2011年10月17日
名刺代わり
『上毛カルテ』(上毛新聞社) は、平成9年(1997) に出版した処女エッセーです。
あれから14年・・・
この14年間で、7冊の本を世に出したことになります。
でも、いつまで経っても初心忘れるべからず。
処女作への思い入れと意気込み、ライターとしての決断と覚悟。
すべては、この1冊からスタートした、記念すべき “本” であります。
僕は、この本を出版した前年に、タウン誌の編集会社を退職しました。
その年から、一匹狼となり、手探りで仕事を続けてきました。
夢にまで見た “フリー” の文字。
最初に作った名刺には、そう書かれていました。
でも、フリーライターの名刺なんて、誰でも持てるんですよ。
資格も免許も、要りませんから。
あなただって、君だって、思い立った日から名刺に刷り込んでしまえば、もう立派な “フリーライター” です。
問題は、そこからです。
「名刺ひとつで仕事をする」 と言えば、格好がいいんですが、現実は厳しく、名刺を渡しただけでは、待てど暮らせど、仕事なんて1つも入ってきません。
そもそも、“フリーライター” という職業が、怪しい! うさん臭い!
「なんでも書きますから、仕事ください」 と言ったところで、誰も信じてくれないし、文章力のほども分からない。
来る日も、来る日も、仕事日照りの毎日が続きました。
ところが、転機というものは、訪れるものです。
折りしも、時代はワープロの全盛でした。
なのに僕ったら、意固地ですから、依然として“原稿用紙” に “手描き” の原稿だったのです。
ある日、某広告代理店の営業マンから、「小暮さん、原稿用紙じゃ仕事を出せないけど、ワープロでフロッピー渡しなら、ジャンジャン仕事を出しますよ」 とおだてられ、なけなしの金をはたいてワープロを買うことにしました。
富士通の 「OASYS」 。
当時の価格で、20万円もしました。
まぁ、これが唯一、僕の独立事務所開きの設備投資費だったわけです。
でも、ワープロを買ったのはいいが、すぐに文字を打てるようになるわけではなし、仕事もさっぱり入ってきません。
「ジャンジャン仕事を出しますよ」 なんて言った営業マンも、知らん顔です。
そこで僕は考えました。
どーせ仕事もないし、毎日家でプラプラしているのなら、ワープロの練習を兼ねて、本を1冊書いてみよう!
と……、ね。
で、僕が以前勤めていたタウン誌で連載していたエッセー(当時は「ドキュメントエッセイ」というシリーズだった) を2ヵ月間かけて、すべてワープロで打ち直したわけです。
1988年~1995年の7年間に連載したエッセーは、原稿用紙にして優に500枚以上ありました。
これを上毛新聞社へ持ち込んだわけです。
当然、無名のライターの本を出版してくれるはずがありません。
でも、僕には、どうしても “名刺代わり” になる本が必要だったのです。
借金してでも、作らなければならなかった!
当時のお金で100万円近くしたと、記憶しています。
発行部数は、今考えると、とっても少ない2,000部でした。
でも、売れませんでした。
無名のライターなのですから、当然です。
それでも、発売当初は鳴り物入りで、大きな書店は平積みで販売してくれたんですよ。
文○堂書店なんかは、4面~5面とスペースを取って大々的に陳列してくれたものです。
でも、半年後・・・
どっさりと、返品されて著者の元へ返ってきてしまいました。
今でも、物置と化した我が家の一室に、段ボール箱が積まれています。
いったい、何冊あるのでしょうか?
いや、何百冊とあるはずです。
僕の名刺が。
でも、おかげさまで最近は、講演会やセミナーなどで、僕の過去本として少しずつですが、また売れています。
腐るものじゃないし、賞味期限もないし、本は出版から何年経っていても、初めて読む人にとっては新鮮なんですよね。
とっくに絶版していると思っていたら、ネット上では検索すると、今でも取り扱いサイトがいっぱい出てきます。
ビックリしました。
もし、僕の “名刺本” に興味のある方がいたら、取り寄せてみてくださいな。
Posted by 小暮 淳 at 19:09│Comments(4)
│著書関連
この記事へのコメント
思いだすに
13年前、前職を捨て「フリー」に。一匹狼と言われたことも。
無我夢中、お先真っ暗、前途多難… 貧乏!?!(笑)
しかし、やりたい事はやったほうがいいが、持論です。
上毛カルテ
結婚のところがよかったですね。
これからの若い人達にもニーズが合う感じです。
13年前、前職を捨て「フリー」に。一匹狼と言われたことも。
無我夢中、お先真っ暗、前途多難… 貧乏!?!(笑)
しかし、やりたい事はやったほうがいいが、持論です。
上毛カルテ
結婚のところがよかったですね。
これからの若い人達にもニーズが合う感じです。
Posted by ぴー at 2011年10月18日 08:04
ぴーさんへ
あっ、読んでくださったんですね。
ありがとうございます。
「人生は、保障が小さいほど、中身が大きくなる」とは、僕の父の口ぐせです。
あっ、読んでくださったんですね。
ありがとうございます。
「人生は、保障が小さいほど、中身が大きくなる」とは、僕の父の口ぐせです。
Posted by 小暮 at 2011年10月18日 13:34
事務所の書棚に入ってますよ~! 今度お会いする事が出来たら、サインしてくださいね~! 旧前橋駅のレンガは今でも倉庫に眠っているのでしょうかね? 今回の駅前改装とかで使えればよかったのにな~。
Posted by kuri at 2011年10月26日 20:15
kuriさんへ
あれまっ!
持っているんですか!?
ありがとうございます。
ぜひぜひ、サインをさせてくださいませ。
そうそう、旧前橋駅のレンガのゆくえですよね!
機会があったら、追加取材をしたいと思います。
あれまっ!
持っているんですか!?
ありがとうございます。
ぜひぜひ、サインをさせてくださいませ。
そうそう、旧前橋駅のレンガのゆくえですよね!
機会があったら、追加取材をしたいと思います。
Posted by 小暮 at 2011年10月27日 01:14