2011年05月04日
いで湯伝説④ 「鳩」
「鳩(はと)に三枝(さんし)の礼あり
烏(からす)に反哺(はんぽ)の孝(こう)あり」
ハトは親鳥より3本下の枝に止まり、カラスは親鳥が歳をとるとエサを口に含ませるという。
東吾妻町にある浅間隠(あさまかくし)温泉郷の一軒宿、鳩ノ湯温泉「三鳩楼(さんきゅうろう)」の宿名は、この礼儀と孝行を重んじる教え「三枝の礼」に由来します。
その昔、傷ついたハトが、自然に湧き出る湯に浸かって傷を癒やしていたのを村人が見て、温泉の効能を知り、この地を「鳩ノ湯」と名づけたと伝わります。
浅間隠温泉郷には、温川(ぬるがわ)に沿って、一軒宿ばかり「鳩ノ湯」「薬師」「温川」の3つの温泉地があります。
開湯は、どれも古く、江戸時代は温川の右岸にある「薬師」と「鳩ノ湯」は一体で、「上の湯」「下の湯」と呼ばれていたといいます。
僕は、鳩ノ湯温泉の湯を「万華鏡の湯」と名付けました。
俗に言う、“変わり湯” です。
最初に泊まった晩、浴槽の湯の色は茶褐色をしていましたが、翌朝、行ってみると鮮やかなカーキ色に変わっていました。
ご主人によれば、白くなったり、黄色くなったら、青くなったり、季節や天候によって毎日色が変わるとのこと。
まれに無色透明になることもあるそうです。
ハトが見つけた温泉は、群馬県内には、まだあります。
群馬県最南端の温泉、上野村の野栗沢(のぐりざわ)温泉です。
ただ、こちらは伝説ではありません。
昔からこの地は、東南アジアの極限られた地域に分布するアオバトという海水を飲むことで知られる渡り鳥が、飛来することで知られていました。
なぜ、こんな山奥の秘境の地へ南国の鳥が?
アオバトの目当ては、塩分を含む泉だったのです。
野栗沢の人たちは昔から、この鳥を捕まえて食べていました。
病人や産後の肥立ちの悪い婦人に食べさせると、快復が早いのだそうです。
また泉の水を飲みながら農作業をすると、不思議と疲れないことから “魔法の水” として珍重されていました。
昭和58年、「すりばち荘」のご主人が、自ら泉の水をパイプで引いてきて、旅館を開業しました。
緑色の鮮やかな羽を持つアオバトも珍しいのですが、この温泉水も皮膚病に効果があることで一時、マスコミで話題になったことがありました。現在、同荘では、温泉水で作った石けんを販売しています。
また、「アオバト観察パック」があり、飛来期(5月~10月)には、ご主人が早朝、宿泊客をアオバトが集まる泉源地まで車で送迎してくれます。
これは、一見の価値が大あり!ですぞ。
目の前の泉を、何百羽という南国の青い鳥が覆いつくす光景には、鳥肌が立つほどの感動を覚えますよ。
Posted by 小暮 淳 at 21:29│Comments(2)
│いで湯伝説
この記事へのコメント
鳩は水浴びをするのですね? 雀は砂浴びなのですが
燕も飛来し 季節を感じますが 伝染病が心配な時期となりました
(^_^;)
そう言えば
海外では 同じような伝説は 有るのでしょうか?
特に d(^-^) アフリカなんて
キリンが発見した 温泉があれば かなり深い筈
燕も飛来し 季節を感じますが 伝染病が心配な時期となりました
(^_^;)
そう言えば
海外では 同じような伝説は 有るのでしょうか?
特に d(^-^) アフリカなんて
キリンが発見した 温泉があれば かなり深い筈
Posted by momotaka at 2011年05月06日 11:00
momotakaさんへ
いいですね、アフリカの温泉伝説!
テレビで見ましたけど、アフリカにもたくさん温泉があるようですから……
たぶん、ゾウやサイが発見した温泉があるはずですよ。
いいですね、アフリカの温泉伝説!
テレビで見ましたけど、アフリカにもたくさん温泉があるようですから……
たぶん、ゾウやサイが発見した温泉があるはずですよ。
Posted by 小暮 淳 at 2011年05月06日 18:21