2018年05月21日
不自由なれど
すでに、ご存知のとおり、僕は週末、認知症のオヤジの介護をしています。
オヤジが認知症を発症してから、もうかれこれ10年になります。
年々、記憶は遠ざかり、加齢とともに体力もなくなり、今では自立歩行もままなりません。
今年94歳になる高齢ですから、仕方がないといわれれば、それまでなのですが、長引く介護に、僕もアニキも少々疲れを感じる今日この頃です。
平日はデイサービスとショートステイを組み合わして、実家でアニキが面倒を看ています。
週末になると、僕がオヤジを迎えに行き、我が家で引き取っています。
その間、アニキは東京の家族の元へ帰ります。
我が家では、1階の和室に布団を敷いて、オヤジを寝かせています。
起きているときは座椅子に座らせていますが、ほとんど目をつむっています。
「トイレも行かせたし、今なら、しばらく大丈夫かな……」
と寸暇を惜しんで、僕は2階の仕事部屋へ行き、急ぎの仕事を片付けようとするのですが、そうは問屋が卸してはくれません。
ドタン! バタン!
「ああああああーーーー!!」
オヤジが徘徊をして、廊下で転倒したり、玄関から転落して、カメのようにひっくり返って、手足をバタつかせているのです。
これでは、おちおち仕事なんてしていられません。
一瞬たりとも、目を離せないのが現状なのです。
ということで、このところは、オヤジが居る3日間は仕事をするのは、あきらめています。
その代わり、本を読んでいます。
でもね、一日中読書を続けるのも、飽きるものですよ。
しかも、締め切り原稿なんか抱えていると、「ああ、早く仕事をしたい。このオヤジさえ、いなければ……」 なんて恨み言の一つも言いたくなるのです。
でも、今回は、そんなストレスも吹き飛んでしまいました。
先週、今夏出版される著書の “ゲラ” が上がってきたのです!
ゲラとは、「ゲラ刷り」 のことで、印刷前の校正用の刷り物のことです。
この用紙に、校正をしながら訂正・修正の赤を入れるときが、ライターとしての至福の時なのであります。
まだ本文だけの初稿ですが、それでも130ページのゲラが、出版元より手渡されました。
「やった! これならオヤジの介護をしながらでも、仕事ができる!」
と、この3日間は、オヤジの目の前でゲラを広げて、黙々と赤ペンを走らせていたのであります。
「ダメだよ、じいさん! これは触っちゃダメなんだよ。仕事だからね」
時々、目を開けては、ちょっかいを出すオヤジをたしなめながらも、有意義な時間を過ごせたのでした。
介護は不自由なれど、やりようで、どうにかなるものです。
出版、間近!
気合が入ります。
Posted by 小暮 淳 at 13:34│Comments(0)
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