締めましょう!」
ということになり、バスを降りた Y 社長と僕は、イラストレーターの I 女史を誘い、夜の街へ。
「マスター、赤兎馬(せきとば) ロックね」
「まだ飲みますか?(笑)」
「はい、幻の日本酒で始まったら、幻の芋焼酎で締めないと、一日が終わりません」
酒って、いいですね。
Posted by 小暮 淳 at 15:59│Comments(0)
│酔眼日記