2014年02月21日
遺伝子のゆくえ
息子は大学3年生。就職活動の真っ只中です。
今日も朝からリクルートスーツに身を包み、出かけて行きました。
先日の大雪の翌日のこと。
僕が寝ぼけまなこで階下へ降りて行くと、すでに雪かきを済ませた息子が、スーツに着替えていました。
「出かけるのか?」
「うん」
「こんな大雪の中か?」
「うん」
「何しに?」
「説明会」
信じられませんって!
バカじゃ、ねーのか?
こんな雪の中、どうやって行くんだよ?
そもそも、こんな日に、説明会をやる企業なんてないだろう?
と、矢継ぎ早に僕が一方的に、まくし立てると・・・
息子いわく
「やるって、確認とった。チェーンも履いたし」
さも、当然という顔をして、さっさと出かけて行ってしまいました。
「おい、どういうことだ? あいつ、こんな大雪の中、説明会に行くんだと」
そう、家内に告げると、
「ねえ、偉いんね。誰かさんとは大違いだわ」
と、つれない言葉が返ってきました。
でも、家内の言うとおりです。
“誰かさん” には、到底、理解できない行動です。
だって、就職活動なんて、やったことないし!
勤めだって、30歳までしたことないし!
人生、いつだって、行き当たりバッタリだし!
それだって、けっこう楽しく、この歳まで生きて来れたし!
「あいつ、本当に、オレの子かな?」
「あなたの子じゃ、ないんじゃないの? だって、顔も体型も性格も、何一つ似てないものね」
ナニ~! ちょっと、かあさん、心当たりがあるのか?
やっぱ、オレの子じゃ、なかったんだ~!
今すぐ、DNA鑑定しろーーーーっ!
と叫んでみたところで、始まらない。
22年も昔のことだ。
だとしても、今さら本当の父親を探し出すわけにはいかない。
っていうか、どーして、こんないい加減な父親から、真面目で、素直で、礼儀正しい、品行方正な子どもが生まれてくるのだろうか?
「反面教師っていうやつよ。誰だって、あなたの生き方みていれば、こんな風になっちゃいけないって思うわよ」
なんて言うが、かあさん、我が家の子どもは、息子だけじゃありませんよ。
ちゃーんと、2人の娘は、僕に顔も体型も性格も、そっくりじゃありませんか!
特に長女は、親に反抗して、学校を無断で退学して、家を飛び出して、男と一緒になって、勝手に籍を入れて、子どもまで産んで、幸せにやっているじゃないか!
この行き当たりバッタリの処世術は、完全に僕の遺伝子であります。
次女も、しかり。勉強が嫌いで、音楽にのめり込むところなんぞ、父親ゆずりなのだ。
「おい、お前は真面目過ぎるぞ。もう少し、いい加減に生きろ!」
と、小言を言えば、
「・・・」
無言で、僕を一瞥(いちべつ)する息子。
その心は……、
「父さんみたいに、なりたくないからね」
そう言われているようで、僕は、すごすごと2階の仕事部屋へ退散したのであります。
Posted by 小暮 淳 at 20:39│Comments(0)
│つれづれ