2021年04月09日
温泉考座 (80) 「復活した源泉一軒宿」
一度、地図から消えてしまった温泉が、何十年という時を経て復活することは、大変珍しいケースといえます。
そこには良質の湯が湧き続け、その効能が語り継がれ、それを惜しむファンの声が地元の人たちを動かしたとき、伝説が伝説ではなくなります。
平成の世に、かつて 「美人の湯」 と呼ばれていた幻の温泉が、見事によみがえりました。
上越新幹線の上毛高原駅から車で5分ほど。
大峰山の中腹に、日本の原風景のような段々畑と棚田の里が広がっています。
その絶景を見下ろす高台に、三角屋根の一軒宿、真沢(さなざわ)温泉 「真沢の森」 が、ポツンとたたずんでいます。
開湯は定かではありませんが、すでに江戸時代には湯小屋があったといいます。
痔(ぢ)や皮膚病に効く湯治場として、昭和の初期まで、にぎわっていました。
「昔から 『やけどや切り傷は、真沢の湯へ行けば治る』 と言われ、親しまれていたと聞いています」
と支配人 (当時) の武川恵二さん。
武川さんは、この土地で源泉を守り継ぐ5代目の湯守(ゆもり)でもあります。
祖父の代に源泉を手放してしまい、長い間、温泉は閉鎖されていました。
平成10(1998)年のこと。
かつての湯の効能を知る人たちから惜しむ声が高まりました。
当時の旧月夜野町長が 「こんないい湯を、このままにしておくのは、もったいない」 と源泉を買いもどし、休耕田を利用した市民農園を造成するとともに、交流施設として温泉宿を復活させました。
源泉はpH値 (水素イオン濃度) 9.6という強アルカリ性泉です、
ローションのようなトロンと肌にまとわりつく独特の浴感と、保湿効果があるメタけい酸を多く含んでいることが、昔から 「美人の湯」 と呼ばれるゆえんです。
露天風呂からは群馬の名峰、三峰山(みつみねさん)や日本百名山の武尊山(ほたかさん)を一望することができ、夏の夜には眼下の棚田に、無数のホタルが舞う光景を観賞することができます。
<2015年2月25日付>
Posted by 小暮 淳 at 10:45│Comments(4)
│温泉考座
この記事へのコメント
みなかみ温泉大使‥小暮先生、御無沙汰しています。私からも大好きな真沢温泉と地域をPRさせて下さい! 私からのキーワードは「美しい月」「棚田」「ホタルの里」「上毛高原」「美肌の湯」「坂東太郎」「R291」「森林浴」「美食の宿」「免疫力アップ」「ストレス解消」 お越しくださいな!利根川源流の健康になれる町へ。 旅館みやまセンターより
Posted by 水上のなべちゃん at 2021年04月09日 22:59
水上のなべちゃんさんへ
さすが地元ですね。
温泉以外の魅力も、たっぷりPRしてくださり、ありがとうございます。
ところで、“三山センターより” なんて、またまた大胡温泉に泊まられているのですか?
先日、女将さんと電話で話したばかりです。
なべちゃんさんのこと、覚えていましたよ!
さすが地元ですね。
温泉以外の魅力も、たっぷりPRしてくださり、ありがとうございます。
ところで、“三山センターより” なんて、またまた大胡温泉に泊まられているのですか?
先日、女将さんと電話で話したばかりです。
なべちゃんさんのこと、覚えていましたよ!
Posted by 小暮 淳
at 2021年04月10日 12:19

湯縁
4月10日、三枝の礼に由来する温泉に泊まってきました。
急な階段を登った小さいほうの風呂に一人で入ってると、すぐに、別の人が入ってきました。たまたま、一言二言話をしたら、とても話が合い、いろいろな温泉の話などをしました。
その人は、県外に住んでおり、温泉が大好きでいろいろな温泉に行っている方でした。群馬の温泉の8割以上は、入ったことがあるのではないかと思われる人でした。三山センターも行ったことがあるそうです。県内以外にも、埼玉、栃木、長野などの温泉も詳しい人でした。
なんと、その人とは、夜のお風呂で2回、朝ぶろで1回合計3回もばったり会いました。温泉以外のことでも、興味があるものに共通点があり、とても話が盛り上がりました。
もちろん、小暮先生の話もしました。『群馬には小暮淳さん言うスゴイ!温泉ライターがいる。群馬の温泉の本もたくさん書いている。群馬の温泉に入るなら温泉選びのバイブルになる。』などなど沢山PRしてしまいました。
その人とは、群馬のどこかの温泉で、バッタリ再会することを楽しみにしつつお別れをしました。
温泉に行く楽しみがまた一つ増えました。
4月10日、三枝の礼に由来する温泉に泊まってきました。
急な階段を登った小さいほうの風呂に一人で入ってると、すぐに、別の人が入ってきました。たまたま、一言二言話をしたら、とても話が合い、いろいろな温泉の話などをしました。
その人は、県外に住んでおり、温泉が大好きでいろいろな温泉に行っている方でした。群馬の温泉の8割以上は、入ったことがあるのではないかと思われる人でした。三山センターも行ったことがあるそうです。県内以外にも、埼玉、栃木、長野などの温泉も詳しい人でした。
なんと、その人とは、夜のお風呂で2回、朝ぶろで1回合計3回もばったり会いました。温泉以外のことでも、興味があるものに共通点があり、とても話が盛り上がりました。
もちろん、小暮先生の話もしました。『群馬には小暮淳さん言うスゴイ!温泉ライターがいる。群馬の温泉の本もたくさん書いている。群馬の温泉に入るなら温泉選びのバイブルになる。』などなど沢山PRしてしまいました。
その人とは、群馬のどこかの温泉で、バッタリ再会することを楽しみにしつつお別れをしました。
温泉に行く楽しみがまた一つ増えました。
Posted by センネンボク at 2021年04月11日 19:27
センネンボクさんへ
これはこれは、著書のPRをしていただき、ありがとうございます。
“三枝の礼” 由来の温泉とは、かなり渋い宿に泊まりましたね。
ご主人とは一昨年、NPOの合宿でお会いし、大変お世話になりました。
温泉の色は、いかがでしたか?
コロコロと万華鏡のように色が変わる温泉です。
稀に無色透明になるといいますが、僕はまだ出合ったことがありません。
これはこれは、著書のPRをしていただき、ありがとうございます。
“三枝の礼” 由来の温泉とは、かなり渋い宿に泊まりましたね。
ご主人とは一昨年、NPOの合宿でお会いし、大変お世話になりました。
温泉の色は、いかがでしたか?
コロコロと万華鏡のように色が変わる温泉です。
稀に無色透明になるといいますが、僕はまだ出合ったことがありません。
Posted by 小暮 淳
at 2021年04月12日 10:07
