2023年08月18日
想定以上の装幀
【以心伝心 (いしんでんしん)】
口に出して説明しなくても、心が自然によく通じ合うこと。もとは、禅宗における悟りの極意を教えるのに、言語や文字によらず、直接に師の心から弟子の心に伝えることをいう。
(旺文社 『四字熟語新辞典』 より)
僕は今までに十数冊の著書を出版してきました。
エッセイ、絵本、温泉、登山、民話……
それらの本には、すべて “顔” があります。
表紙です。
業界では、表紙や裏表紙、カバー、帯を含めて、表紙まわりのデザインのことを装幀 (装丁) と呼びます。
これらは装幀デザイナーの仕事です。
もちろん僕はデザインの素人ですから、一切口を出しません。
その時々の編集者やデザイナーに、お任せしています。
ざっと今までの著書を見比べてみると、写真あり、イラストあり、地紋などもありました。
それなりに愛着があり、手に取ると、取材や執筆中の苦労までもが、ありありと思い出されます。
僕にとっては一冊一冊が、記念碑のような存在です。
先日、今秋出版予定の最新刊の装幀デザイン案があがってきました。
A案とB案
手に取って、ハッとしました。
「なぜ、分かったんだろう?」
A案とB案は、よく似ています。
ほぼほぼ同じデザインです。
違うのは、文字の書体や微妙な配置のみ。
「どちらもいい……、でも、なんで分かったんだろう?」
装幀デザインを担当してくれたK氏は、僕の過去の温泉シリーズを手掛けた旧知のデザイナーです。
自らもイラストを手掛け、その都度のテーマにより変幻自在にデザインを操ってきました。
でも、今回は今までと制作方法が異なります。
まず、イメージを指示する編集者がいません。
(発行者と著者のみで制作を進めています)
また、著者からの希望やアイデアも告げていません。
何よりも今回の著書には、今までと決定的に異なる点があります。
それは、完全なる “随筆集” であるということ。
ということで、写真やイラストは一切ありません。
全ページ文字のみ。
いうなれば、温泉ライター小暮淳の集大成。
温泉についてのうんちくから取材で拾ったエピソードだけを、ただひたすらに綴った温泉大全であります。
よって装幀は、すべてイメージということになります。
本の内容もさることながら、著者の人となりについても知り得なければ、イメージすることはできません。
プレゼンされたA案とB案は、ともに完璧なものでした。
長年、仕事を共にして、小暮淳という人間を知り尽くした者だからこそ、発想することができたデザインだと言えます。
まさに、以心伝心。
恐るべし、K氏!
ただただ、僕は驚いています。
今から書店に並ぶ光景を想像して、ニヤニヤしています。
Posted by 小暮 淳 at 11:52│Comments(2)
│著書関連
この記事へのコメント
それが書店に並んだらニヤニヤしてみます(*^_^*)
あ、もちろん買いますよ(^-^)v
あ、もちろん買いますよ(^-^)v
Posted by みわっち at 2023年08月18日 20:04
みわっちさんへ
ありがとうございます。
ガッツリ、読み応えのある一冊に仕上がっております。
ありがとうございます。
ガッツリ、読み応えのある一冊に仕上がっております。
Posted by 小暮 淳
at 2023年08月18日 23:56
