2021年10月26日
KAPPA
昨年は一年間、講演やセミナーの講師の仕事が、軒並み中止か延期となりました。
また温泉地の取材もコロナ禍ということで、暗黙の御法度となり、動きの取れない一年でした。
そんな中、唯一の朗報が、著書 『ぐんま謎学の旅 民話と伝説の舞台』(ちいきしんぶん) の増刷でした。
コロナ禍という逆風が、人々を3密を避けた “謎学の旅” へといざなったようであります。
そんなコロナ禍の影響もあり、僕の講演活動にも異変が起きています。
コロナ以前は、講演の依頼の8割は、“温泉” がテーマでした。
それがコロナ禍となり、“民話” の依頼が増えました。
現在、年内に予定されている講演は、あと6回。
うち温泉は2回、民話は4回です。
完全に逆転してしまいました。
コロナ禍ゆえの非接触で楽しめるテーマでの講演が求められているようであります。
さて、民話の講演では、会場のある地元の民話に触れながら話を進めていきます。
必ず登場するのが 「カッパ伝説」 です。
“河の童” と書いて、カッパですが、呼び名は地方によって様々です。
関西では河太郎(ガタロ)、九州ではガワラッパ、中国・四国ではエンコ、東北ではメンツチ、メドチなどと呼ばれています。
不思議なのは、呼び名は違えど、カッパは全国に棲息(?)していたということです。
なぜ同一生物だと分かったのか?
それは、外見の特長が同じだったからにほかなりません。
≪水陸両生、形は四~五歳の子供のようで、顔は虎に似、くちばしはとがり、身にうろこや甲羅があり、毛髪はなく、頭上に凹みがあって少量の水を容れる。その水のある間は陸上でも力強く、他の動物を水中に引き入れて血を吸う。≫ (「広辞苑」より)
群馬県内にもカッパ伝説は、多数点在しています。
調べると、とても面白いことが分かりました。
赤城山~榛名山を境に、南のカッパは、いたずら小僧で、やっかい者。
一方、北のカッパは人間に、とっちめられ、改心して、恩返しに現れます。
県内だけでも個性豊かなカッパ伝説ですから、全国となると人間を喰ってしまうような、それはそれは恐ろしいカッパ伝説もあります。
というのも、たまたま今、僕は作家・柴田哲孝氏の小説 『KAPPA』 を再読中なのであります。
舞台は関東地方のとある沼。
“河童” が人を喰うという事件が発生します。
はたして本当に河童は実在するのか?
事件に関わる個性的な男たちが、さまざまな人間模様の中で謎を解明していきます。
再読なので、結末は知っているのですが、それでもワクワクしながら小説を読んでいます。
やっぱり、カッパはいます!
Posted by 小暮 淳 at 11:27│Comments(0)
│読書一昧