2022年05月09日
お前はまだ猿ヶ京を知らない
<かつて赤谷湖(あかやこ)の湖底を流れていた赤谷川の渓谷には、「湯島の湯」 と 「笹の湯」 という温泉があった。昭和33(1958)年、相俣(あいまた)ダムの完成により、赤谷川はせき止められ、渓谷にあった2つ温泉は湖に水没した。
旧四軒と呼ばれる湯島にあった桑原館、長生館、見晴館と笹の湯にあった相生館は、代替地として現在の場所へ移転。新たな源泉を掘削して、猿ヶ京温泉として生まれ変わった。>
(『みなかみ18湯 【上】』 より)
群馬県を代表する温泉地といえば?
そう問われて、他県民が真っ先に挙げる名前は、草津温泉でしょう。
県民に問うたところで、その後に続くのは、伊香保温泉、水上温泉、四万温泉……
群馬県には俗に 「9大温泉」 と呼ばれる観光温泉地があることをご存じでしょうか?
上記の4ヶ所と、万座温泉、老神温泉、磯部温泉、やぶ塚温泉、猿ヶ京温泉です。
4大温泉地に比べると、規模も知名度も劣りますが、魅力ある温泉地がラインナップされています。
今日は、この中から猿ヶ京温泉について、触れさせていただきます。
「みなかみ温泉大使」 からの耳より情報であります。
このたび、みなかみ町の猿ヶ京温泉が、「地域団体商標」 に登録されました。
地域団体商標とは?
<地域ブランドの保護による地域活性化を目的に、2006年に導入された制度。地域の名称と商品またはサービスの名称の組み合わせから構成される。>
(2022年5月6日付 上毛新聞より)
特許庁に申請したのは、猿ヶ京温泉旅館協同組合 (持谷明宏代表理事) です。
温泉名での同商標への登録は、草津、伊香保、四万に続き、これで県内4例目となりました。
「後継者のために権利関係を明確にしたいと考え、登録に至った。まだ出発点に立ったばかりだが、猿ヶ京温泉のブランドを高めていきたい」
と、持谷代表理事はコメントしています。
温泉地は今、どこも後継者問題や新型コロナの影響で廃業する宿泊施設が増えるなど、大変な時代を迎えています。
温泉地とブランドの保護のために商標登録を目指した猿ヶ京温泉の意気込みを、僕も陰ながら応援したいと思います。
“まだまだ、お前は猿ヶ京温泉を知らない!”
これを機会に、ぜひ、足を運んでいただきたいと思います。
知られざる猿ヶ京温泉の魅力を見つけに。
<永禄3(1560)年、上杉謙信が越後から三国峠を越えて関東平野出陣の際、今の猿ヶ京である 「宮野」 という城に泊まり、不思議な夢を見た。宴席で膳に向かうと箸が1本しかなく、ごちそうを食べようとするとポロポロと歯が8本抜け落ちた。
嫌な夢を見たと思い、このことを家臣に告げると 「これは関八州 (関東一円) を片はし (片箸) から手に入れる夢なり」 と答えたので、謙信は大いに喜び、「今年は庚申(かのえさる)の年で、今日も庚申の日。我も申年生まれ。これより関東出陣の前祝いとして、ゆかりの地である宮野を 『申が今日』 (猿ヶ京) と名付ける」 と申し渡したという。>
(『みなかみ18湯 【上】』 より)
Posted by 小暮 淳 at 11:48│Comments(0)
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