2021年02月27日
忠治と落語
「“酒は百薬の長” なんてことをよく申します。でも、呑み過ぎはいけません。呑み過ぎはいけませんが、“ほどほど” に呑んでいただけますと、体のためになるという。これは医学的にもそう言われているそうでございまして……。お酒ってえのは、大変ありがたいものでございますが、中には、ありがたくもないお酒というのもございまして……」
<落語 『末期の酒』 より>
「瓢箪 (ひょうたん) から駒が出る」 といえば、冗談ごとが真実になることで、思いもよらぬことや、あり得ないはずのことが現実になることです。
僕の人生、行き当たりばったりのわりには、時々、この瓢箪から駒が飛び出します。
今回は、一編の記事から “落語” が飛び出しました。
読者のみなさんは、覚えていますでしょうか?
昨年9月に、高崎市内に配布されているフリーペーパー 「ちいきしんぶん」(ライフケア群栄) に連載している 「ぐんま謎学の旅」 というシリーズに、『忠治外伝 末期の酒 「牡丹」 を探しに』 という記事を書いた話を?
※(当ブログの2020年10月3日 「忠治が呑んだ酒」 参照)
この記事で、江戸時代後期の侠客、国定忠治が嘉永3(1850)年12月21日、大戸の関所 (群馬県東吾妻町) を破った罪により、関所近くの処刑場にて、磔(はりつけ)の刑に処せられた際、忠治が “末期の酒” に選んだのは、「牡丹(ぼたん)」 という酒だったことを書きました。
そして、その酒を造っていたのは、大戸村の 「加部安」 こと加部安左衛門という大富豪でした。
すでに、その酒蔵は無く、「牡丹」 は、幻の酒と呼ばれています。
昨年9月、僕は、この記事を行きつけの呑み屋で会う常連客の1人に見せました。
彼の名は、都家前橋 (みやこや・ぜんきょう)。
アマチュアの落語家さんです。
アマチュアといっても、落語の腕前は玄人はだし。
僕も何度か、落語会に寄せていただきましたが、いつだって彼は “取り” を飾っています。
その彼が、記事を読むなり、
「いいですね! この話は、そのまま落語になりますよ」
と、絶賛してくださいました。
そして2人は意気投合し、僕が彼に資料を送り、彼が物語を作り上げるという作業を続けてきました。
「完成したら、来年の春にでも、お披露目会を開きましょう!」
と話し合っていたのですが、なかなか新型コロナウイルスの感染が収束へと向かいません。
いつしか2人の間では、「来年の春」 が 「コロナが収束したら」 という口約束になっていました。
ところが思わぬ所から、2つ目の駒が瓢箪から飛び出しました!
ご存じ、群馬テレビの謎学バラエティー番組 『ぐんま!トリビア図鑑』 です。
僕は、この番組のスーパーバイザーをしています。
昨年末の企画会議の時に、この忠治が呑んだ 「末期の酒」 の話をすると、
「面白いじゃ、ありませんか! それ、番組でやりましょう!」
と、手を挙げたディレクターがいて、トントントンと話が進み、今週、番組の収録をしてきました。
リポーターは、「トリビア博士」 の異名を持つ、そうです!
僕です(笑)。
寒風吹く中、忠治が破った関所跡や磔の刑に処せられた処刑場跡、加部安の屋敷や酒を造った井戸をめぐり、そして加部安代々の墓がある菩提寺の住職にも話を聞いてきました。
夕方、ロケを終えた一行は、都家前橋さんが待つ、テレビ局のスタジオへ。
ほとんどワンテイク (一発撮り) に近い完璧な落語を披露してくださりました。
酒と忠治が結んだ縁は、170年の時を経て、またしても酒が落語との縁を呼びました。
さてさて、どんな番組になったのかは、放送を観てのお楽しみであります。
ぐんま!トリビア図鑑
#239 「伝説のお大尽 『加部安』 とは!?」
●放送日 2021年3月16日(火) 21:00~21:15
●再放送 3月20日(土) 10:30~10:45 22日(月) 12:30~12:45
●放送局 群馬テレビ (地デジ3ch)
Posted by 小暮 淳 at 12:51│Comments(0)
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