2020年06月28日
一番搾りの季節
先週の日曜日は、「父の日」 でした。
昨年の2月に実父を亡くしている僕にとっては、昨年と変わらぬ普通の日曜日でした。
週明けの午前中のことでした。
珍しく出張へ出かけることになり、朝からあわただしく支度をしていました。
突然、階下から声がしました。
「おとうさん、いるの?」
長男の声です。
「いるけど、なんだ? 今日は休みなのか?」
と、返事をしなから仕事部屋のドアを開けた途端、息子の驚く声が!
「うっわ! どーしたの?」
「どうしたって、何が?」
「ヒゲだよ、ヒゲ! すごいことになってるね」
「ああ、これか……。ヒゲの長さは、コロナ自粛の長さに比例するんだよ」
とかなんとか、屁理屈をつけて、言葉を返しました。
「で、今日は何だ?」
長男は5年前に結婚をして、市内のアパートに家族と暮らしています。
一昨年には第一子も生まれ、仕事も順調のようであります。
「過ぎちゃったけど、父の日だから」
「それで、来てくれたのか?」
「それと、引っ越したからさ、今度、遊びに来てよ」
反面教師というヤツなんですかね。
息子は父親と違って、真面目で堅実な人生を選びました。
20代にして、早くも家を建てたといいます。
「ああ、そのうちな……」
息子には申し訳ないのですが、 この手の事象については、僕はあまり興味がありません。
そんなことより、<.何か新築祝いを贈らんとかな…> などと、出費のことばかり考えていたのであります。
「S (孫) も会いたがっているからさ」
と言われれば、行かないわけにはいきませんが、正直、気が進みません。
別に、孫に会いたくないわけではなく、そういうことをする自分が自分らしくないと思ってしまっているのかもしれません。
息子が帰った後、階下へ降りて、こっそりと冷蔵庫をのぞくと、缶ビールが何本も入っていました。
それも、「一番搾り」。
いつからか毎年、息子は父の日に、「一番搾り」 を買って来るようになりました。
なんでだろう?
子どもの頃から、お中元やお歳暮に贈られて来るビールを見ていたからでしょうか?
でも、それならば、モルツでもドライでもヱビスでも、いいわけです。
もしかして……
息子は、このブログのプロフィール写真を見たのでしょうか?
出張から帰った晩に、しみじみと 「一番搾り」 をいただきました。
ほろ苦い、人生の味がしました。
大した父親じゃないんだけどな……
Posted by 小暮 淳 at 12:41│Comments(0)
│つれづれ