2015年08月07日
温泉ではあるけれど
僕は今までに、計7冊の温泉本を書いています。
掲載されている温泉宿の数は、延べ306軒。
でも、取材した宿は、それ以上になります。
そう、取材はしたけれど、掲載されなかった宿があるのです。
では、その理由は?
僕は、自分の著書で取り上げる “温泉宿” の条件を、次の2点に定めています。
①自家源泉を保有していること。
②または共有源泉から引き湯していること。
取材した結果、この条件から外れている場合が、稀にあるのです。
それは、“源泉を運搬している場合” です。
いわゆる俗に 「スポイト温泉」 と呼ばれる温泉のことです。
温泉法には、希釈に関する定義がありません。
ということは、源泉を10倍に薄めても、100倍に薄めても、1000倍に薄めても、違法にならないということです。
「スポイト温泉」 とは、浴槽に水道水を溜めて、スポイトで一滴だけ源泉をたらしても温泉であることを揶揄して言った言葉なのです。
と、いうことで、取材をして初めて、ポリ容器で源泉を運んでいたことが判明して、掲載をお断りしたケースが何軒かありました。
違法ではありませんが、温泉本として希釈の度合が判然としない温泉を掲載するわけにはいかないという、僕なりのこだわりによるものです。
そのほかにも、「温泉分析書」の提示または掲示がされなかったために、掲載をお断りしたケースがあります。
読者のみなさんには信じられないことかもしれませんが、何十年と泉質を分析せずに、井戸水や湧き水を “温泉” と呼んで、使用している宿がいまだに存在しています。
入浴の際には、必ず分析書の有無を確認することをおすすめします。
※(一般的には、脱衣場の壁に掲示されています)
Posted by 小暮 淳 at 22:59│Comments(0)
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