2023年04月18日
便利が心地よいとは限らない
このところ、仕事関係者に会うと、必ずと言っていいほど話題に出るのが 「チャットGPT」 についてです。
確かに、急にテレビのニュースやワイドショーでも取り上げるようになりました。
「チャットGPT」 とは?
いまだにケータイはガラケーを使っているデジタルオンチの僕には、何が何だか訳が分かりませんが、なんでも対話型のA I (人工知能) とのことです。
今までのA I と、どこが違うのかといえば、大量のデータから学習を行い、人間に近い自然な文章を作ることができるそうです。
もし、それが本当なら、大変だ~!
(と、一応、あわてて見せています)
僕のようなライターをはじめ、新聞や雑誌、出版など、文筆や編集に関わる人たちの仕事が無くなってしまうぞ~!
(と、驚いたふりをしています)
でもね、僕は静観しています。
だって、これって、“便利” になるってことでしょう?
世の中が便利になれば、助かる人もいれば、手を抜く人もいるわけですから、良いこと、悪いこと、清濁併せ吞むだけのことです。
電子レンジが、いい例です。
料理時間が短縮されて、便利になりました。
だからって、100%電子レンジで料理している人は稀です。
フライパンも鍋もトースターもオーブンも、ちゃんと使い分けているじゃないですか!
ましてプロの料理人ならなおのこと。
客にチンしたものなんて出しません。
食材の吟味から下ごしらえ、手間のかけた調理をして、器に盛ります。
僕らライターも同じです。
A I ほどの膨大なデータは持ち合わせていませんが、それらを補うだけの経験と実績があります。
そして何よりも読み手のことを考えて、文章を作成します。
料理人と同じです。
「おいしかったよ」 の代わりに、「面白かったよ」 の言葉が欲しいから……。
世の中が便利になるたびに、僕は30年前に聞いたオヤジの言葉を思い出します。
建築家のアニキが、実家を建て替えたときのことです。
アニキは、実験的に仕事では造れない理想の家を建てました。
すると建築雑誌でも話題となり、ついには東京のテレビ局までやって来ました。
「さて、この家には、あるものがありません。それは何でしょうか?」
リポーターがスタジオのゲストたちに問いかけます。
答えは、玄関です。
アニキは、誰もが自由に中庭に入って来れる、中国の四合院という建築スタイルを真似た玄関のない家を造ったのです。
要は、1階と2階の各部屋は独立していて、部屋から部屋への移動は必ず一度、靴を履いて屋外に出なければなりません。
もちろん、トイレや風呂場も同様です。
雨が降ったら雨に濡れ、風が吹いたら風に吹かれる。
その代わり、日の光を浴び、月と星を仰ぎます。
アニキいわく、“花鳥風月の家” とのことでした。
テレビ番組の中で、同居するオヤジがインタビューを受けました。
リポーターの 「不便ではないですか?」 の問いに、オヤジは言いました。
「不便だけど不快ではありません」
逆も真なり、だと思います。
便利が人間にとって、必ずしも心地よいとは限らないのです。
チャットGPT!
上等じゃねーか!
かかって来いや~!!!
Posted by 小暮 淳 at 12:49│Comments(0)
│つれづれ