2014年05月19日
あの日の登山者
今は携帯電話がありますから、家の電話は滅多に鳴ることはありません。
たとえ鳴っても、ソーラーパネルや家庭教師、教材の業者からの勧誘電話だったりします。
だから、たとえ鳴っても、ナンバーディスプレイの表示を見て、知らない番号の場合は出ないことにしています。
今日、部屋で仕事をしていたら、珍しく家の電話がなりました。
表示を見ると、携帯電話の番号です。
携帯電話?
友人、知人、仕事関係の人なら直接、僕の携帯電話にかけてきますもの。
だって僕の名刺には、電話番号は携帯電話しか記載されていません。
珍しい人がいるものだな~、と思いながら受話器を取りました。
「小暮さんですか?」
「はい、そうですけど・・・」
「○○市のOです」
と言われても、瞬時には誰だか分かりません。
「???」
「昔、三峰山で写真を撮ったOです」
と言われて、初めて 「ああ~!」 と大声を上げました。
昔のことですから、おぼろげに名前は覚えていましたが、顔は思い出せません。
「突然、すみません。今日、書店で小暮さんの本を見て、買ったものでから……。なつかしくて電話をしてしまいました」
あれは、まだ次女が生まれる前のこと。
長女だって小学生の低学年で、長男は未就学だったと思います。
家族4人で、みなかみ町と沼田市の境にある三峰山(1123m) を登山した時のことです。
山頂近くの展望台付近で、1人の男性登山者に声をかけられました。
「写真を撮らせてください。とっても雰囲気がいいものですから」
と彼は、僕ら家族の写真を撮ってくれました。
「よろしければ住所を教えていただけますか? 写真を送ります」
彼は、フリーのカメラマンでした。
そして数日後、大きく引き伸ばされた家族の写真が届きました。
沼田市街地を見下ろす絶景をバックに、僕と家内と、まだあどけない長女と長男が写っています。
今でも我が家のリビングに飾られています。
「 『新 ぐんまの源泉一軒宿』、いいですね。今夜、じっくり読ませてもらいます」
あれから何年経ったんだろう・・・
長女の年齢を考えると、かれこれ20年近くになります。
その後、Oさんとは年賀状のやりとりはありましたが、この数年は音信不通でした。
それから30分もの間、なつかしさから、あれやこれや近況報告話で盛り上がりました。
「でもさ、小暮さん、だいぶ老けたね」
とは、当たり前でしょう!
20年前ということは、僕だってまだ30代ですからね。
そりゃ~、今と比べれば、肌の張りだって、人相だって、若かったはずです。
「えっ、孫がいるのーーーっ! あの時、会った女の子が母親なの!?」
と、だいぶ驚いていましたが、20年という年月は、それくらい永いということですね。
Oさん、ありがとうございました。
とっても、なつかしかったですよ。
本を書いていると、思わぬサプライズが起こるものですね。
Posted by 小暮 淳 at 21:55│Comments(0)
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