2020年07月26日
温泉考座 (12) 「消えたガラメキ温泉」
今回は、“消えた温泉” のお話をします。
かつて旅館があった温泉地のことです。
県内にも、いくつかありますが、そのほとんどは源泉の涸渇か、ダム建設に伴う湖底への水没で姿を消したものです。
だから、たとえ場所がわかっても入浴はできません。
ところが、榛名山中にあった 「ガラメキ温泉」 は、いまでも跡地に源泉が湧出しています。
ガラメキ温泉の3軒の旅館は、敗戦翌年の昭和21(1946)年4月、役場から突然、「72時間以内に立ち退きなさい」 と連絡を受けました。
榛名山中にある旧日本陸軍の相馬ケ原演習場を米軍が接収し、射撃訓練に土地を使用するという理由で、強制立ち退きを命じられたのでした。
平成11(1999)年9月、群馬県と榛東村が協議し、「温泉源泉台帳」 からガラメキ温泉を抹消しました。
したがって現在の地図には、もうガラメキ温泉の名はありません。
数年前の夏、私はカメラマンと連れ立って、ガラメキ温泉を目指しました。
古い地図によれば、場所は榛名山系鷹ノ巣山の山中に記されています。
沢を何度も渡り、崖崩れにより土砂に埋まった道を登り、約1時間の歩行の末に、たどり着くことができました。
旅館の跡を忍ばせる石垣が、所々に残っています。
源泉は沢の端に埋まったヒューム管の中から湧いていました。
泉温、約30度。
泉質は、炭酸塩類泉。
やけどや皮膚病に効能があり、「2~4週間滞在して温泉に入れば、きれいに治って毛やヒゲまで生えて来た」 と、当時を知る人たちは言います。
戦時中は、空襲でやけどを負った人たちが、湯治に通って来たこともありました。
私は意を決して裸になり、ヒューム管の中に身を沈めました。
体温より低い源泉は、夏といえども、かなり冷たい。
足底からは、プクプクと気泡とともに温泉が湧き出ている様が感じ取れました。
“ガラメキ” の語源は判然としませんが、かつて 「我楽目嬉」 と表記したことがあったと聞きます。
なんて素敵なネーミングなのでしょう。
<2013年6月19日付>
Posted by 小暮 淳 at 11:48│Comments(3)
│温泉考座
この記事へのコメント
ガラメキ温泉、懐かしいですね。
あの時、他にも来ていた人がいましたね
あの時、他にも来ていた人がいましたね
Posted by おー at 2020年07月26日 16:32
おーさんへ
これはこれは、カメラマンのおーさん!
その節は、大変お世話になりました。
ぜひ、また、仕事をご一緒したいですね。
これはこれは、カメラマンのおーさん!
その節は、大変お世話になりました。
ぜひ、また、仕事をご一緒したいですね。
Posted by 小暮 淳 at 2020年07月26日 22:23
はい、お願いします。
Posted by おー at 2020年07月27日 08:39