2014年03月11日
3.11 そして大胡温泉へ
今年も、この日がやって来ました。
3年前の今日、僕は大胡温泉の一軒宿 「旅館 三山センター」(前橋市) にいました。
あの日、あの時、ともに恐怖を感じた女将さんや息子さん、そしてスタッフの人たちと、今年も同じ時刻に同じ場所で、黙とうを捧げました。
「小暮さん、まだ来ないの?」
走行中にケータイ電話が鳴りだし、あわてて車を路肩に止めて出てみると、案の定、女将さんからでした。
「今向かっているいるところです。もうすぐ着きますから、待っていてください」
あの日以来、この日に僕が現れるのが恒例となっているため、女将さんはじめスタッフたちが食事の用意をして待っているのだといいます。
申し訳ない!
ついつい仕事が長引いてしまい、時計はすでに午後の1時を回っていました。
「女将さんったらね、『まだ来ない、まだ来ない』 って、昼頃からソワソワしちゃって、駐車場ばかり気にしているんですよ」
と、僕が宿に着くなり、スタッフの I さん。
「だって、小暮さんったら、なかなか来ないんだもの」
と、すねるところなんぞ、さすが女将さん!
まだまだ女を捨ててない!
「僕だって、一時も早く、女将さんたちに会いたかったですよ」
でもね、とりあえず、ここに来たら温泉でしょう!
「まだ黙とうの時間まで、1時間はありますよね。まずは、ひとっ風呂浴びさせてください」
とだけ告げ、浴室棟へ。
浴室の入口に、なにやら見覚えのある男の写真が・・・?
頭にタオルを巻いて、片手にビールを持っています。
そーです、このブログのコピーが貼ってあるんです!
日付けは、2013年3月11日。
ちょうど一年前に書いたブログです。
タイトルは、『あの日あの時、大胡温泉』。
昨年の今日、ここを訪れたときの様子を書いた僕のブログを、こうやって大切に貼っていてくれたのです。
急に、1年前の今日、2年前の今日、そして3年前の今日のことが、ありありとよみがえってきました。
そして今日、また何事もなく大胡温泉を訪ねられたこと・・・
湯舟の中で、つくづく自分は、しあわせなのだと、復興に苦しんでいる被災地のことを思い、そう感じました。
「黙とう」
午後2時46分。
テレビの声に合わせて、宿に居合わせた人たち全員と、東北の方角に向かい1分間の黙とうをしました。
「こうやってさ、毎年この日に、ここで会えるってことは、しあわせなことだよね。死んじゃったら、会えないんだもの」
と、イヤにしんみりとして女将さんが言うのです。
「そうだよね。いまだに行方不明者が何千人もいるんだものね」
と言ったあと、僕にも胸の奥から込み上げてくるものがありました。
きっと来年も再来年も、5年後も10年後も、僕はこの日を忘れないために、ここへやって来るでしょう。
だから女将さん、長生きしてくださいね。
女将さんのリウマチを治した、こんなにもいい湯が湧いているのですから!
※(震災当日の様子は、当ブログの2011年3月12日 『大胡温泉ふたたび』、2012年3月11日 『あれから1年、大胡温泉』 を参照)
Posted by 小暮 淳 at 20:57│Comments(0)
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