2018年09月27日
三途の川を渡れなかった婦人
「先生、あの本、面白い! でも表紙の絵が怖くって、カバーしちゃいました」
先日の野外温泉講座のバスの中で、受講生の女性が声をかけてきました。
“あの本” とは、先月出版した拙著 『民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) のことであります。
そーなんです!
なんだか、ちまたでは、表紙のイラスト画に話題が集まっているようなんです。
民話や伝説に登場するカッパや天狗、巨人たちが、リアルに描かれていて、かなりおどろおどろしいのです。
確かに、夜中に一人で読んでいると、怖くなるかもしれませんね。
でも、それだけ話題になるほどの素晴らしい絵だということです。
「先生、この間のブログ、面白かったですね」
「どのブログでしょうか?」
「三途の川を渡った人の話ですよ」
今度は男性が話しかけてきました。
著書に登場する一級河川の 「三途川」 と、本当に三途の川を渡ってしまった人の話を、僕が聞き間違えていたという笑い話のことであります。
※(詳しくは、当ブログの2018年9月21日 「三途の川を渡った弟」 参照)
ひとしきり、その話で盛り上がっていると、話を聞いていた別の女性が、突然、こんなことを言い出しました。
「私も三途の川を見たことがあるんです」
「一級河川ではなく、本物の?」
「ええ、あの世に行くとき渡る川です」
彼女は、僕と同世代。
ふだんから低体温のため、平熱は32~3℃なのだといいます。
そんな彼女が2年前、インフルエンザにかかり、42℃の高熱にうなされ続けたといいます。
「その時、川を見たんです。大きな川でした。川の向こう岸には人がいて、手を振っているんです。おいで、おいでって。でも川の流れが速くて、とてもじゃないけれど、渡れそうにないんです。しばらく、ためらっていたら、この世にもどっていました」
そして、熱も下がっていたといいます。
渡っても、すぐに川をまたいで帰って来た人。
流れが速くて、渡れなかった人。
いずれにしても、“三途の川を見た” という人は、引き返しています。
もし、渡り切ってしまっていたら……
ぜひ次は、三途の川を渡り切って、あの世まで行って帰って来た人の話をお待ちしています。
Posted by 小暮 淳 at 14:35│Comments(0)
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