2018年10月28日
つぶれない理由
新刊 『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) が出版されて、約3ヶ月が経ちました。
各メディアが取り上げてくださったおかげで、売り上げも好調のようであります。
出版元からは、ちくいち、書店からの追加注文などの販売報告が入ってきます。
「やっぱり大手書店からが多いですか?」
B書店やT書店、K書店という大型書店では、レジ前で大々的にディスプレーをして販売をしてくださっています。
ところが出版元の担当編集者からは、意外な答えが返ってきました。
「それが○○堂さんなんですよ。早くも3回目の追加注文が入りました」
「えっ、○○堂って、あの古くて小さな本屋さんですよね?」
「そうなんですよ、ビックリしました」
○○堂とは、高崎市の旧市街地の商店街で、昔から商っている、いわゆる “町の本屋さん” です。
失礼な話、いつ前を通っても客の姿を見たことがありません。
「よくつぶれないな~」
と誰もが不思議に思う、町に残る絶滅危惧商店であります。
「なんで、そんなに注文が来るんでしょうね? 理由を訊きましたか?」
「どうも学校や病院からの注文らしいですよ」
そ、そ、そーだったのか~!!!
“さおだけ商売” だったんですね。
かつてベストセラーになった 『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』 という本を思い出しました。
町の中には、客がいないのに、なぜかつぶれずに商いを続けている店というのがあります。
布団屋さんとか、帽子屋さんとか……、今の時代 “町の本屋さん” も、そんな 「さおだけ屋」 だったのです。
その昔、といっても僕が20代の頃ですから、30年以上も前の話ですが、東京の下町にある商店街の小さな書店でアルバイトをしたことがありました。
駅からも離れていたため、客は地元商店街の人たちだけでした。
それも売れるのは、雑誌だけ。
それでも、つぶれませんでした。
しかもバイトは僕のほかに、もう一人いましたし、経理のオジサンまで雇っていました。
レジカウンターは、社長と奥さんが交替で、まるで銭湯の番台のように、日がな一日座っていました。
でも、忙しかったんです。
バイトを2人も雇うぐらい、毎日、仕事がありました。
では、その理由は……
配達です!
もう1人のバイトは、自転車で個人宅専門に回っていましたが、僕は学校や企業に入り込み、注文を取り、配達をしていました。
その量は、ハンパじゃありません。
毎日、段ボール箱を4、5個も車に積んで出かけていました。
○○堂さん、ありがとうございます。
あの頃の僕のように、わざわざ足を運んで、注文を取って来てくださったのですね。
そうやって頑張っている本屋さんが、まだまだ全国にはあること、忘れてはいけませんね。
Posted by 小暮 淳 at 12:31│Comments(0)
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