2023年03月10日
湯道から酒道へ
昨日の続きです。
映画 『湯道』 を観た僕は、脚本家の小山薫堂氏が提唱する “入浴” の精神と様式を突き詰めることで完成する 「湯道」 の所作を入浴施設にて、さっそく実践することにしました。
一、合掌
すべては感謝の気持ちから始まります。
二、潤し水
入浴前の水分補給は大切です。
三、衣隠し
脱いだ衣服には、生きる姿勢が現れます。丁寧にたたみました。
四、湯合わせ
いわゆる 「かけ湯」 ですが、見かけだけのかけ湯は厳禁です。しっかりと体を洗い流し、「湯を汚さない」 ことを心得ます。
五、入浴
ゆっくりと右足から浴槽に入ります。もちろん、手ぬぐいは頭の上に置きます。
六、縁留 (ふちどめ)
湯に体を沈め、おしりをつき、ゆっくりと体を後ろに倒し、縁の頂点でピタリと止めます。
七、湯三昧 (ゆざんまい)
湯に投入すれば、自ずと心の垢(あか)が剥がれ、汚れのない穏やかな気持ちになります。その到達地点を 「洗心無垢」 と呼びます。
八、垢離 (こり)
汗がじんわりと出てきたら、一度湯から上がり、水をかぶります。これを繰り返すことで、自律神経が整い、全身の血行が促進されます。「垢離」 とは神仏に祈願する際、水を浴びて心身を清め、一切の雑念を払って精神の集中をはかる 「水ごり」 のこと。
九、近慮 (きんりょ)
入浴を終えたら、椅子を正位置に戻し、使用した湯桶をきれいに洗い、逆さまにして残った水を切ります。「近慮」 とは、次に入浴する人が不快にならないよう慮(おもんばか)る行為のこと。
十、風酔い
湯の余韻に身を任せ、かすかな風の揺らぎにも幸せを感じます。「風酔い」 とは、湯上りに覚醒すること。
十一、合掌
感謝に始まり、感謝に終わります。
無事、整いました!
時計を見れば、まだ午後の3時半です。
「湯道」 が整えば、次は、我が吞兵衛家が提唱する 「酒道」 の所作が待っています。
心地よく春風を肩で切りながら、家元のいる酒処 「H」 の暖簾をくぐりました。
一、合掌
すべては感謝の心から始まります。
二、潤し酒
「とりあえずビール」 と言って呑む湯上りのビールは、至福の一杯となります。
三、酒合わせ
「湯道」 のかけ湯と同じ。いきなり日本酒に行くのではなく、ビールや焼酎を2、3杯呑んで体を慣らします。
四、呑酒 (どんしゅ)
いよいよメインの酒に口を付けます。僕の場合は、冷の地酒を切子細工のグラスでいただきます。
五、酒三昧 (さけざんまい)
作法はありません。好きな酒を好きなだけ呑み続けます。
六、ほど酔い
いくら酒が好きでも、酒に吞まれてはいけません。程よい酔い方 「ほど酔い」 にて、店を切り上げます。
七、合掌
「湯道」 と同じく、感謝に始まり、感謝に終わります。ママの美味しい手料理と、気の置けない常連客にも手を合わせて感謝!
以上、一日にして、2つの道が整いました。
Posted by 小暮 淳 at 12:15│Comments(4)
│酔眼日記
この記事へのコメント
『湯道』 群馬小暮流家元 小暮淳
『酒道』 本家群馬小暮流 小暮淳
という肩書で、よろしいでしょうか?
『酒道』 本家群馬小暮流 小暮淳
という肩書で、よろしいでしょうか?
Posted by ヒロ坊 at 2023年03月10日 12:41
「風酔い」っていい言葉ですよね。
「六、ほど酔い」の後に是非、「風酔い」を加えましょう。
店を出て、これからの季節は特に「風酔い」で!
「六、ほど酔い」の後に是非、「風酔い」を加えましょう。
店を出て、これからの季節は特に「風酔い」で!
Posted by T課長 at 2023年03月10日 14:22
ヒロ坊さんへ
はい、温泉大使として地酒大使として、皆伝いたします。
ふるって入家ください。
今なら、オリジナル手ぬぐいとオリジナル猪口を進呈いたします(ウソです)。
はい、温泉大使として地酒大使として、皆伝いたします。
ふるって入家ください。
今なら、オリジナル手ぬぐいとオリジナル猪口を進呈いたします(ウソです)。
Posted by 小暮 淳
at 2023年03月10日 23:35

T課長さんへ
いいですね。
ただ 「風酔い」 は覚醒が目的なので、あまり風に当たりすぎると、酒道に反することになります。
ほどほどの風に当たりましょう!
いいですね。
ただ 「風酔い」 は覚醒が目的なので、あまり風に当たりすぎると、酒道に反することになります。
ほどほどの風に当たりましょう!
Posted by 小暮 淳
at 2023年03月10日 23:41
