2011年01月31日
いで湯伝説① 「慈悲心鳥」
歴史の古い温泉地には、よく温泉の発見伝説が残されています。
いくつかパターンがあるのですが、一番多いのが動物による発見伝説です。
山のいで湯となると、どうしても鹿や熊、猪、猿などの獣話が多いのですが、珍しいところでは、犬が発見した温泉があります。霧積(きりづみ)温泉です。
霧積温泉は、その昔は碓氷温泉「入りの湯」と呼ばれていました。
温泉の発見は、約800年前と伝わります。
当時、霧積山中で猟師の連れた犬が傷を負い、その犬が水たまりに傷をつけていたので、猟師が不思議に思い水を調べたところ、これが温泉だったということです。
犬が発見したので「犬の湯」と呼ばれましたが、いつしか「入りの湯」と言われるようになったとのことです。
霧積温泉には、もう1つ、こんな伝説があります。
昔、霧積温泉の湯が、ピッタリと止まってしまったことがありました。
宿の主人が困り果てていると、突然そこへ天狗が現れて言いました。
「湯が止まったのは、山の神のたたりだ。湯を元どおりにしてほしければ、人身御供をさしだせ。11歳の子どもでなければだめだ」
主人は、湯治客の中に美しい女の子とその母親を見つけました。
歳を聞くと、ちょうど11歳でした。
その時です。
「この子はもらった!」
という天狗の声がしたかと思うと、我が子を抱いていた母親の手から、スーッと女の子の姿が消えてしまいました。
と同時に、今まで止まっていた湯が、ドッと勢いよく湧き出しました。
「私の子を返してー!」
母親は狂ったように叫びながら、山深く入っていきました。
「ジュウイチ、ジュウイチの女の子……」
絹の裂くような哀れな声で呼びながら。
今でも霧積温泉へ行くと、「ジュウイチ、ジュウイチ」と鳴く慈悲心鳥(ジヒシンチョウ)の声が聴こえます。
慈悲心鳥とは、ホトトギス科の「ジュウイチ」の別称です。鳴き声が「ジヒシン」とも「ジュウイチ」とも聴こえるそうです。
これと同じ話は、法師温泉にも残っています。
ただし、こちらは男の子です。そして、母親が鳥になって「ジュウイチ、ジュウイチ」叫びながらと、今でも我が子を探し回っています。
いずれにしても悲しい話でありますが、果たして我が子を名前でなく、「ジュウイチ」と年齢で呼ぶ母親がいるでしょうかね?
そこもまた、昔話や伝説の妙味であります。
いくつかパターンがあるのですが、一番多いのが動物による発見伝説です。
山のいで湯となると、どうしても鹿や熊、猪、猿などの獣話が多いのですが、珍しいところでは、犬が発見した温泉があります。霧積(きりづみ)温泉です。
霧積温泉は、その昔は碓氷温泉「入りの湯」と呼ばれていました。
温泉の発見は、約800年前と伝わります。
当時、霧積山中で猟師の連れた犬が傷を負い、その犬が水たまりに傷をつけていたので、猟師が不思議に思い水を調べたところ、これが温泉だったということです。
犬が発見したので「犬の湯」と呼ばれましたが、いつしか「入りの湯」と言われるようになったとのことです。
霧積温泉には、もう1つ、こんな伝説があります。
昔、霧積温泉の湯が、ピッタリと止まってしまったことがありました。
宿の主人が困り果てていると、突然そこへ天狗が現れて言いました。
「湯が止まったのは、山の神のたたりだ。湯を元どおりにしてほしければ、人身御供をさしだせ。11歳の子どもでなければだめだ」
主人は、湯治客の中に美しい女の子とその母親を見つけました。
歳を聞くと、ちょうど11歳でした。
その時です。
「この子はもらった!」
という天狗の声がしたかと思うと、我が子を抱いていた母親の手から、スーッと女の子の姿が消えてしまいました。
と同時に、今まで止まっていた湯が、ドッと勢いよく湧き出しました。
「私の子を返してー!」
母親は狂ったように叫びながら、山深く入っていきました。
「ジュウイチ、ジュウイチの女の子……」
絹の裂くような哀れな声で呼びながら。
今でも霧積温泉へ行くと、「ジュウイチ、ジュウイチ」と鳴く慈悲心鳥(ジヒシンチョウ)の声が聴こえます。
慈悲心鳥とは、ホトトギス科の「ジュウイチ」の別称です。鳴き声が「ジヒシン」とも「ジュウイチ」とも聴こえるそうです。
これと同じ話は、法師温泉にも残っています。
ただし、こちらは男の子です。そして、母親が鳥になって「ジュウイチ、ジュウイチ」叫びながらと、今でも我が子を探し回っています。
いずれにしても悲しい話でありますが、果たして我が子を名前でなく、「ジュウイチ」と年齢で呼ぶ母親がいるでしょうかね?
そこもまた、昔話や伝説の妙味であります。
Posted by 小暮 淳 at 14:23│Comments(3)
│いで湯伝説
この記事へのコメント
お湯が湧くならめでたいですが…
昨夜の寒さで水道がやられ、水が溢れてました。
さし当たって 猫発見 寒の清水伝説 (笑)
そして、師匠の快進撃に反しまして
で○じぇい、上○、ヤ○ルト、の各温プレは奇麗に ハズレ
水難の相が大当たり!(Pより)
昨夜の寒さで水道がやられ、水が溢れてました。
さし当たって 猫発見 寒の清水伝説 (笑)
そして、師匠の快進撃に反しまして
で○じぇい、上○、ヤ○ルト、の各温プレは奇麗に ハズレ
水難の相が大当たり!(Pより)
Posted by 七転び八起き at 2011年01月31日 15:00
七転び八起きPさんへ
全国の温泉発見伝説の中でも、犬猫は珍しいのですよ。
「寒の清水伝説」は、一説を投じるかもです(笑)。
全国の温泉発見伝説の中でも、犬猫は珍しいのですよ。
「寒の清水伝説」は、一説を投じるかもです(笑)。
Posted by 小暮 at 2011年02月01日 01:03
俗学的で 楽しいですが
(^_^;) 伝説とは言え
発見したのは マタギの人か? 炭焼きの叔父さんかと? 思われますが?
温泉の発見と共に 町が出来た所も 多いですし
伝説を捏造する位に 温泉の力は神秘
ご先祖様も湯宿には 入っていた事でしょう。
(^_^;) 伝説とは言え
発見したのは マタギの人か? 炭焼きの叔父さんかと? 思われますが?
温泉の発見と共に 町が出来た所も 多いですし
伝説を捏造する位に 温泉の力は神秘
ご先祖様も湯宿には 入っていた事でしょう。
Posted by momotaka at 2011年02月01日 11:51