2022年09月23日
堀江さんの職業
「今日は、酔っ払っちゃったな」
と言えば、
「うちはね、酔わない酒なんて出してないんだよ」
と返される。
「ああ、そうでした」
そして、常連客らの笑い声。
いつものたまり場、酒処 「H」 は、今宵も和気あいあいの雰囲気に包まれています。
では、なぜ、僕たちは酔うのでしょうか?
演歌の世界ならば、“忘れてしまいたいこと” があるから?
いい事があった日は、“喜び” を分かち合いたいから?
はたまた、今日も一日頑張った自分へのご褒美でしょうか?
僕が酒処 「H」 で酔う理由は、ここに “人生のヒント” が、たくさん転がっているからなんですね。
たとえば、先日のこんなワンシーン。
話題は、83歳 (当時) でヨットによる世界最高齢単独無寄港太平洋横断に成功した堀江謙一さんの偉業で盛り上がっていました。
その時、常連客の一人が言ったひと言が、眠れない夜を連れてきました。
「堀江さんて、冒険家なの? 探検家なの?」
たぶん、スマホで検索すれば、一発で答えは出で来るのでしょうが、そこは昭和をこよなく愛するアナログ人間の集まりです。
テストでカンニングをして、答えだけ写して提出するような姑息な手段は、誰もが望んでいません。
まずは、お得意のディスカッションから始まります。
「“冒険” と “探検” って、どこが違うの?」
「そもそも漢字が違うよね」
「えっ、違う漢字なの?」
そんなところから、侃侃諤諤(かんかんがくがく)と意見交換が続きます。
結果、酔っ払っていることもあり、その日は宿題として持ち帰ることになりました。
そして昨晩、その答え合わせとなりました。
もちろん、発表するのは僕の役割です。
【冒険】
危険を冒すこと。成功のたしかでないことをあえてすること。(広辞苑)
「冒険」 の 「険」 は、「危険」 の 「険」 です。
“けわしい” という意味があります。
【探検】
未知のものなどを実地にさぐりしらべること。(広辞苑)
ですから、検査や点検などの 「検」 の字が当てられているのですね。
「検」 は、調べるの意味。
それに、「探」 の字が付くわけですから、“探り調べる” ことになります。
ただし、辞書には、こんな一文が添えられています。
<また、危険を冒して実地を探ること。>
この場合のみ、「探険」 と表記してもよいようです。
では、堀江謙一さんの偉業は、「冒険」 なのでしょうか? 「探検」 それとも 「探険」?
意味からすれば、「冒険」 ということになります。
そして、堀江謙一さんのプロフィールにも、ちゃんと 職業欄に 「海洋冒険家」 とありました。
「いゃ~、ジュンちゃん、ありがとう。これで、すっきりしたよ!」
常連客らに感謝され、昨晩も美酒に酔いしれることができました。
常連客のみなさんへ
「H」 の酒は、同じ酒でも話題により酔いのスピードが増しますから、深酒にご注意ください。
Posted by 小暮 淳 at 12:26│Comments(0)
│酔眼日記