2021年06月18日
怪談 ~牡丹灯籠からトイレの花子さんまで~
僕は、あまり “幽霊” というものの存在を信じていません。
「あまり」 というのは、一度だけ見てしまったことがあるからです。
※(当ブログの2011年8月12日 「首のないボーイ」 参照)
信じてはいませんが、不思議なことは大好きです。
ライターという職業柄、“謎学” の解明はしますし、テレビ番組では “ミステリーハンター” という役柄でレポーターもしています。
それでも、根も葉もない “謎” には、興味を抱きません。
99%が嘘でも、残りの1%の真実を探し当てるところに、“謎学” の妙味があるからです。
でも 「怪談」 は好きです。
響きが、いいですね。
読んで字のごとく、「怪しい談話」 です。
なんとなく昭和の匂いを感じるし、何より文学の香りが漂います。
「怪談」 には、知的好奇心をくすぐられるのであります。
ということで、現在、群馬県立土屋文明記念文学館 (高崎市) で開催中の 『怪談~こわい話に花が咲く~』 に行って来ました。
近代文学者が手がけた怪談や奇談、また群馬県を舞台とした怖い話を集めた企画展です。
会場では、明治から昭和、現代にいたる怪談話が時代を追って展示されています。
三遊亭円朝の 「怪談牡丹灯籠」 や 小泉八雲の 「耳なし芳一」 から始まり、明治・大正になると、夏目漱石や泉鏡花、柳田國男、谷崎潤一郎、芥川龍之介、室生犀星といった、そうそうたる文学者の作品が並びます。
そして昭和……
江戸川乱歩や坂口安吾などの作家にまざって、太宰治や萩原朔太郎の名も!
「へえー、太宰や朔太郎も怪談話を書いていたのか」
という発見もあったりして、なかなか楽しめたのであります。
特筆すべきは、平成以降です。
突然、『学校の怪談』 や 『トイレの花子さん』 といった児童書が登場します。
イラストが増え、マンガやアニメ化もされます。
なぜ、それまで (昭和まで) 大人の文学であった “怪談” が、平成になると対象が低年齢化してしまったのでしょうか?
ここに1つ、“謎学” が誕生しました。
ただ、ヒントは見つけました。
今回の企画展のパンフレットの中に、こんな一文があります。
<かつて人々は、怪しいもの、恐ろしいものに対し、「語る」 ことで、その恐怖に対抗しました。明治維新を迎えるとと、幽霊や妖怪は合理的解釈によって存在を否定され、怪談も一時衰退します。しかし、怪異そのものが世から消えることはありませんでした。>
この “合理的解釈” の第2波が平成に起こり、“怪談” は子ども向けとなり、ブームを巻き起こしたのかもしれませんね。
この企画展は当初、6月13日で終了するはずでしたが、新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置の影響により休館していたため、解除にともない再開し、会期が延長されました。
興味のある方は、ぜひ、この機会にご覧ください。
『怪談~こわい話に花が咲く~』
●会期 開催中~2021年7月4日(日)
●休館 火曜日
●料金 一般 410円 大学・高校生 200円
●問合 群馬県立土屋文明記念文学館
高崎市保渡田町2000 TEL.027-373-7721
Posted by 小暮 淳 at 11:27│Comments(0)
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