2016年05月01日
傷だらけのモビルスーツ
「今、Hに居るんだけど、出てこない?」
一昨晩のこと。
夕食後に自室でくつろいでいるときでした。
作家のN氏から、呼び出しの電話がありました。
Hとは、このブログでも、たびたび登場する我らのたまり場、酒処 『H』 のことです。
N氏は、僕が20代に出会い、フリーで生きていくことの意味を教えてくださった人生の師であります。
30分後、僕は 『H』 のカウンターにいました。
客は、僕とN氏のほかに常連が4人。
見知った顔ばかりです。
軽く常連たちと生ビールで乾杯した後、N氏にご無沙汰していた不義理を詫び、近況報告などを済ませ、いよいよ本腰を入れて日本酒に口を付け出したときでした。
「まさかジュンちゃんが、温泉ライターになるとは思わなかったなぁ~」
「ええ、自分でも思いませんでした」
「俺は、ずーっと小説家になると思っていたよ」
「そういえば、そんなことを言ってましたね」
思えば30年前。
結婚はしていたけれど無職で、何になろうとしているのか自分でも分らず、ただ毎日、原稿用紙に向かって悶々としていた頃でした。
とあるギャラリーでN氏と会い、意気投合し、以来、N氏の仕事場を訪れては、人生を説いてもらっていたのでした。
「でもさ、良く頑張っているよ」
「ありがとうございます。まだまだですけど」
「10年後が楽しみだな」
「あと10年ですか?」
「なに言ってるの! 俺の歳だよ(笑)」
ですよね。
N氏は団塊の世代でありながら、今でも第一線で活躍している作家であります。
そんな氏の前で、弱音を吐くわけにはいきません。
「大丈夫です。Nさんにもらったモビルスーツがありますから」
「モビルスーツ?」
そうです。
30年前に氏から伝授していただいた “フリーで人生を生き抜くための心に装着する鋼鉄のモビルスーツ” です。
このスーツを身に付けると、一瞬にして心臓に毛が生え、根拠のない自信がムクムクと湧き上がり、将来への不安が一切消え去るのであります。
「だよな、ジュンちゃんにやったのは特別製の黄金のスーツだからな」
「ええ、30年も使っているので、もうだいぶボロボロですけどね。でも機能は衰えていません」
「だったら10年といわず、あと20年は大丈夫だな?」
「に、に、20年ですか~!(汗)」
そう言って、30年前と同じように冗談を言って、笑い合ったのでした。
気が付けば僕も、もう “アラ還(暦)” です。
N氏にいたっては、“アラ古希” なんですね。
まだまだ、あばれますよ!
ね、師匠!
互いに、“アラ卒(寿)” と “アラ白(寿)” になるまで!
Posted by 小暮 淳 at 22:05│Comments(0)
│酔眼日記
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