2019年09月12日
ほうびのH
今週は、すでに2つの講演会を済ませました。
2会場、計4時間。
テーマも、それぞれ 「温泉」 と 「民話」 と異なります。
正直、疲れました。
これは、六十路に入ってから、てきめんです。
10年前とは、雲泥の差です。
あの頃は、1日で2会場を掛け持ちしたり、午前中に別の仕事をこなしてから講演会場へ向かうことはザラでした。
なのに、今はダメです。
気力と体力が、持続できません。
1日1会場のみ、しかも、その日は絶対に前後に他の予定を入れません。
それくらい、気力も体力も減退しています。
ライターにとって、講演活動やセミナー講師は、いわば副業です。
観光大使や温泉大使の公務は、ボランティアです。
はたして、二足のわらじ、三足のわらじは、いつまで続けられるのでしょうか?
昨日、講演会の終了後、突然、倦怠感に包まれました。
そんなとき、僕の足は迷わずHへ向かいます。
ご存じ、我らのたまり場、酒処 「H」 であります。
残暑厳しい、夕方4時半。
もちろん、一番乗りを目指します。
案の定、まだ、カウンターに人影はありません。
「あらっ、早い」
仕込みの手を休めて、ママが迎えてくれます。
「うん、自分をほめてあげたいんだ。ごほうびの一杯、ちょうだい」
「あいよ」
「キーンと冷たいやつね」
そして、
「はい、お疲れさん。頑張ったね。カンパーイ!」
まだ5時前だというのに、2人だけの酒宴が始まりました。
やがて、1人、2人、3人と常連客が顔を出して、いつものにぎやかなHがやってきました。
「小暮さん、お久しぶりです」
「みんな来るの、早いよ。今まで、ママをひとりじめしてたのに」
「そうは、いきませんよ。ね、ママ!?」
ナスとピーマンのみそ炒め、ゴボウとレンコンのうま煮、厚揚げの網焼き……
奇をてらった料理は、何一つ出ないけど、一品一品、ママの愛情がてんこ盛りです。
飲むほどに、酔うほどに、気力と体力が時間をかけて蘇生していくのが分かります。
「オレって、まだまだ頑張れるかも」
そう思えてくるから不思議です。
僕にとって、HのHは自分への “ほうび” のHなのであります。
Posted by 小暮 淳 at 12:03│Comments(0)
│酔眼日記