2020年11月29日
温泉考座 (49) 「温泉に行く」
みなさんは 「温泉」 という言葉を聞いて、何を思い浮かべますか?
「温泉に入る」 と言えば、温泉水に入ることですし、「温泉に行く」 と言えば、温泉地や温泉施設へ行くことを意味します。
関西では、銭湯などの公衆浴場のことを 「温泉」 と呼ぶ人もいます。
日本語の 「温泉」 は、いくつかの違った意味合いで用いられる言葉であることが分かります。
温泉法では、<地中から湧出する温水、鉱水および水蒸気、その他のガス (炭化水素を主成分とする天然ガスを除く) のうち、「温度が25度以上あるもの」 または25度未満でも 「定められた物質が規定量以上含まれているもの」 を温泉> と認めています。
ですから “冷たい温泉” も存在するわけです。
しかし、温泉法には、さらに温度による分類があります。
<25度未満を 「冷鉱泉」、25度以上34度未満を 「低温泉」、34度以上42度未満を 「温泉」、42度以上を 「高温泉」 > と呼び分けています。
これによれば、やはり温泉は “温かい泉” ということになります。
なんとも、ややこしい法律です。
私は年間約100軒の温泉宿を訪ね、湯に入り、ご主人や女将さんから話を聞く取材活動を続けています。
もちろん、これが仕事ですから回数を自慢するつもりはありません。
温泉好きの中には、私以上に行っている人もいることでしょう。
先日、こんなことを私に言った人がいました。
「私も温泉が大好きでしてね。週に2~3回は行ってますよ」
一瞬、驚きましたが、話を聞いてみると、近所の日帰り温泉施設に通っているとのことでした。
確かに、街中にある入浴施設でも温泉水を利用していますから、「温泉」 には違いありません。
でも、そこには温泉地が長い間、大切に守り継いできた歴史や文化はありません。
やはり、「温泉に行く」 ということは、温泉水に入ることだけでなく、温泉地の持つ “温泉情緒” や “自然環境” の中に身を置くことだと思うのです。
<2014年5月14日付>
Posted by 小暮 淳 at 11:29│Comments(0)
│温泉考座